魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

文字の大きさ
上 下
30 / 681
1章 魔法少女と異世界の街

29話  魔法少女は面接官

しおりを挟む

 私は今、ギルドにいる。
何故かと言うと、面接する場所は、ギルドの一室を借りることになったからだ。

 するとテレスさんとロア、サキがやってきた。
ロアとサキは、あの時のギルド嬢(ファーテルさんと言うらしい)に預けるそうだ。

「ソラさん、お待たせ致しました。」
少し息を切らして、テレスさんが私の元にやってきた。

「ソラお姉ちゃん、こんにちは」

「お姉ちゃん、こんにちはー」
二人とも、元気にそう言ったので、私も「こんにちは、二人とも」と言って笑い返す。

 私たちは、適当に挨拶を交わしてギルドに入った。
 ギルドにはあまり冒険者はいない。
多分まだ依頼をしているんだと思う。

「おぉ、来たか。」
そうギルマスが言って、部屋に案内される。

 私は、フードを取り、昨日作った、めちゃくちゃに調節させたロックウォールを眼鏡状にした奴をかける。

 少しは、面接官っぽくなったんじゃない?
どうよ、この眼鏡。よくない?

 クイっと眼鏡を指であげた。
これ、ずっとやってみたかったんだよねー。

「ソラさん、何してるんですか?」
不思議そうにテレスさんは聞いてきた。

「雰囲気づくりだけど。」
もう1度、眼鏡をクイっとあげてみた。

 これ、楽しいね。眼鏡の機能は無いけど、曇らないし、それっぽくもなるから、いいね。

 そんな遊びをしていると、1名、部屋に入ってきた。

「あれ、早くない?」
ちょっと早いよ。私まだ、席着いてない。

 急いで席に着き、姿勢を整える。

「そんな畏まらなくてもいい。俺の娘なんだからな。」
ギルマスはハッハッと笑って言った。

「お父さん、酷いですよ、それは!」
桃色の髪に、横で細長く留めていて、ツインテールのような髪型で、瞳の色は薄みがかったピンク。

 身長は、私より少し上くらいで、大人っぽいかと言われると、どちらかと言うと、子どもっぽい。

「早く自己紹介をしろ。」
ギルマスに急かされている。

 別に、そんなに急いでないからいいのに。
「はぁ」と、短くため息をついて、息を吸った。

「こんにちは、私は、この冒険者ギルドのギルドマスターの、娘で…」
そのとき、ギルマスが、結構強めに手刀を入れた。

「痛っ!何するのお父さん!」
わーわーと、手刀を入れて来たギルマスに文句を言う。

「俺の肩書きは、お前のためにある物じゃない。お前に、ギルマスの権限は何一つ無い。だからお前はただの19の娘だ。」
「やり直せ」と言われたギルマスの娘は、納得がいかないように、もう1度口を開いた。

「私はティリーです。お父さんに紹介されて来ました。可愛いお店で働きたいです!」
元気いっぱいで、目を輝かせて言うが、面接とはそう言う物ではない!

 今の私は面接官だ。それらしく振る舞おう。
私は再度、眼鏡を指で持ち上げて言う。

我が社私の店に就職したいという志望動機は、「可愛いから」でよろしいでしょうか?」
別に、そんなことどうでもいいけど一応聞く。

 そして、ギルマスとテレスさんの視線が痛い。
なんだこいつ、みたいな目で見ないで。

「はい!」
元気よく返事する。

我が社私の店は住み込みでの働きで、初任給は銀貨18枚。1年目は22枚それから徐々に上昇していきます。」
この時のために作っておいた、この資料を持ち、紙を揃えるように、トントンと机に当てる。

「これが資料です。よろしいでしょうか。」
眼鏡をクイっと上げる。

「はっ、はい!」
資料には目を通さず、承諾した。

 いや、そこは目を通そうよ。ブラック企業だったらどうするの?

「定休日が週に2日。値段や品、接客の仕方などは、この資料を見て下さい。」
それから私は、「最後に」と続けて、

我が社私の店に就職が決まった際の、一言で抱負をお願いします。」
ほうふ?と意味が分からないように、首を傾げ、ギルマスに意味聞いて、答える。

「一杯、一杯頑張ります!よろしくお願いします!」
抱負にはなっていないけど、真面目でいい子そうだ。

 私は眼鏡をクイっと上げて、ギルマスを呼んだ。

「こないだ送ったあれ、出来てる?」

「あぁ、試作品だが5つあるぞ。」
それを受け取り、1枚を残して、残りの4枚を収納した。

「また後日、これから連絡が行きますので、よろしくお願いします。」
連絡カード、略してレンカ(ネーミングセンスは置いといてほしい)を渡す。

「はっ、はい!」
レンカを受け取ったティリーは、期待と不安を持ちながら、帰っていった。

「ソラさん?今のなんですか?」
面接官風をしている私にそう言ってくる。

「いや、それっぽいかなぁと。」
耳がちょっと痛くなってきたので、眼鏡を外しながら答えた。

「ティリーさん、どうします?」
テレスさんが、採用の件について聞いてきた。

「あんな緩い感じだけど、根は真面目そうだし、採用でいいんじゃない?」
ギルマスからは、不採用でも、クビにしてもらってもいいと言われたけど、流石にそれはしにくい。

 ダメならダメで、私の見る目が甘かったと言うことで。

「ソラさんがいいなら、俺もいいです。」
次は確か親子だっけ?

 あの家に3人…入るね、普通に。
私の魔法で、2階の部屋を分担して、風呂とか作れば住めるね。
 階段もつけないとダメか。

 4人で慣れてきたら、増やさせて貰おう。

「テレスさんがリーダーなんですから、ちゃんと教育して下さいね。」
大丈夫だろうけど、一応言っておいた。

 テレスさんには、こないだ私が料理を教えたので、教育を頼む。

 レシピは、一切の漏洩を禁止してるから、今レシピを知っているのは、テレスさんしかいない。

 なんでかって?材料がこの世界に無いものもあるからだよ。(憶測に過ぎないけどね)

 私は、ギルマスが出してくれたお茶を啜りながら、一息つく。

 そろそろ眼鏡かけとくか。
閉じていた眼鏡を、再び開いて、掛け直した。

———————————————————————

 突然、できる女を醸し出してきたソラさんでした。
 眼鏡をかけたことの無いソラさんは、作った眼鏡で遊んでます。


「面接するなら、メガネとか欲しいな。」

「少し難しいけど、ロックウォールをっと…」

「出来た!!やった!完成だ。」

 こんな感じで内心、結構な力作で、作れた時は、はしゃいだソラでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...