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3章 魔法少女と水の都
68話 魔法少女はピクニックに誘う
しおりを挟むそれから場所を変え、私は目的のカフェにたどり着いた。
ん~、やっぱりクリームソーダは冷たくて美味しいね。
なんで私はクリームソーダを飲めてるかって?私が合図をすれば、用意してくれるからだよ。
「ロア、ネル、何頼む?私頼んどくけど。」
スプーンで、クリームソーダのアイスをつつきつつ、私は2人に聞いてみる。
「私は、リンの実のジュースをお願いします。」
「アイスを頂きたいです!」
ロアは控えめに手を挙げて、ネルは楽しそうに頼んだ。
アイスはみんな知ってる通り、猫型のアイス。
リンの実ジュースとは、日本でいうリンゴジュースらしい。
リンの実はリンゴより少し甘めで、果肉がつぶつぶしてて美味しい。
「あっ、ネトラーさん。ミックスサンドのトーストと、リンの実のジュースと、アイスをお願いします。」
「あら、ソラちゃんじゃない。分かったわ、ミックスサンドのトーストとリンの実のジュース、アイスですね。」
私の注文を繰り返して言い、待っててね~、と言って厨房に戻っていく。
この前ロアと話したピクニックの話でもしようかな?
私も今はちょうど暇だし、ここはロアとサキと親睦を深めるということで、誘うのもいいね。
「ロアは他に頼まないんですか?」
「別にいいんです。今まではジュースを買うお金も無かったんですから。」
下を俯いて小さな笑みを浮かべて、私を見上げた。
「え⁉︎そうだったんですか!」
ロアは心底驚いたように大きな声で、机に乗り出した。
えっ、そこまで驚く?…でもネルは領主の娘。
お金のことで困ったこともなければ、社会の裏や貧乏というものも言葉でしか知らないんだと思う。
「私はお小遣いも貰って、しかも美味しいご飯もたくさん食べられたのに、ロアはそんな状況だったんですか……」
私が楽している間に…と暗そうな顔で呟く。
「ネル様が落ち込むことじゃないですよ。ネル様には感謝しています、こんな私と友達になってくれて。」
そんな感じで、2人は微笑ましくなる会話を繰り広げていく。
いつの間にか注文してたものも机に運ばれていて、私はサンドイッチに齧り付きながらそれを聞く。
ピクニックの話、いつ切り出せばいいんだろう。
2人はジュースとアイスを食べながら、色々とプライベートな事も打ち明けて、なんかより仲良くなってる。
……このタイミングでいいのかな?
「ねぇロア。この前言ってたピクニック、私とロアとサキとネルの4人で行かない?」
3日後くらいに、とストローを齧りながら言う。
ようやく2人の話の間を潜って、なんとかその話を切り出すことが出来た。
「なんですか、それ?そんな話をしてたんですか?」
ネルが不思議そうに、そして不機嫌そうに口を尖らせる。
その不機嫌顔はなんだろう。とっても可愛いと言ってしまうのは、失礼になるのかな?
「この前、ソラお姉ちゃんとピクニック行こうって話してたんですよ。」
「だから、ネルも一緒に行く?って話なんだけど……許可とか必要だったら、もらえたら行かない?」
私は出来るだけ優しく、温かい目で語りかける。
「行きます!お母様からも許可をもらってみせます!」
目に見えて分かるほどワクワクして、体を揺らしながら猫の前で猫型アイスを食べた。
ちなみに、あのくろねこは私が抱えてる。
2人が話し始めてから、ネルはくろねこに意識が全くいってなかった。
目を離した隙に何かあっちゃいけないからね。
私達はそれぞれ注文したものを食べ終わり、店を出た。
ロアは先の面倒を見に、ネルはフェロールさんに許可を貰いに行った。
じゃあ、私はどこに行こう。
どこ行こっかな、暇になっちゃった。
ピクニックの下見にでも行こうかな?子供を3人も連れて行くんだから、安全性を高めておかないと。
「軽く回って、危なそうなとこは避けよう。」
私は門に向けて歩き出す。
場所だったら小高い丘とかなら、距離も場所としてもちょうどいいと思うし、いいところ探しますか。
あと、スキルの身体激化の試し使いしてみよう。何気にまだ使って無かったからね。
それからすぐに門に着き、私はギルドカード渡して門を通った。
少し森を進めば、だんだん上り坂になって行く小高い山がある。
そこをピクニックルートにしようかな。
「身体激化っと。……なんか、体が。」
魔力が、身体を高速で駆け巡る。そして、魔力が筋肉に絡まって魔力は暴走する。
だから激化なの⁉︎
魔力が暴走することによって、力は多く得られる。
なんでこんな消費魔力多いの!
これはあんま使わない、埋もれすぎるになりそう。
私は身体激化を解除しながら、身体激化の能力チェックをする。
身体激化
身体強化の激化版。魔力を筋繊維に絡ませ、暴走させることによって身体上昇を図る。
魔力の消費が膨大。
「先に言ってよ。魔力は結構貴重なんだから。」
私は嘆息を吐き、画面を閉じた。
それから、私はこの山を一周した。
魔物がいたら、安全のために適当に追っ払って、やばそうなのがいたらぶっ飛ばす。
そんな感じでやってたら、それが結構時間がかかってね。もう夕方近くになってきた。
明日に改めて確認に行こう。
弁当とかも作っていかないと。
昼にサンドイッチ食べたけど、めちゃくちゃお腹が空いた。
早く宿屋に戻って、エリーのご飯を食べよう。
あー、お腹空いた。
———————————————————————
今回の話は次のピクニック回の引き立て的なお話です。別に読まなくてもいいやつです。(それ作者が言っちゃダメな台詞No.2(ちなみにNo.1は『この作品つまらない』))
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