41 / 681
2章 魔法少女と竹林の村
40話 魔法少女は旅館を満喫する
しおりを挟む「いっただきまーっす!」
ぱん、と手を合わせてご飯を食べ始める。
さっき料理が運ばれて来て、机の上に乗せられた。
パッと見た感じだと、テレビで見るような旅館っぽい料理だね。
小鉢が6種類程あって、大鉢が4種類ある。
旅館って、なんか小鉢とかでたくさん出てくるイメージあるけど、ほんとに出るんだ。
さっきおかみさんが言ってたけど、後でデザートも来るらしい。やったね。
味の薄いもの順に食べてくと、美味しく食べられるらしい。(テレビで見た)まぁ、どれが薄いか分かんないけど。
それじゃ、改めて、いただきますということで。
何から食べようか?
竹のお吸い物?なんか、竹が入ってるお吸い物がある。飲もうか。
うーん、丁度いい味付けじゃないかい。竹の可能性を感じた。凄い。
これをちょびちょび飲みつつ、色々つまもう。
煮物とか(もちろん竹&タケノコ入り)、魚に見えてしょうがない竹の焼いたやつを食べる。
「うん、美味しい。」
あんな紹介だけど、真面目にやってるよ。ネタじゃないよ。
そんな感じで、小鉢は食べ切った。
あとはご飯とミニ鍋だね。
ご飯の蓋を開けると、炊き込み竹ご飯が入ってる。
「おぉ、こんなところにもon the竹。」
竹は英語でバンブーでしょっていうツッコミは置いといて、食べようと。
「美味しい。竹がいい味出してる。」
食感もなんというか、…いい感じ。
同じようなことしか言ってないけど、別にグルメリポーターでもなんでもないんだから、関係はない。
「美味しいものを美味しいと言って、何が悪いというのだよ。」
箸をぱくぱくと動かして、誰もいない虚空に話しかける。
さっ、次で最後だね。
竹のすき焼きのようなやつ。肉が、竹だね。
味付けは、完全にすき焼きのような、なにかだよ。具材はもちろん数種類の竹。
もう、何があっても竹で片付けられるね。
ほんとに竹が凄過ぎる。
これも美味しく食べ終わり、私は床で満足して寝転ぶ。
「あー、お腹いっぱい。」
いっぱい食べて、満足満足。
数分経ったところで、おかみさんが食器を下げてくれて、デザートも置いていく。
「oh…竹。」
驚きのあまり、英語がでてしまった。
まさか、デザートまで竹とは思ってなかった。
食べてみた結果、普通に美味しかったのは、また別のお話ということで。
「それじゃあ、行きますか。」
バッと立ち上がり、私は靴を履いて部屋の外に出る。
確か、こっちにあるって言ってたよね。
「おっ、発見。」
のれんのかかった場所があり、入ってみると更衣室になっている。
誰もいないから、ゆっくり浸かれるね。
服を脱いでるから、今の私は普通の女子高校生に逆戻りだね。
扉を開けて中に進むと、シャワー室?なのかな?そんなとこがあって、その奥(外)に行くと、露天風呂になってる。
檜風呂?って言うのかな。それの竹版。竹風呂。
私はシャワーで体を流してから、風呂に入って、もう1回流す派だから、シャワー室に入る。
……石鹸までもが竹の香りがするのは、どういうことだろうか。
「ま、いい香りなのは違いないけど。」
泡立たせながら、そんな独り言を呟く。
軽く水で流し終えて、タオルを巻いてから風呂に入る。
「あ、あぁ…気持ちぃ。」
温泉の気持ちよさに、思わず声が漏れ出てしまった。
この前飲んだお茶を、温泉にしましたって感じだね。
こう、身体中全てに行き渡る感じ。
身体が軽くなってくる。
肩こりとか腰痛とかが、治りそうな温泉、それがこの竹温泉。
「…温泉のせいで、頭おかしくなった?」
まっ、そんなことはどうでもいい。この気持ちい温泉を、満喫しなくては。
…やばい、ここまで楽しんだからには、ちゃんと依頼しないと。
「魔物にやられて、この村が無くなっちゃうのはちょっと勿体無いな。」
綺麗な景色を見ながら、そう小さく漏らす。
よし、やるか。依頼。元からやらなきゃいけなかったけど、ちょっとやる気出た。
この村を救えば、ヒーローになって、優遇とかされそうだし。(下心しかないのは許してほしい。)
私の性格上、1回こうと決めたら、曲げない性格だから。絶対に守ってみせるよ、この村を。
こんなカッコつけたこと言ったら、フラグ立っちゃうじゃん。何してんの、私。
でも、言葉に出してないから、セーフ。セーフだとも。
「はぁー、もう出ようかな。」
体をグッと伸ばして、立ち上がる。
静かな夕日に、温泉の水の音が鳴り響く。
「静かだなぁ。」
こんな平和で、綺麗な街に魔物がいる。到底想像もつかない。
シャワー室で、軽く体を流してから、脱衣所に戻る。
頭を乾かそうと思ったけど、ステッキを部屋に忘れたので、仕方なく濡れた髪のまま部屋に戻る。
濡れた私の青い髪は、ラピスラズリのような色で、輝いている。
綺麗だとは思うけど、私はこの髪は好きじゃない。いい記憶なんて、無いからね。
まっ、そんな話する機会ないし、忘れよ忘れよ。
部屋に戻った私は、ステッキから出る髪を乾かし、敷かれていた布団にバタンと飛び込んだ。
「ふっかふかだ。」
今日は早寝しよう…なんていうと思った?夜更かしするに決まってるじゃん。
しようじゃないか。夜の旅館といえばの、あれ。
1人じゃできないけど、魔法で代用すればいいよね?
私は枕に魔力を付与させて、ステッキで動かす。
オートモードとかあったら、楽なのにな。
そんなスキル、都合よくないよね。
主人公補正(自分で主人公と言っていくスタイル)
でなんとかならない?
これが小説とか漫画とかになったら、確実に主人公コースだよね。私って。
そんなどうでもいいことを考えて、枕投げを開始する。
そのあと、おかみさんに怒られてしまったのは言うまでもない。
———————————————————————
今回は、ただ単にソラが旅館を楽しむ話ですね。
自分の髪の毛が嫌いな理由は、いつか話します。
髪の色の話が最初に出てきたのは、洞窟の辺りでしたね。
そこからずっと、触れずに置いといてます。(ただ話を作るのがめんどくさかっただけどは言えない。)
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる