魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

38話  魔法少女は村長の元に向かう

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 チャールさんは、門の手前で私を止めて、門の方へ行った。

 何しに行ったの?私のことについて説明に行ったのかな。
 数分経って、戻ってきた。門番と一緒に。

 だからなんで嬉しそうなの?ちょっと、誰か理由教えてよ!

「ソラさん、通っていいですよ。」

「はっ、はぁ。」
私はそんな風に適当に返して、またチャールさんの後ろをついていく。

 門番の人は、何故か笑顔で手を振っていた。
……なんか怖い。

「チャールさん、私って今、どこに向かってるんですか?」

「村長の家ですが。」

「はぁ!!」
私は、そんな声を出してしまうほど、驚愕した。

 えっ、村長の家?意味分かんない。
ただ村案内してくれるだけじゃ無いの?

 村長のところに行くなんて、聞いてないよ?
それだったら私、帰りたいんだけど!

 アイドントウォントゥーゴー!アイドントウォントゥーゴー!

 わがままと言われようがなんと入れようが、意味もなく村長の家になんて行きたく無い!
断じて、行きたく、ありません!

「あの、いや…なんですけど。」
顔を引き攣らせて、言ってみる。

「?どうしてですか?依頼に来たんですよね?」
そんな風に、私が嫌がる理由が分からないように、首を傾げた。

「?」
「?」

 なに?えっ、まぁ依頼だけども。
別に村長とは関係なく無い?

 まさかっ、『この村のことを広めたくば、村長の許可を取れ』ってこと?
ぐぬぬ、厄介な村め。

「はぁ、分かりましたよ。行きます。」
一目で分かるほど、嫌そうな顔をしつつそう答える。

 少しは納得したみたいで、村長の家に向かって歩き始める。

 気を、紛らわそう。
わー、凄い。色んなところに竹が使われてる。
凄ーい、そんなところにも竹って使えるんだー。

 そんな棒読みな感想を頭の中でして、村長の家のことを忘れようとする。

 人間誰しも、現実逃避がしたくなることはあるはずだよ。
 今回私がそうだっただけだ。そうに違いない。

 よく分からない確認をしつつ、歩く。

「ソラさん、ここが村長の家ですよ。」
手を目の前の家に向ける。

 おぉ、広い。結構広い。
大きめの二階建てで、横に長くなってる。

 庭の方を見てみると、お婆ちゃん家の近くにもあった、小さいため池があって、中には鯉、ではないけど魚が泳いでいる。

 家はもちろん竹で作られ、周りの装飾品も竹だらけ。これこそ竹村だね。

「それでは、確認に行きますから、少々お待ちください。」
そう言って、小走りで玄関に向かってノックする。
そこから7、80歳のお爺ちゃんが出てきて、チャールさんの話を聞いている。
 すると、私の方を見てから、目を見開いて口を動かした。

 多分「なんじゃと!?」とか言ってるんだと思う。
 偏見なのは仕方ないことだと、私は思う。

 お爺ちゃんは、慌てて家に戻っていく。
その様子を見届けたチャールさんは、こっちに戻ってきてから、「入っていいですよ」と促す。

 まぁ、入るだけなら…とは行かないよ。
って言いたかったけど、行くって言っちゃったしなぁ。

「…失礼しまぁす。」
小さくそう漏らした。

 家の中は、ザ•田舎の家って感じがして、懐かしい気がしてきた。

 やっぱり、こういう自然とか田舎って行くと、お婆ちゃんの家とかと重ね合わせて考えちゃうから、どうしても懐かしく感じる。

「いらっしゃい、お嬢さん。」
柔らかい表情で笑いかけながら、「どうぞ、」と部屋に案内してくれる。

 そのまま部屋に入り、竹の匂いに包まれた、和室風の部屋の座布団?に正座して座った。

「はい、この村に生える、特別な竹のお茶だよ。」
「飲んでみてください」と優しい口調で竹筒に入ったお茶を勧めた。

 お茶、ねぇ。観察眼!

 再生の竹のお茶
アボルデルに自生する数多くの竹の中の一つ、再生の竹の葉を茶葉とし、竹筒に入れて完成となる。
治癒効果が見られ、体が軽く感じる。

 想像以上にすごいお茶!っていうか、ここに生えてる竹ってそんなに種類あるの?
 そりゃあ竹だけで生活もできるよ…

「お嬢さんも気になりますかな?」
お茶を見つめる私に、そう声をかける。

「この村の竹は凄くてな……」
とお爺ちゃんは、この村の竹について説明する。

 まとめるとこうだ。
この村には、未だ発見できていない竹があるほど、種類が多く、家や服も、種類に合わせて色々な竹を使っているらしい。

 ちなみに食用もあるそうで、そこには私も驚いた。

 話を聞いた後、試しにお茶を飲んでみることにして、一口啜った。

「美味しい。」

「そうでしょう。」
チャールさんも、お茶を飲みながらそう言う。

 ふと声が漏れ出るくらいの美味しさだね。
日本ではお茶って、あ○たかとか、伊右○門とかしか飲んでなかったから、知らなかった。
(私の飲み物は、水かジュースだ)

 味はあや○かをもう少しスッキリさせて、竹の風味を追加した感じだね。美味しい。

 ズズズとお茶を啜っていると、お爺ちゃんがこちらを見てくる。

「どうしました?」

「いや、お客さんなんて、どれだけ振りかと思ってね。」
そう笑顔で答える。

 まぁね、あんな竹に囲まれてたら、行きたくても行けないし、出たくても出られないと思う。

「それでは改めて礼を言う。こんな古びた村まで、依頼に来てくれて感謝する。」
土下座のような形で、頭を垂れた。

 え?なんで感謝されてるの、私?
何もしてないのに、え?ほんとになに。なんなの。

「彼は、無事に街に着いてくれたんですね。」
チャールさんが、涙を浮かべながら言う。

 なに?彼?街に着く?
なになに、ほんとに何が起きてるの?

 次のお爺ちゃんの台詞で、私はとんでもなく驚くことになる。
 それは

。」

「はぁぁぁぁぁ!!!」

———————————————————————

 お茶って美味しいですよね。
皆さんはお茶、なに飲まれます?
 
 お茶なんか飲まねぇよって方は、挙手を。

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