魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

48話  魔法少女は、休憩(?)をする

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 じゃじゃじゃ……パタパタ…
冷たっ…

 んんぅ…、…もう、少し。

「……あっ……」
水の音で起きた私の目の前には、アボデルさんがいる。

 えっと、今何時?アボデルさん朝早くない?おじいちゃんやおばあちゃんの朝が、めっちゃ早いって聞いたけど、ほんとなんだ。

「ソラ殿、お目覚めですか。」
優しい笑みで、そう言う。

 濡れたタオルをどかして、起き上がった。

「起きたばかりですまないが、今日の話し合いは午後からとなった。空けといてくれ。」

「あ、はい。分かりました。」
その時に、私のお腹からグゥ~っと、鳴り始める。一度鳴いてしまった腹の虫は、一向に治る気配を見せず、私はチラッとアボデルさんを見る。

「昨日から食べてませんでしたからな。今、用意しよう。」
ゆっくりと立ち上がり、台所の方に向かっていった。

「ありがとうございます。」
私はご飯を食べるために立ち上がり、ふと自分の服を見てみると、

「あちゃー、置いてきちゃった。」

 上着、あんなところに置いてきたままなんだけど。買い直さなきゃかな?

 今度取りに行って、無かったら買おうかな。
しょうが無い。午前はこのままで、狩りに行こう。

 そんな風に考えてると、アボデルさんが呼んでくる。

「ソラ殿、出来たぞ。」
「はーい、分かりました。」

 私は1つ、大きめのあくびをした後に、襖の奥に進む。
 机の上には、美味しそうなご飯が湯気を立てていて、それに反応したかのように、更にお腹が鳴りだす。

「さぁ、食べてください。」
微笑みを浮かべ、指先を食事の方向に差す。

 よし、食べよう。いっただっきまーす!

 これを食べ終わったら、直ぐに出発しよう。もうダルさも完全に抜けたし、あるのはステータスの変動くらい。

 その辺の魔物を倒すのには、十分な力は残ってる。いくら低下してても、簡単に負けるなんてことはない。

 魔法少女を舐めてはいけないのだよ。

 そうしていると、いつのまにかペロッと完食してしまった。

「ふー、満足満足。」
お腹をさすりながら、畳に寝そべった。

「これから、何か御用は?」

「ん?ありますけど。」

 ……?何かあるのかな?

「いや、午後に間に合うようにしてほしいと思いまして。」

「大丈夫ですよ、間に合わせます。」

 ここで間に合わなくて、みんなの機嫌を損ねたせいで、やりたいことが出来なかったら、カロォークには勝てそうもないしね。

「それなら。」

「じゃあ、行ってきます。」
私はそう言って、玄関に向かって歩きだす。

 あれ?アボデルさん、私の格好にツッコまなかった。まぁいいや、ツッコまなかったんならそれでいい。

 私は、あの最初の竹林のところまで歩いていっている。
 
 今の私は、この竹林の支配者になってる。何かを出さないようにするにも、出そうとするにも、私の自由。
 だから今から、私は一旦外に出て狩りに行く。

 移動は神速でなんとかなる。やばい魔物が出てきたら、逃げよう。

 まぁ、そんな考えは杞憂だったみたいで、面白いくらいに普通の魔物しか現れなかった。

 神速で移動しつつ、万属剣で出会い頭に突き刺しまくる。その瞬間に魔物を回収する。核石が飛び出ちゃった場合は、それも一緒に。

 そんな感じで、SPを1000ほど貯めた。

 ステータス半減中は、レベルアップとステータス上昇は、滞納されるらしい。

 ちなみに、新スキルはくれなかった。
レベル上がってないせいだとは思うけどね。

 SPを使うのはまた後にして、戻ろうかな。魔物が予想外にも弱いのが多かったせいで時間かかったね。

「早く帰った方がいいよね、これ。」

 まぁ、遅いより早い方がいいよね。早すぎても、文句を言われることはないからね。

「よーし。じゃあ帰りますか。」
さっきの通った道を逆走して、竹林に戻ってくる。

 神速でもまぁまぁな距離だね……これを歩こうと思ったら、…考えただけでもゾッとするね。何日…いや、何週間くらいかかると思う。

 ひぃ、やばっ。神速に感謝だよ。やっぱり神速は文字どうり神だね、この魔法。

 そんな感じで竹林に入り、魔力で竹林の竹達を動かしていく。

 物を好き勝手動かせるって、少し楽しいかも。

 ちゃんと時間通りに村について、アボデルさんの家の方向に行く。

 もしこれで全員集まってたら……集まってないことを祈ろう。

「帰りました…」
私は静かに玄関の扉を開いて、そしてそっと入った。

「ソラ殿、帰ってきましたか。」
本当に早かったですね、と笑みを湛えて言ってくる。

「何をしていたのですか?」

「ちょっと、1狩り行こうぜしてました。」
「は、はぁ?」とよく分からなさそうに、苦笑を浮かべて返してきた。

 そりゃそうですよね。ここ日本じゃないし。
分かる方が怖いよ。

「じゃあ、座って待っておきます。」
そう言って、長めの机の前に正座でビシッと座る。

 村長の家に集まる人達って、なんか偉そうな人が多そうだし、ビシッとしないとね。
 『こんな小娘が…』とか思われないように、頑張ろう。

 アボデルさんが出してくれたお茶を啜りながら、そんなことを考えて待つ。

 緊張するね。

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 今回の話、本当はないはずな話だったんですけど、ノリで追加してみたら、書くことが本当になくて、やばかったです。

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