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2章 魔法少女と竹林の村
64話 魔法少女は帰宅(宿に)する
しおりを挟むなんとか商業ギルドに着くことが出来て、私はギルドの扉の前に立つ。
このままじゃ邪魔になっちゃうから、一旦ギルド内に入ることにした。
何も確認しなかった私も悪いけど、それでも事前に伝えてくれなかったマリンさんも悪いと思う。
まぁ、そんな逆ギレしたってどうにもならないし、許してもらってるだけありがたいと思わなきゃいけないね。
えーっと1番空いてるのは……1番右の列だね。
それにしても、今日はいつにも増して人が少ない。
どうしてだろうね。
何かあったのかな?それも一緒に聞いてみよう。
私は列に並び、10分とちょっとくらい待っていたら私の番が来た。
「あぁ、ソラさんですね。ギルマスより、お話は聞いております。」
手元にある機械?のような物を操りながら、話を始める。
……知ってるの。
マリンさん黙っておいてくださいよ。
いや、話つけてくれてるのはいいけど、なんか犯罪者一歩手前を知られるって嫌に気持ちになるし。
「それにしても、いつもより人少ないですね。何かあったんですか?」
私はどうすればいいか分からないこの状況を、なんとか打破するためにそんな適当な言葉をかけた。
「そうですね。最近、商人達をあまり見ませんね。多分、ギルドに依頼か何かは来ていると思いますが、まだ解決はしていないようです。」
受付嬢がカードを手渡しながら、そんな返しをしてくる。
真面目そうな人なんだけど、なんか表情とかあんまり出ないしなんかちょっと怖い。
「それでは、またお越しください。」
律儀に、斜め75度くらいに深く礼をする。
「あっはい。カード、ありがとうございました。」
私もちょっとだけお辞儀をして、商業ギルドを出た。
はぁ、これで一安心。
私はギルドカードをステッキに仕舞って、一息ついた。
今から何しようかな?
……お腹空いたし、何か買い食いして宿屋に戻ろうかな。
宿屋に戻る途中に、なにか屋台とか無かったかな?
「確かあったと思うけど……」
少し俯いて、小さく呟きながら前を歩く。
うーん、串焼きとかもいいよね。
串カツ、焼き鳥……あー考えるだけでよだれが。
パン系も捨てがたい。
お肉を挟んだサンドイッチとか、サクサクなクロワッサンとかもあった気もする。
食べたい物を買っていけばいいよね。
「った…ごめんなさい……ん?」
下を俯いていたせいで通行人とぶつかったみたいで、一言謝る。
でも何故か反応もせずに歩いていった。
急いでたのかな?
あっちの方行は門だと思うけど、冒険者にも見えないし商人にも見えない。
まぁいいや。今の私に、人を気遣う時間も想う時間も無い。
ちょうど目の前に、串カツのような何かの屋台があるから、これ食べよう。
「おじさん、一本ください!」
「はいよ。」
それからお金を渡し、私は串カツを受け取った。
サクッ、ジュワ~ッ。うん、美味しい。
屋台は屋台で特有の美味しさがあるね。
よし、この調子でどんどん買いに行こう。
お金は大丈夫かって?そんなのなんとかなるよ。ギルドに行けばいつでも依頼受けられるんだし。
冒険者ってギャンブルみたいな物だよね。
自分の命を賭け金に、依頼にそれを賭ける。
こう思うのって、私だけ?
まぁどうでもいいや。私は未開の地が、帰り道にないか探そう。
もちろんこの後調子乗って食べ過ぎて、昼ごはんが食べれなくなったんだけど。
ごめん、エリー。
まぁそんなことは置いといて、ステータスをチェックしよう。
色々あり過ぎて覚えてないけど、確かまだチェックはしてなかったはずだ。
名前 美水 空
年齢 17歳
職業 魔法少女
レベル 26
攻撃570 防御560
素早さ800 魔法力1250+1 魔力1300
装備 魔法少女服 魔法少女ステッキ
魔法 アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-2) 神速Ⅴ
ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ+1
鑑定眼Ⅴ+1 食材生成Ⅱ+1 魔導法Ⅲ+1
トールⅣ 物質変化Ⅲ
スキル 魔法生成 魔力強化 魔力付与
魔力感知 魔法記憶 詠唱破棄 覚醒
魔法分解 振れ幅調整 身体激化
SP 100
まぁ……妥当な変化だね。
チェックしてないと言っても、ほんのちょっとの間だし、仕方ない。
上がってないよりかは十分いいと思う。
「今度はもう少し間を空けて確認しよう。」
私は宿屋のベッドに寝転びながら、そう決めてステータス画面を閉じた。
魔導法のお陰で、魔法の調整がめちゃくちゃ楽になったし、ミョルスカイや新しいスキルや魔法、沢山あって私も強くなったって実感できる。
そもそもステータスってあるけど、どれが低いのか、どれが高いのかの基準値が分からないんだけど。
その謎が今出てくるのも十分に謎だけど、ステータスの無い世界に、ステータス機能を付けるってどう言う考えなのかな?
神様に聞ければなー……そうだ、神様に聞けばいいんだ。
「我ながらバカな考えしか浮かばない……」
突然の発想に、自分自身で頭を抱える。
でも、ここは異世界。アニメでよく見る次元魔法みたいなので、神の世界と繋げられないかな?
なら、この世界での目標は、神様に会うことにしよう。
昔までの私は、平々凡々に日本で生きてきたけど、今の私は違う。スキルがあって、魔法があって、何より神様から貰ったこの服もある。
神様に会うことも、不可能じゃないと思う。
でないと、そもそも私をどうやって連れてきたかも謎になる。
私も神様と同じように、強くなって一言言ってやりたい。
「ありがとう、神様。」
そう言った後は、この服についても問いただしてみよう。
「どれだけ先の話になることやら。」
ステッキをベッドの隅に立てかけ、私は仮眠を取ることにした。
———————————————————————
2章にして、ソラの目標が決まりました。
それと同時にこの作品の最終点もそこということになります。
次の章も、関係させていきたいと思います。
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