魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

61話  魔法少女は相談に行く

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 私はいつも通り朝起きて、上着を着て、そしてエリーのご飯を食べた。

 これはいつものことだけど、エリーのご飯は美味しいね。
 アボデルさんのご飯がまずいって言ってるわけじゃないよ。
 あれもあれで美味しかった。

 今は何をしてるかって?歩いてるんだよ。
どこに向かってって、そのくらい察してよ。
 フィリオの家に行ってるの。

 前に家に行った時も感じたけど、街から遠いよ。なんで領主の家は、こんなにも遠いんだろうか。

 歩きで行ったら、凄い時間がかかるよ。

 神速は使わないって決めたしなぁ、でもこれを歩いていくのもなぁ、だからと言って領主の家の近くで走るなんてなんか嫌だしなぁ。

「うーん。どうしよう……」
そう思ってると、後ろから何か音が聞こえて来る。
 振り返ると、そこには馬車が走っていた。

 って馬車⁉︎なんでここに馬車?
いや、領主の家の近くに馬車が走るのは普通、なのかな?よく分かんない。

 すると馬車は私の後ろで停車し、扉が開かれる。

「ソラ?どうしてここにいる。」
そこからフィリオが降りてきて、そんな声をかけて来る。

「フィリオこそ、なんでここに?」

「隣町から帰ってきたんだよ。」
フィリオが私の隣に来て、そう返してくれる。

 隣町からって言ったけど、何しに行ったのかな?貿易?会合?まぁなんでもいいや。

「で、ソラこそなんの用だ?」
早速話を聞こうとするフィリオに、私は「ここでするのあれだし……」と言って、屋敷の中でする事になった。

 フィリオが乗ってきた馬車に乗り、屋敷に向かう。
 馬車なんて初体験だけど、結構早いんだね。
その分、結構揺れるけど。

 馬車の中で、暇だからフィリオと話をしていたら、私が知らないネルの母親(フィリオの妻)の話も聞かされた。

 名前はフェロールさんというらしく、緩い感じだけど敵に回すと1番怖いタイプと言っていた。

 それを聞かれたら、やばい事になりそうだけどいないからよしとしよう。

 ネルはフェロールさんに似ているらしく、想像してみると美人が頭に浮かんだ。

 こうして改めて話してみると、色々知らないことが聞けたり、面白い事に出会えるかもしれない。
 これは、フィリオだからこそ出来る芸当だけど。

 いつの間にか馬車は屋敷についていて、馬車を降りて屋敷に入る。
 今は、話に聞いたフェロールさんがいるらしい。(あの時いなかったのは、他の街に出ていたからだそう)

 すると奥から一人の女性がやって来る。

「フィリオ、帰ったのね。あら?そこの隣のお嬢さんは?」
まさか拾ってきたとか言わないわよね?と、少し面白おかしそうにフィリオに言葉をかける。

 まさかこの人がフェロールさん?
……これは確かに、あんまり逆らっちゃいけないような雰囲気があるというか、なんというか。

 一言で言うと、フィリオは絶対尻に敷かれてる。

「そんなわけあるか。前に話したソラだ。」

「あらあら、貴方がソラちゃんね。話はネルからも聞いてるわ。」
さぁさぁ上がって、と私の手を引いて上がらせる。

 軽い感じで、接しやすいと言えば接しやすい。

「それで、今日はなんのようかしら。」
応接室のような場所に入れられ、机を挟んで向こうには優雅に紅茶を飲むフェロールさんと、その隣にコーヒーを飲むフィリオがいる。

 なんか貴族二人を前にすると、怖くなって来た。今回はフィリオだけじゃ無いから、余計に。

 そんな風に縮こまっていたら、一筋の光が差し込む。

「お父様、お帰りになられてたんですね。」
嬉しそうな笑みと共に、扉を開く。

「ネル、部屋に入る際はノックをしろ。」
優しそうな微笑みを浮かべ、そう注意する。

「今はお客様が来ているのだから、うるさくしてはダメよ。」
フェロールさんが更に重ねて言い、ネルは「すみませんでした」と小さく謝る。

 別にそのくらい気にしないのに。
相手がめちゃくちゃ態度が悪かったり、嫌な感じだったら怒りたいけど、ネルはそんな子じゃ無いのは知ってるし、可愛いから気にしない。

 でも貴族のマナーとかもあるし、これからネルが相手するのは私だけじゃ無い。
 そういうことも考えて教育しなきゃいけないんだよね。
 大変そうだね、貴族は。

 その点、私は大丈夫。
付き合うつもりも、結婚するつもりも毛頭無い。

「あっ、ソラさんでしたか。失礼致しました。」
ペコリと小さく頭を下げ、可愛らしく去っていく。

 微笑ましいね。

「悪い。うちの娘が。」

「全然大丈夫だから。」
やっぱ可愛いというのは、心が洗われていく。

 私の心は元から綺麗だよ⁉︎腐ってなんか無い!

「それで、話というのは?」
フィリオが真剣な目で、私にそう聞いて来る。

 あっ、本題の方忘れてた。危ない危ない。

 私は竹林のことや、その奥の村のことを大雑把に説明した。
 ちゃんと説明すると長くなりそうだし、そんなに長く仕事の手を止めてもらうわけにはいかない。

「そうか。そんな依頼を受けていたのか。」
はぁ、と少しため息を吐く。

「魔物の討伐も出来て、見知らぬ土地の探索も出来て、ソラちゃんはなんでも出来るのね。」
楽しそうに、弾んだ声フェロールさんは言う。

 そんな大層なものじゃ無いと思う。
カロォークの話はしなかった。

 なぜかと言うと、今フィリオにカロォークについて尋ねたら、カロォークは推定ランクAと言っていた。

 私のランクはC。どう考えても驚かれるか怪しまれるかのどっちかだ。
 だからやめておいた。
そんな魔物を2匹も討伐したとか言ったら、またランクやらなんやら上げられそうだし。

「で、ここからが大事なところなんですけど、そこの村とこの街で、交易とか出来ない?」
了承は貰ってるけど…、と首を傾げて言ってみる。

「公益、か。」
フィリオが考えるように指を顎に添え、唸っている。

「もちろん、その道を作るのは私だよ。」

 そもそも私じゃないと作れない。舗装とかはそっちでお願いしたい。

「こっちとしても、未知の竹には興味がある。そしてもう、向こうの了承も得ていると。」

「いいんじゃないかしら?その村を、この街の一部として守っていけば資源確保よ。」
フェロールさんは、私の案に乗り気のようで、このままいけば押し切れそうな感じがする。

「…そうだな。許可しよう。」
最後はフェロールさんによる一押しのおかげで、許可をもらうことが出来た。

「こちらとしても、準備が必要だ。優先してやるとしても、5日後になる。」

「急ぎってわけでは無いから、5日くらいなら大丈夫だよ。」
私はそう言って部屋を出て、ネルに引き止められたから少しお喋りをして帰っていった。

 やっぱりロアとかネルとか、純粋な子は可愛いね。
 犯罪臭がするって言った奴、正直に出てこい。
今ならまだ許してやろう。

———————————————————————

 無事、許可をもらうことが出来たソラ。
しかしゲームのようにすぐに取り組めるわけが無かった。





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