魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

62話  魔法少女は案内をする

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 まぁここはテンポよくということで、5日後。

 その間にはロアと遊んだり、薬草一緒に採りに行ったり、お店に遊びに行ったりと、ダラダラ楽しく過ごした。

 やっぱり、何もせずダラダラ~ってするのは楽しいね。
 働くのは面倒くさいし、働かなくていいのは未成年の特権だよね。

 ……この世界では私も働かなきゃいけないけど。

 今日は、フィリオとマリンさん、そして道を作る上での工事責任者が数名が視察に来るという。

 それから時間や材料、人材を算出して工事を開始させるらしい。

 そのために、私は一緒に馬車に乗って行かないといけない。
 
「まさか商人たちが噂していた竹林が、そんなお金の匂いがする所だなんて考えもしなかったですね。」
マリンさんがそんなゲスいことを漏らしながら、窓に顔を向ける。

 お金の匂いとか言っちゃダメでしょ。
倫理的にさぁ、あるでしょ?色々。

 今この馬車に乗っているのは、フィリオ、マリン私の、3人。(フィリオが言うには最重要人物の3人らしい)

 残りの人達は後ろの馬車に乗ってるという。

「もう少し大人しくしろ。それでもギルマスか?」
フィリオが少し不快そうにしつつ、マリンさんを一瞥して、目を閉じた。

「今回の交易は、普通の街とじゃないの。ここで商人との交流を持たせられらば、私たちの街にとってとも利益になりうるのよ。」
そこのところ、分かってる?とマリンさんはやれやれと両手を少し上げる。

 その点においてはそうだと思う。
ここの村は『竹』というここでしか育たない特別な物がある。
 それが支配下に置ければ、他の町との交易にも役立つ。

 村の人達も、今回みたいに魔物が現れたら助けを呼べるし、街から兵を送ることだって可能だ。
 それに竹だけの生活から、新しい物が入ってくることによって、更に竹の進化が見られるかもしれない。
 パズールの街とこの村はウィンウィンの関係が築けている。

「それでソラさん。村はどんな感じでした?雰囲気とか、村人さんとか。」
フィリオの文句をまるで聞いていないように、私に圧をかけるように質問を投げかけてくる。

 ちょっ、そんなぐいぐい来られても答えられないよ。
 お金のことに関すると、見た目に反して積極的だね、マリンさん。口調は変わらないけど、目つきが変わる。

「雰囲気は…私が魔物を倒した後は賑やかでしたし、優しい人達でしたよ。あと、竹がたくさんあります。」
私は最後のところを強調して言う。

 最初見た時は驚いたね。一面竹、竹。
壁なんてものは竹で補われ、森や林は全て竹。

 銀世界ならぬ、竹世界。
我ながらつまらないギャグだった。

「そんな今まで誰も見つけられたかった所を見つけられるなんて、ソラさんには探検家の素質でもあるのかしら……」
口に指を添えて少し考えた後、また私を見つめる。

 いや、なに?
あと探検家の素質なんてないよ。ただ魔法でちょちょいと。
 それも神様の力なんだけどね。

 その神様に会ってみたいけど、流石に神に会えることなんてそうそうないよね。

「ただ竹が邪魔で、みんな入れなかっただけですよ。」

「謙遜は、過ぎれば嫌味に聞こえますよ。もっと主調していきましょう。それに、魔法なんてそんなに使える人なんていません。才能ですよ、才能。」
最近聞いたことのあるような台詞をぶつけられ、優しくて肩を叩いてくる。

 謙遜じゃないし、はたまた才能でもない。
何度も言うけど、これは神様の力だ。私の力じゃない。

 それを振るうのは私かもしれないけど、今回のことについては私の才能じゃない。

「ソラさんには才能が溢れてますね。ぜひ欲しい人材ですが……断られそうなので辞めておきます。」

 そんな風に、私達は竹林に着くまで話をしていた。
 フィリオは仮眠をとるように、ずっと目を瞑っていたけど。

 窓を見ると竹林が見え始め、馬車は停止する。

「着いたみたいですね。」

「フィリオ、早く起きて降りなさい。」
なんかマリンさんがお母さんかのように、フィリオを言葉通り叩き起こした。

「分かってる……本気で叩くな…」
叩かれたところを抑えながら、マリンさんの後に降りる。

「それでソラさん。ここからどうするんです?」
目の前の高く深い竹林を見て、もしかしてここを通るの…と青い顔をする。

 別にこの中に入ったりはしないよ。
モーセだよモーセ。あの海を真っ二つに割るやつ。
 マリンさんがモーセを知るわけないけど。

「そこで見ててください。今開けますから。」
そう言ってこの竹林の竹達に、村の道まで一直線の道を作るよう命令を出す。

 竹はババッと根本から魔力によって動かされ、慌ただしく動き回る。

 おうおう。頑張りたまえ。

「これ、どうなってるの?」

「マリン。そんなもの聞いたって、余計に驚くだけだ。」
フィリオが呆れたようにため息を吐き、目を細めてその光景を受け入れ難く見つめる。

 魔法が使える世界でも、私でもこれは変な光景だとは思う。
 そしてここは魔法が最弱。魔法でこんな摩訶不思議なことが起きているっていうんだから、驚きもするよね。

「魔法って弱いと思ってたけど、これを見ると考えを改めないといけなくなりそう……」

「こいつの基準に合わせてたら、国の軍隊すら弱く見えるぞ。」
相変わらず驚きを顔に貼り付け、道が完成する頃にはなぜか2人ともぐったりとしていた。

 ずっとブツブツ1人、いや2人でツッコんでたから、そんなに疲れるんだよ。
 もう私だからって受け入れちゃえばいいのに。

 でも、私がフィリオの立場だったらと考えると、受け入れるなんて無理だと思う。
 だからこの反応は仕方ない、のかな?

「じゃあ私行くから、着いてきて。」
私は先に空いた道を歩き始める。

 フィリオとマリンさんで話し方変えてるから、ちょっと2人に何か言う時困るね。どうしよう。
 
「案内するのでちゃんと着いてきてくださいよ。」
私は1度振り返ってからそう言った。

 適当に説明し終わったら、全部フィリオ達に押し付け、じゃなかった。頼もう。
 そこからは私の専門外だから、仕方ない。

———————————————————————

 ソラはフィリオに押し付け…じゃなかったですね。頼むようです。


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