魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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2章 魔法少女と竹林の村

35話  魔法少女は竹林へ向かう

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 あの竹林までって、どのくらいだっけ?

 私はギルドを出た後に、真っ直ぐ道を通り過ぎていった。
 門に行くと、門番の人に店の話を振られたので、簡単に返して門を通る。

 よっし、ようやくあの気になるところに行ける。…これは、私的な理由じゃなくて、仕事だから。仕事。うっ、うん。

 そう自分に言い聞かせて、この間の黒丸を魔力感知で探す。

 魔力阻害で阻害されてるから、分かりやすいね。
こう、地図みたいなのの中に、でっかく黒丸がある。

 多分あれだよね、竹林って。
…入口が分からない。竹林自体の場所は分かるんだけど、入口は?

「ここのどこから入ればいいの…」
私は適当にぐるぐると回ってみる。

 すると、徐々にそこには竹が生え始めていた。
どういう原理?これ。

 竹林に近づいてるってことかな?
迷いの竹林って言うくらいだし、霧でも発生してくるのかと思ったんだけど、ほんとにただの竹林なんだ。

 歩いても歩いても、ただ単に竹の量が増すだけっていう、なんか面白いね。

 この竹林の先に何があるんだろう。あんまり迷わせてきてない感じからすると、中に村とか街とかあったりするんじゃないかな?

「どこ見ても、竹、竹、竹。」
…嫌になってくる。

 目の前の左右、前後、全てが竹。上を向いたら。

「竹が、しなってて、蓋をしてる。」
ははは、と薄い笑いをする。

 いや、ね。あれだよ。もっと楽しい感じのを思い浮かべてたんだよね。

 こうなったら、魔物来ーい。
そうでもしないと、私は暇で暇で、暇だよ!

 語彙力の喪失が見られているけど、そこは気にしない方向で。
 私は、こういう時はちゃんと運が発動する。

 魔物の場合は、呼べば出てくるんだよね。
これは、いい体質なのか、悪い体質なのかはよく分からないね。

 まっ、いっちょ叫んでみますか。

「魔ー物~こっちに来~い!」
私は、誰もいない竹林の中で、叫び声を上げる。

 ……アニメとかで言ったら、ヒュ~って風と木の葉と一緒に、音が鳴っているんだと思う。

 そう、魔物が来ないのだ。
殺して、いっそもう、殺して。来ないんだったら来ないって言ってよ。

「って、そもそもいないんだから言えないでしょ!」
そんな空い独り言も、誰にも聞かれずに、風に流されていった。

 あれだけ『私は、こういう時はちゃんと運が発動する。』とか言ってたのに、全く発動してない、私の運!

 入口、無し。出口、無し。魔物、無し。
あるのは数えきれないほどの竹と、私だけ。

 もうこうなったら、こんな竹、薙ぎ払ってやる。

「アクアソーサー!」
いくつものアクアソーサーを作り出し、四方八方に、飛ばしていく。

 まるで、木をカットする丸いあれみたいに回転しながら切っていく。

 あれの名前って、分からないよね。
別に知ってても何かあるわけじゃないし、チェーンソーもどき(丸型)でいいや。

 そんなチェーンソーもどき(丸型)が、竹を切り刻んでいく。

 それに対して竹側は、とてつもない生命力と、再生力によって、切られた端から再生を始める。

 その竹は、意志を持ったかのようにしなり、襲いかかってくる。

 私はなんとかチェーンソ…アクアソーサーで切ったおかげで、防ぐことができた。

 えっ、竹って攻撃できるの?竹って確か、全部が根で繋がってるんだよね。

 だからここに生えてる竹は、全部敵なの?
 
「竹、恐ろしい。」
流石に燃やしちゃうのは憚られるので、アクアソーサーで切りながら進むことにする。

 あれ、これ攻撃しちゃダメだった系のやつなの?私が攻撃したせいで、攻撃してくるの?

 この竹林、謎が多い。でも、だからこそいい!
いいじゃんいいじゃん。こういうやつを求めてたの。こういう謎とか気になっちゃうよね。

 こういうのって大体は、竹が勝手に移動して、道を阻んでくるとかでしょ。
 それにプラスして、魔力阻害。普通の人だったら、簡単に迷っちゃうやつだね。

 だがしかし、私は魔法少女。普通、出来ないことも、私にだったら出来るかもしれない。

 私のスキルの中で、使えそうなのないかな?
竹に魔力付与して、竹の動きを把握するとか?

 まぁ、まずは簡単に出来そうなのからいきましょうか。

「えっと、身体強化に足に魔力付与っと。」
こうすれば、格段に脚力が上昇するはずだ。

 しゃがみ込み、勢いをつけてドォーン!と高く跳んだ。

 地面には、くっきりと足跡が残ってる。
私は、適当にしなってる竹を切って、再生し始めたところを掴む。

「おぉ、いい眺めですなぁ。」
言葉遣いが変わってしまったけど、綺麗だから仕方ない(?)。

 竹林の中は、普通に朝方くらいの明るさっていうか、光だったけど、外を見てみたらもう日も暮れかけてる。

 時間感覚が麻痺ってきてるね。そんな時間経った?

 ちなみに今捕まってるところの高さは、見た限りビル10階ぐらいの高さ、30メートルくらいある。

 今、ものすごく怖い。
綺麗な景色で、恐怖をなんとか抑えてるけど、これ降りる時大丈夫だよね?

 外を見ても、成果は景色しかなかったから、降りることにする。

 手を離すと、すごいスピードで落下して、体が少し回る。
 綺麗に着地したい!
 私の、人生で一度でいいからやってみたいことランキング第24位ぐらいの、くるっとして着地!っての。

 勢いに任せてやってたら、くるっじゃなくて、ぐるぐるになるから、ウィンドカッターでうまく調節し、一回転する。

「あとは着地っ。」
足に魔力とウィンドカッターの足場を作り、スー、ストンッ。と着地する。

「よし、出来た。」
私は満足げにガッツポーズをとる。

 ……本題の出口のことを忘れてた。

———————————————————————

 竹林に入ったはいいものの、出口も入口もわからなくなったソラです。



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