魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

58話  魔法少女は強行突破

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 何も見つからないまま、約10分ほど経ってしまった。

「えぇ……こんなあからさまなのに、はずれだったっの?」
私は暗い洞窟の中を、足音を響かせながら歩く。

 まさか、これのせいだったりする?私の足音に、気づいたってこと?

 足音が出ないように歩いていくしかないね。

「ずっと気になったたけど、この黒い鉱石ってなんなの?新しい鉱石だったりしないかな。」
ステッキでコンコンとその鉱石を叩いてみて、謎の確認を取る。

 魔力を感じる?この鉱石、ここ洞窟の魔力が浸透して出来たのかな?

「回収しておいて、損はないと思う。うんうん。それじゃあ、回収しておこう。」
1人で大きく首を縦に振り、アクアソーサーで岩肌を削って鉱石を取り出した。

「回収したはいいけど、これ何に使うの?」
手に鉱石を握り、私は先へ先へと歩いていく。

 それにしても、ここにはこの鉱石以外何も無いんだけどそれでいいの?
 ここの存在意義が、今の所見当たらない。

「……なんか、暴走してる?」
今、私の手にあるこの鉱石の魔力が暴走していた。

 ウネウネと、さっきまで硬かった黒い物体が変形し始め、中心に、ギョロッとした目がが現れた。

「気持ち悪っ‼︎なにこれ、気持ち悪い!」
野球で言うとストレートで、それを壁に投げ捨てる。
 凄い音が鳴り、めり込んでしまった。

「いや、私は悪くないし。突然気持ち悪くなったのが悪いんだし。」
という、謎の言い訳を呟きながら、それに向かってステッキを向けた。
 それは段々膨張し、何かの形に変化する。

「……いつぞやのわんこ?」
私は、目が完全にキマってる3つ首のわんこを見て、ステッキを少しだけ下ろす。

 初めて討伐した、あのケルベロス(幼体)さんじゃないですか。あらやだ、久しぶり。

 そんなおばちゃんみたいな台詞が浮かび、口に出す前になんとか止めることが出来た。

「魔物の原点って、これのこと?」

 この竹藪の魔物は、ここから生まれてきて、やってきてるってことだよね。

「なら、カロォークもここから……」
私は一歩後退って、ケルベロスに向かってアクアソーサーを放つ。

 あの時とはキレが全く違う。
相手が壁にめり込んでたってのもあるけど、余裕で倒すことが出来た。

「ここでは、こんな簡単に魔物が生まれる。なのになんでこの洞窟とか、竹藪の方には魔物がいなかったんだろう……」
答えに思い至るため、私は脳をフル活動させて考える。

 私は名探偵でも、刑事さんでもないから、そんな大きな推理はできないけど、魔法少女の私にも、少しくらいの推理は出来る。

 まず、ここでの魔物の生まれ方は今のところ一つだけ。
 この謎の鉱石が、魔力の暴走によって魔物化する。(その表現が正しいかは知らないけど)

 そして鉱石はたくさんある。でも魔物はいない。

「謎がまた、謎を呼んできた……」
とにかく、カロォークがいないかを探さないと。

 あと、アボデルさんにはこのことを伝えないといけないと思う。

「あぁぁぁぁ!やることも考えることも多い。」
そんな文句を響かせながら、奥へ奥へと進む。

 その間にも、色々考えを巡らせてみて思い至って出した推論はこれだ。

 試したないから細かいところは分からないけど、一定以上の魔力と、場所が必要なんだと思う。

 さっきは、私の魔力の触れて魔力の規定を超し、埋まっていた状態では魔物化できないけど、私の手にあったから出来た。

 こんな推論になったけど、大きく外れては無いはず。

 洞窟の長さを知りたくて、魔力感知を使ってみると、魔力がすぐそこで止まっていた。

「これは行き止まりか、それとも魔力がないだけか……多分これは、行き止まりだと思う。」
私は細心の注意を払いつつ、用心深く辺りを探る。

 こういう時に、気を抜く人ほど危ないから、しっかりと注意しておかないと。

 その瞬間、ぽちゃんぽちゃんと、水の滴る音が聞こえてきた。

「水?いや、魔水?」
その水に触ってみると、魔力が補充されているような気がして、その後、新しい感覚に襲われた。

 なんか、あれだよ。
感じたことないから説明しづらいけど、似てると言えば、背中をツーッと指でなぞられるのを、氷でやられたみたいな。

 いやそれも感じたことないわっ、っていうツッコミは置いといて、そんな感じ。

「ここにもこの鉱石が……っ!そういうこと?」
私はここの謎に気がついた気がして、ハッとする。

 さっきまでの鉱石からは、ほとんど魔物化はしていない。

 長い年月をかけ、ここの魔水を吸った魔石が段々魔力の限界に来て膨張し、岩から離れた時魔物化する。

 この魔水はどこから来てるの?それが分かれば、対処もしやすいんだけど。

「今は対処療法でいいかな。」
ロックウォールで強引に塞ぎ、魔水の供給を止めた。

 この魔水、慣れれば中々使えるかもしれない。
簡易蛇口でも作って、取れるようにしようかな?

 そんな呑気なことをしているうちに、また絶望はやってくる。

 そう、ヌチャヌチャ聞こえるのだ。

「あはは……ほんとにいたんだ、もう1匹。」

 ゴキブリは、1匹見たらもう50匹はいると思え。
カロォークは、1匹見たらもう1匹はいると思え。

「どっちも害悪だけど、私はカロォークの方が嫌だぁぁぁ!」
壁とカロォークに挟まれた状況で、なんとか脱するためにジャンプし、壁を蹴り台にして後ろに回り込んだ。

 ゴキブリの方が小さくて、まだ可愛げがあるよ。
こっちはデカくてキモくて、しかも強い!こんな生物はこの世にいらないと思う。

「こうなったらもう、強行突破だ!」
私は急いでステッキから、ミョルスカイを取り出し構え、発射準備を整える。

 この至近距離なら、弾道予測なんてものは必要ない。

 あとは射出とトールで……

「まだ完全ではないけど、出力120%!ゴリ押しでいったれぇぇ‼︎」
あまりの混乱に、口調が変わるというアクシデントが発生したけど、なんとかれーるがんの発射に成功した。

 ビュゴォー、、ズドォォォンッ‼︎‼︎と、ものすごい轟音を超えた超音(?)が鳴り響く。

 もうその音だけで、洞窟が壊れてしまいそうなほどにうるさかった。

「せっかく作ったロックウォールが台無しだよ。」
ボロボロに砕け散ったカロォークに、文句を吐き捨てながらロックウォールを再度作る。

 丁度いい、蛇口もつけよ。

「何が起こるかわかったもんじゃないから、魔水は無闇に出ないようにしないと。」
それを、蛇口を捻りながら言った。
私は少し長い顔をしながら、まぁ大丈夫という謎の直感を信じ、村に戻ることにする。

 結構早めに謎が解決できて良かった。

———————————————————————

 2話分の話を、めんどく…ゲフンゲフン、の都合上1話にまとめました。







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