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2章 魔法少女と竹林の村
53話 魔法少女は討伐を開始する
しおりを挟むヌチャァ、ヌチャァ……
地面を這いずり、気持ち悪い音を出しながら竹の絨毯を作っていく。
竹を食べ続けていた影響なのか、弾力が増しているような気がする。
あの気持ち悪いカタツムリもどきが、もっと滑りと弾力が増して、気持ち悪い力が天元突破しているね。
ちゃっちゃと倒して、終わらせちゃいましょうかっと。
チャールさんを私より2、3メートル離し、私はミョルスカイを構える。
なんだろう。ここまで来たら、なんか感慨深くなってきた。
そんなことを考えるより先に、先ずはカロォークを倒さないとね。
よし、この前と同じような感じで。距離を測って……
「魔弾、装填。トール、射出……発射準備完了。」
そう言いながら、トールと射出(投擲の追加効果)の魔法を使う。
雷をバチバチと鳴らし、射出用の射出陣を銃口に作り出す。
「軌道修正……完了。魔力感知……以上なし。——————」
念には念を、いくつもの確認をした後、カロォークに向かって銃口を向ける。
「出力、100%‼︎発射!」
電気と光の軌道を描き、バァーーン!!と言う轟音を鳴らした。
当たれ、当たれ。そのままの軌道で行けば、核石に直撃できる。
そう思っていたけど、現実はそううまくいかない。
カロォークが予想外な動きを見せ、思っていた場所より数cmズレてしまい、核石とは違う場所に当たってしまった。
カロォークの弾力で、最初は奥に奥に行っただけだけど、すぐに貫通して弾は飛んでいく。
カロォークはウニョウニョと動き出し、こっちの方向に目を向ける。
「っ!気づかれた……」
チャールさんに下がって、と一言言い、もう一発の魔弾をミョルスカイに込める。
これであと一発。
流石にこれも外すとやばい。
さっきと同じように、今度は走りながら撃つ準備を整える。
風の流れは、…悪くないね。更に魔力を込め、軌道を読む。
カロォークの動き、私の走った時の影響、様々なことを計算し、(私の脳は決してよくないから、そんな難しいことは考えられないけど)構える。
動かないで、カロォーク。そこで動かれると、ちょっとめんどくさくなるから、やめてね。
「出力100%!吹き飛べー‼︎」
ミョルスカイに指をかけ、それを強く、深く押す。
やっぱり電撃が走り、轟音が鳴り響く。
至近距離で聞くから、毎回耳が痛くなるんだよね。
何か防音系の魔法とか、作ったほうがいいのかな?
ダメだ、今は戦闘中。戦いに集中しないと。
私は、出来る限り全力で走り、次のポイントへ移る。
その間にも、レールガンはカロォーク核石目がけて進んでいき、間近に迫ってくる。
よし、今回は上手く当たりそう!
今度こそ本当にカロォークの核石に着弾し、バキッと音が鳴る。
「…っ!壊れてない⁉︎レールガン喰らって、まだ壊れないの?その核石…」
その光景に戸惑いと驚きを隠せず、そう声に漏らしてしまう。
威力が足りない?出力を上げるか、もっと至近距離で撃つか……
「弾は、あと一発。」
自分の手のひらに乗った弾を見る。
もう、外すことは許されない。
この一発に、全てをかけないといけない。
考えてる暇はない。もう両方試してみればいいじゃん!
最後の一発をミョルスカイに込め、魔力を込める。
これが3回目。流石の私でももう慣れた。
さっきのように、魔法をミョルスカイに放ち、その状態でカロォークに近づく。
ダダっと走り込み、右足で踏み込む。
カロォークとミョルスカイの銃口がくっつきそうなほどまで、接近に成功した。
この距離で軌道を読む必要は無い!
「発射準備オッケー!出力110%‼︎」
今までにない、形容しにくいほどの超轟音が耳を貫き、私は顔を顰める。
電撃はカロォークを溶かし、魔弾は再生を始めるその体を貫く。
そのまま勢いを止めない魔弾は、とんでもない速度で核石に近づき、ヒビの入ったところに丁度着弾した。
その核石は、バリィンッと音を立てて割られ、カロォークは力無くそこに倒れた。
「はぁ……やったの?」
そんなフラグの立つような台詞を口に出すけど、私はそんなことを気にせず、カロォークの遺体に近づく。
カロォークの体は、段々と干涸びていって、水分が抜けきった頃には、完全に原形をとどめていなかった。
地面にかえるように、その干涸びたものは徐々に徐々に溶けていく。
「ソラ、さん。終わったんですよね?」
「多分、これで終わりだと思う。」
予想外のトラブルにも見舞われて、魔弾を3発全部撃つ羽目になったけど、倒せたしいいか。
安堵のため息をはぁー、と吐いた私は、1度地面に腰を下ろした。
「終わった~……ようやく、カロォークを討伐できた。」
ミョルスカイを放り投げ…はしないけど、地面に置いて腕をぐーんと伸ばす。
討伐成功させたんだから、こんな風に気を抜いてもいいよね。
「お疲れ様でした、ソラさん。凄い迫力でした。」
苦笑気味に、そう労いの言葉をかけてくる。
いや、本当に疲れたよ。まさか3発もレールガンを打つ羽目になるなんて、思ってもなかった。
次からは、一発で行けると思うけど……そもそも次なんてやりたくないよ。
一杯!一杯やりたい!私は未成年だけど、この世界に法律なんてものは無い!
あと、もし酔ったら魔法でどうとでもなるし。
っ……レールガンに魔力使い過ぎた……
もう魔力がすっからかんだよ。
神速用に置いていた魔力を、予想外に使っちゃったから、ちょっとフラつく。
「少し、肩貸してくれません?村に帰るまで、歩くの辛いんで…」
「あっ…はい。」
私が肩を掴むと、ビクッと肩を跳ねさせた。
「すいません、驚かせちゃいましたか?」
「いっいえ。」
よーし、帰ろう。
っと、その前にミョルスカイを回収しないとね。
———————————————————————
討伐が一瞬で完了されました。
さすがソラ制作、ミョルスカイのレールガン。
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