49 / 681
2章 魔法少女と竹林の村
48話 魔法少女は、休憩(?)をする
しおりを挟むじゃじゃじゃ……パタパタ…
冷たっ…
んんぅ…、…もう、少し。
「……あっ……」
水の音で起きた私の目の前には、アボデルさんがいる。
えっと、今何時?アボデルさん朝早くない?おじいちゃんやおばあちゃんの朝が、めっちゃ早いって聞いたけど、ほんとなんだ。
「ソラ殿、お目覚めですか。」
優しい笑みで、そう言う。
濡れたタオルをどかして、起き上がった。
「起きたばかりですまないが、今日の話し合いは午後からとなった。空けといてくれ。」
「あ、はい。分かりました。」
その時に、私のお腹からグゥ~っと、鳴り始める。一度鳴いてしまった腹の虫は、一向に治る気配を見せず、私はチラッとアボデルさんを見る。
「昨日から食べてませんでしたからな。今、用意しよう。」
ゆっくりと立ち上がり、台所の方に向かっていった。
「ありがとうございます。」
私はご飯を食べるために立ち上がり、ふと自分の服を見てみると、
「あちゃー、置いてきちゃった。」
上着、あんなところに置いてきたままなんだけど。買い直さなきゃかな?
今度取りに行って、無かったら買おうかな。
しょうが無い。午前はこのままで、狩りに行こう。
そんな風に考えてると、アボデルさんが呼んでくる。
「ソラ殿、出来たぞ。」
「はーい、分かりました。」
私は1つ、大きめのあくびをした後に、襖の奥に進む。
机の上には、美味しそうなご飯が湯気を立てていて、それに反応したかのように、更にお腹が鳴りだす。
「さぁ、食べてください。」
微笑みを浮かべ、指先を食事の方向に差す。
よし、食べよう。いっただっきまーす!
これを食べ終わったら、直ぐに出発しよう。もうダルさも完全に抜けたし、あるのはステータスの変動くらい。
その辺の魔物を倒すのには、十分な力は残ってる。いくら低下してても、簡単に負けるなんてことはない。
私を舐めてはいけないのだよ。
そうしていると、いつのまにかペロッと完食してしまった。
「ふー、満足満足。」
お腹をさすりながら、畳に寝そべった。
「これから、何か御用は?」
「ん?ありますけど。」
……?何かあるのかな?
「いや、午後に間に合うようにしてほしいと思いまして。」
「大丈夫ですよ、間に合わせます。」
ここで間に合わなくて、みんなの機嫌を損ねたせいで、やりたいことが出来なかったら、カロォークには勝てそうもないしね。
「それなら。」
「じゃあ、行ってきます。」
私はそう言って、玄関に向かって歩きだす。
あれ?アボデルさん、私の格好にツッコまなかった。まぁいいや、ツッコまなかったんならそれでいい。
私は、あの最初の竹林のところまで歩いていっている。
今の私は、この竹林の支配者になってる。何かを出さないようにするにも、出そうとするにも、私の自由。
だから今から、私は一旦外に出て狩りに行く。
移動は神速でなんとかなる。やばい魔物が出てきたら、逃げよう。
まぁ、そんな考えは杞憂だったみたいで、面白いくらいに普通の魔物しか現れなかった。
神速で移動しつつ、万属剣で出会い頭に突き刺しまくる。その瞬間に魔物を回収する。核石が飛び出ちゃった場合は、それも一緒に。
そんな感じで、SPを1000ほど貯めた。
ステータス半減中は、レベルアップとステータス上昇は、滞納されるらしい。
ちなみに、新スキルはくれなかった。
レベル上がってないせいだとは思うけどね。
SPを使うのはまた後にして、戻ろうかな。魔物が予想外にも弱いのが多かったせいで時間かかったね。
「早く帰った方がいいよね、これ。」
まぁ、遅いより早い方がいいよね。早すぎても、文句を言われることはないからね。
「よーし。じゃあ帰りますか。」
さっきの通った道を逆走して、竹林に戻ってくる。
神速でもまぁまぁな距離だね……これを歩こうと思ったら、…考えただけでもゾッとするね。何日…いや、何週間くらいかかると思う。
ひぃ、やばっ。神速に感謝だよ。やっぱり神速は文字どうり神だね、この魔法。
そんな感じで竹林に入り、魔力で竹林の竹達を動かしていく。
物を好き勝手動かせるって、少し楽しいかも。
ちゃんと時間通りに村について、アボデルさんの家の方向に行く。
もしこれで全員集まってたら……集まってないことを祈ろう。
「帰りました…」
私は静かに玄関の扉を開いて、そしてそっと入った。
「ソラ殿、帰ってきましたか。」
本当に早かったですね、と笑みを湛えて言ってくる。
「何をしていたのですか?」
「ちょっと、1狩り行こうぜしてました。」
「は、はぁ?」とよく分からなさそうに、苦笑を浮かべて返してきた。
そりゃそうですよね。ここ日本じゃないし。
分かる方が怖いよ。
「じゃあ、座って待っておきます。」
そう言って、長めの机の前に正座でビシッと座る。
村長の家に集まる人達って、なんか偉そうな人が多そうだし、ビシッとしないとね。
『こんな小娘が…』とか思われないように、頑張ろう。
アボデルさんが出してくれたお茶を啜りながら、そんなことを考えて待つ。
緊張するね。
———————————————————————
今回の話、本当はないはずな話だったんですけど、ノリで追加してみたら、書くことが本当になくて、やばかったです。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる