魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

46話  不安(チャール視点)

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 今この村には、ある危機が迫っている。
僕たちの村には、魔物が襲ってきたんです。

 僕たちには、それを対処する力がなくて、外の街まで依頼を届けることにした。

 そうしてから、何週間か経った時。
1人の少女がやって来た。

 名前はソラ。本当だったら、学舎か何かで勉強をしているような歳なのに、彼女は自分を冒険者だと言って、ギルドカードを渡して来た。

 そのランクは、Cだった。
このランクになれば、中堅冒険者として活動することができると、聞いたことがあった。

 こんな少女が、1人でここに来ていると言うのも驚きだけど、そんな彼女が、ランクCなのは、もっと驚いた。

 ようやく助けが来たんだと、嬉しくて、その時は泣きそうになりました。
 大の大人にもなって、こんなことで泣くのは格好悪いと思って、頑張って涙を堪えました。

 でも、それは僕の勘違いでした。

 彼女は依頼と言っていましたけど、それは違う依頼のようでした。

 僕の早とちりで、あらぬ誤解を生んでしまって、彼女にも迷惑をかけてしまって、それに厚かましく依頼を頼んでしまいました。

 そんな僕たちに、彼女は手を差し伸べてくれたんです。この暗闇から、抜け出すために。

 少し、嫌そうな顔をしてたような気もしますけど、それでも、助けようとしてくれたことには変わりありません。

 そんなお礼も兼ねて、旅館を用意したり、きれいな夕日の見える場所まで案内したりしました。

 そして今。
彼女が、命の危険に瀕しています。

 僕は、恐怖のあまりに動くことができない。
彼女は、嫌な顔をしつつ、カロォークに攻撃をします。

 僕たちが、近づくのがやっとだったカロォークに、焦げ跡を残しました。

 それだけでも、僕たちの中では凄いことです。
このままずっと戦うことが出来たら、勝てるかもしれない…もしかして逃げられる……と思っていました。

 でも、カロォークが空高く飛んで、僕の方に降りて来ます。
 僕は動けません。

 彼女がなんとか僕の元に来て、攻撃を防ぎましたが、反動で飛ばされてしまいます。

 僕のせいで、今彼女は、ソラさんは、危ない状況にいます。

 なにか、なにか、僕にできることはないでしょうか?
 何も出来ずに、負けを、死を見るなんて出来ません。せめて何か、1つ。1つで良いので…

 そんな願いなんて、叶うはずもなく僕はその場で茫然と、立ち尽くしているのみです。

 助けてください。なんでも良いです。彼女を助けて下さい。悪いのは僕です。僕が、彼女を呼び止めて、依頼を頼まなかったら、彼女はこうは何りませんでした。

 神様でも、天使でも、悪魔でも、なんでも良いです。助けて、助けて下さい。

 そんな願いが通じたのか分かりませんが、彼女は立ち上がりました。

 格好が変わっていて、それでも、強い力を放って、立ち上がります。

 このまま何も出来ずに、死んでしまったらどうしよう。彼女がもう1度挑み、負けてしまったらどうしよう。そんな不安が、頭をついて離れません。

 そもそも、彼女が命を懸けて戦っているのに、僕はなんなんでしょう。
 こんなところで突っ立って、こんな考えを巡らせて、もう少しまともなことをしたらどうですかと、怒られてしまいそうですね。

 それでも僕は、見守ることしかできません。何かしようと思っても、結局足手まとい。こうしているのが、1番なんだ…

 そう、心に言い聞かせる。

 ……ダメだ。そんな考えじゃ。やらなきゃいけない。やらないと、何か一つでも、隙を生ませることが出来たら、そうだ。

 僕の足元にある、この竹達は、刺竹しちくと言って、割ると、鋭利な歯の形をして割れる、謎が多い竹です。

 これを投げれば…

 動け、動け、動け、動け、動け……
僕は、思いっきり目を閉じて、下に落ちている竹に手を伸ばす。

 それを掴んだ僕は、思いっきり、僕の出せるフルスピードで、竹を投げつける。

 そんな攻撃も虚しく、ボヨンと跳ねて、戻って来てしまうけど、こちらを、カロォークが向く。

 怖い、怖い、怖い。
それでも、隙が生まれた。

 その瞬間、ソラさんの声が聞こえてきて、抱えられてその場から、離れていってしまった。

———————————————————————
 ソラに連れられ、林の外へ。先は地獄か、天国か…


 今回は、チャールさん視点ということで、今までの振り返りと一緒に、少し新しい話を混ぜました。

 ソラの視点では、チャールさん描写がなかったので、かわいそうという気持ちから作られました。(大嘘)




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