42 / 681
2章 魔法少女と竹林の村
41話 魔法少女は説明を聞く
しおりを挟む「あぁ~はぁーー…」
私は今、温泉にザバーって感じで浸かってる。
朝にこうやって風呂に入るのって、気持ちいよね。こう、なんか、心が穏やかになるね。
別に私の心が汚れてるとかじゃないよ⁉︎
今日は、アボデルさんが依頼内容について教えてくれるらしい。
…そもそも依頼内容知らないのに、依頼を受けるなんて、おかしいと思うのは、私だけじゃないはず。
それを、受けた本人の私が言うのもなんだけど。
そろそろ出ようかな。
それから部屋に戻ると、朝食が用意れていたから
それをもぐもぐと食べて、外に出る準備をする。
まぁ、準備するものなんて何も無いけどね。
「えっと、確か村長の家に集合だった気が…」
畳の上に置いたステッキ回収して、部屋を出る。
私は、何をどうやっても断ることはできない。何故かって言うと、見ての通りこんなに旅館を楽しんでしまってる。
ここまで楽しんで、依頼は無理ですとか言ったら、それはその人の感覚を疑うよ。
村長とか、領主(主にフィリオ)の家ってなんでこんなに端っこに立てられてるだろう。
メタいこと言うと、作者の事情なんだけどね。
こんなこと言うと、私の存在が謎のものになりそうだから、ちょっとメタ発言は自重しよう。
よし、そろそろ真面目にいこう。私のキャラが壊れてしまう前に。
もう壊れてるだろって言った奴は、このステッキで頭を叩き割るよ。
……すいません、そろそろほんとに真面目にいきます。
私は、ササっとアボデルさんの家に向かう。途中でチャールさんとも会って、一緒に行くことになった。
もちろん、話すことが無くて、気まずくなったは言うまでもないことだね。
「いらっしゃい、さっ入ってください。」
「お邪魔します…」
「お邪魔します、アボデル村長。」
私たちは、アボデルさんの家に入り、こないだと同じように座布団(?)に座る。
お茶を出されたので、一啜りして、アボデルさんが座ったのを見て、こう切り出す。
「それで、依頼内容はなんですか?」
「あぁ、説明しよう。」
アボデルさんは、そう言って説明を始める。
まとめるとこうだね。
これは昨日も言われたことだけど、カロォークの討伐をしてほしいと言うこと。
今のところ打開策は思い当たらないらしく、カロォークの生息場所はアボデルさんの家から、少し離れた向こうの竹林のどこかにいるらしい。
カロォークは、勝手に竹を破壊したり食べたりして、助けてほしいとのこと。
縦横の長さが、約数mで、カタツムリのような姿をしているらしく、普通に戦っても傷ひとつつけられないそう。
試せるものは試したらしい。
剣、槍、弓。使える武器や攻撃を最大に使っても倒せなかったから、外部に助けを求めて、1人の男性を街に行かせたらしい。
その辺は昨日聞いたね。
最後に、カロォークは攻撃されて、だいぶお怒りのようだ。
「それでも、受けてくれるか?」
「受けますよ。」
ここで受けないとか言ったら、罰当たりそうで余計に怖いし。
こんな風に異世界に送ったんだ。絶対どこかで私のこと見てるでしょ。
「では、討伐の日時はどうしましょう?」
「ソラ殿に好きに決めてもらおう。」
そう言って、2人は私のことを見る。
何か期待されているような目で見られるから、なんか緊張するんですけど。
明日行けってことですか?そうなんですか?
……仕方ない。明日行くよ。
どっちみち、いつか行かなきゃいけなくなるんなら、早めに行ったほうがいい。
そっちのほうがより楽だしね。
楽を求めるなら、面倒も必要ってね。
バカの天才は紙一重って、よく言うでしょ。
それと一緒で、楽と面倒は紙一重ってことよ。
「明日行きますよ、討伐。」
そう私が言うと、2人は驚いたように口を開く。
「だってそうでしょ、早く討伐しないと、村のみんなも危ないし。」
私は、建前を口に出してそれらしい理由を言う。
別に、そう言う考えが無かったってわけじゃないし、ちゃんと、村人のこと考えてたし。
「そこまで考えてくださって…ソラ殿、感謝しても仕切れない。」
勢いよく頭を下げて、また土下座の体制になる。
アボデルさん、土下座好きだね。もう、見慣れちゃった。
「ほら、チャール。お前も頭を下げなさい。」
「はい、この小さな村のために、ありがとうございます。」
2人の大人が、(1人はお爺ちゃん)17歳の小娘の私に頭を下げてるという、謎の構図が出来上がってしまった。
一体、これを見た時、人はどんな反応をするんだろう。
これじゃあ、一方的に私が与えてばかりと思われてしまってるんじゃない?
もう旅館で遊んで十分なんだけどな。
……そうだ。
「じゃあ、依頼を完了させられたら、何か私の言うこと、一つでいいから聞いてくれない?」
私はそんな提案を出す。
そうすれば、ウィンウィンじゃない?
向こうは討伐できて嬉しいし、こっちはこっちで、一つの村に一つのお願いができる。
何にしよっかな。旅館無料宿泊券とか、竹も欲しいし、う~ん。悩むね。
「そんなことでいいのか?なら、どんな願いでも、なるべき聞き届けよう。」
やった、これでモチベーションも更に上がるね。
「ねぇ、この村の観光スポットとかない?」
この後の時間は暇になるし、行っておきたい。
「僕は知っていますよ。」
チャールさんは、小さく手を挙げてそう言う。
「ソラさんと会った、あの石畳の道の脇道を通って、小高い山のような場所を登ると、とてもきれいな景色が見られるんです。」
「あそこか…確かに綺麗な場所だったな。」
思い出すようにぽつりとこぼす。
「今から行けば、夕日も見られますよ。」
案内しますよ、と言って立ち上がった。
夕日ね。昨日の露天風呂?の夕日の景色も綺麗だったし、行ってみてもいいかもね。
「じゃあ、お願いします。」
「それじゃあ、ついて来てください!」
アボデルさんに、「お邪魔しました、アボデル村長」と言っているチャールさんの後ろを、ゆっくりついていく。
「お邪魔しました。」
ガラガラと扉を閉め、笑っているチャールさんの後についていく。
———————————————————————
これから討伐へ!…ではなくて、綺麗な景色を見に行きます。
のんびり回です。のんびり回。
後、チャールさんは、21歳のちょっと子供っぽい設定です。
こんなこと言ったってことは、何かあるということかもしれませんね。
すいません、投稿忘れてました。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる