魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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3章 魔法少女と水の都

74話  魔法少女は気づく

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 3人に水を渡し、私達の馬車も間も無くやって来る。

 よほど喉が渇いていたのか、ごくごくと水を飲み干し、なんとか落ち着かせることが出来た。

「それじゃあ改めて自己紹介だけど、私は空。この通り、Cランク冒険者だよ。」

「あなたが、C……」
私の顔から順に、足の先まで目を細めて見る。

 なに、そんなに見たって何も無いよ。
それともあれ?私がランクCなのが不思議なの?

「まだ私達の紹介がまだだったね。私はクレアス。こっちの白髪の子は…」

「リアナよ。」
さっき『ひゃい』って噛んでた可愛い子は、白くて流れるような髪を手で靡かせて、クールに言ってみせた。

「わたしはエヌです。お助けくださって、ありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げ、小さく微笑む。

 順に大剣のクレアス、双剣のリアナ、弓のエヌ。

 クレアスはなんかアニメで見たことあるような、黄色に近い金髪で、セミショート?うなじが隠れるくらいに切られている。
 水色の真っ直ぐな瞳だね。

 リアナは細長い白髪。サラサラとしていて、右の髪だけを留めていた。
 みんな大好きツンデレ的な性格で、(見た感じはね)目の色は薄い青緑。

 最後にエヌ。
茶色っぽい、ようやく見たことあるような髪色で、ボブのアレンジ版みたい。
 目も同じように薄い黒の入った茶色。

 こうやって、色んな人の見た目をあげてみると、異世界だね…って思う。

 まぁ、この世界は楽しいからいいけど。

 それから私がここにいる理由、(護衛のこと)その他諸々を説明した。

「それだったら尚更……ありがとうございました。」
エヌはもう一度深々とお辞儀をし、お礼の言葉を口にする。

「さっきも言った通り、これを決めたのはネルだから。ネルにお礼を言って。」

「え?倒してのはソラさんじゃ……」
そんなネルの言葉を華麗にスルーし、話を続けることにした。

 ごめんネル、許して。

 話を続けて色々決まった。
クレアスさんパーティーが護衛していたのは、普通にティランに行くための馬車だったらしい。
 その馬車に私達も着いていくことにした。

 さっき討伐したゴブリンは、半々で分けられた。

 最初私は、全部あげようと思ったけど、クレアスさんが「討伐したソラが0なんて、おかしな話しだ」と言って半分もらうことになった。

 やったね、思わぬ報酬。

「ソラお姉ちゃん、そろそろお昼じゃありませんか?」

「そうですね、休憩しますか?」
ロアの言葉を聞いた御者さんが、更にネルに聞く。

「そうしましょう。クレアスさん、でしたか?一緒に昼食はいかがですか?」

「いいのか?お邪魔させてもらって。」
その言葉にネルは、満面の笑みで「もちろんですよ」と言った。

 その笑顔を見たクレアスさんは、眩しそうに目を細めてしまった。
 これがネルの力……恐ろしいね。

 まぁそんなネタはさておき、昼食はもちろん私が作るわけで、昨日たくさんカレーを残しておいて正解だったと思った。

 私はカレーうどんを9人分作り、(自分でもよくそんなに余ってたなって思う)焚き火を囲って食べることにした。

 言い忘れてたけど、向こうの馬車に乗ってたのは父と男の子の親子で、ティランに残った母の元に行くためだと言う。

 男の子の方は、ネルにカレーうどん渡されて照れていた。

 子どもは純粋で可愛いね。その男の子も、ネルに惚れちゃったかな?知らないけど。

「このカレーは、うどんにも合うのですね。」
ネルは器用に箸を使って、ゆっくりお上品に食べる。

 一方私は、上品さのかけらもなくずずずと啜って食べている。
 この中には、うどんを啜る人が誰1人いない。
これが、日本との差なんだね。

「どうやったら、そんな風に食べれるんですか?」
私がずずずず啜ってるのを見て、ロアは不思議そうに聞いて来る。

「こ、これはね、故郷の習慣だよ。」

 これはカレーうどん。啜ったことない人に啜らせるのには、早すぎるものだよ。
 すすれたとしても、カレーがあちこちに飛び散るのが目に見える。

 え?私はって。
もちろんそんなに飛び散らさせずに食べれるよ。

 ここ重要。テストに出るよ。

「あなたの故郷には、こんな美味しいものもあるのね。」

「確かに、食べたことは無い味だ。でも癖になるな。」

「美味しいですね。かれーと言いましたか?よく合います。」

 それからみんな美味しそうに食べ、完食する。
洗い物は御者さんとクレアスさん達がやってくれると言うので、任せることにする。

 ぶっちゃけ、洗い物の方が大変なんだよね。
カレーなんて、洗剤の無いこの世界だと洗い流すのが大変。

 「なんであたしたちがー」「命を助けてもらって、ご飯までご馳走になったんだから、当然でしょ」という声が、途中から聞こえ始めたけど私は無視する。

 無視した理由はどうでもいいから……とかでは全然ない。

 そう、私は気づいてしまったんだよ。
何にって?それはもちろん一つしかないでしょ。

 馬車に領主の娘、馬車に進む途中で魔物以外だったら、他に何があると思う?

 それはだ。

 盗賊らしき人が、昼食の途中あたりからついてき始めている。
 
 隠れられてると思ってる?ざんねーん、私の魔力感知にビンビンに引っかかってるよ。

 いつ襲いかかってきても、おかしくない。
やるとしたら今日の夜か、明日。

 盗賊を苦しめるためなら、今日の夜に討伐に出かける。連行するのがめんどくさくなったら、明日にすればいい。

 ……でも危険だしなあ。
うーん、どうしよう。

 夜になったらこっそり抜け出して、こっそり討伐ということで。
 運ぶ方法?適当に吹っ飛ばしてけばいいよね。死ななかったらセーフセーフ。

———————————————————————

 今回は平和でまったり回。
次はどうなるんでしょうね。話の流れからして盗賊の話……なんでもないです。












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