魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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1章 魔法少女と異世界の街

27話  魔法少女と試食会

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 私は一通り料理を出し終え、ドリンクも用意し始める。
 出来立てで仕舞ってるから、熱々だよ。

 なんか、みんながこっちを見てるんだけど。
どうしたの?何かあった?

 ……よく考えてみれば、私の収納の能力のせいだよね。うん、絶対にそう。

 その中でもフィリオとネルは目を細め、自分の見ている物が、信じられずにいるようで、目を擦っている。

 マリンさんも目を開いて、そして不思議な笑みを浮かべた。

「何故、驚いていないんだ?」
フィリオはみんなが驚かないことに、疑問を持っている。

「このことを知らないのは、フィリオとネル、マリンさんだけだからね。」
私はそう言ったけど、驚いてないんじゃなくて、みんな、呆れてるんだと思う。

「そう、なのか…」
はぁ、と大きなため息をついて、諦めたかのように席に着く。

 私は、作っておいた物を、全て取り出してみんなの前に出る。
 
 フィリオまで来るなんて、予想もしてなかったから、ちょっと多めに作っといてよかった。
 多いなら、収納すればなんとかなるけど、少なかったら、どうにもならないからね。

「それじゃ、出し終わったから、試食会を始めるよ。」
そう言うと、みんなが各々立ち始め、取っていく。

 テレスさんは卵や、ミックスサンドを取っていく。トーストのも1つ取った。
 他の人も色々取っていった。

 私はハンバーグとナポリタン、トースト(卵付きのやつ)を取り皿に入れた。あとコーヒーも。

「あー美味し。久しぶりのコーヒー。」
あっコーヒーは苦いから子どもにはカフェオレにしてって、言わないと。

「みんな、このコーヒーは苦いから、子どもには別のにさせてねー。」
少し、声を大きめに出して言う。

 よし食べ始めますか。
まずはハンバーグに、ソースをかけてっと。

 ハンバーグを切り分けると、肉汁が溢れてくる。フォークで刺して、肉汁とソースを付けて頬張る。

「んー、自分で言っててなんだけど、美味しぃ。」
あまりの美味しさに、声が漏れる。

 やっぱり食事って、幸せだね。

 その合間に、ナポリタンを啜る。そしてトーストにナポリタンをのっけて、一口。
 うん美味しい。

 卵も付けて頂こう。
トーストはカリッとしてて、卵の味もいい感じ。

 私が幸せそうに食べていたら、みんなも食べ始め、声を上げる。

 みんなの感想をまとめるとこうだ。

「少し辛いが、クセになるな。」

「濃厚なソースが絡んでて、美味しいわね。」

「このパンとコロッケも美味しい。」

「この3色の冷たいやつも、甘くて美味しいね。可愛いし。」

「なんだ、この猫型のパンは?」

 などなど様々だった。

 飲み物もあっという間に無くなったけど、クリームソーダだけは死守した。
 これだけは譲れない。この世界で初めての炭酸だからね。

 それから少し時間が経って、試食会も終わりを迎えた。

「はぁー美味しかったわ。」
「そうですね、ソラの料理がこんなに美味しいなんて知りませんでした。」
エリーとエリカが2人で話している。

 とってもどうでもいい話だけど、2人って名前似てるよね。文字数も、初めの2文字も。

「試食会、どうだった?感想とか聞きたいんだけど。」
私がそう聞くと、みんな美味しかったと言ってくれた。

 そう言ってもらえると嬉しい。

「おうソラ、1つ、言っておくことがあった。」
突然ギルマスがそう言う。

「働き手が見つかった。」

 えっ、もう見つかったの?まだ開店すらしてないのに。

「ソラのお店で働きたいと言う19の娘と、最近この街に来たと言う16の男の子と38の母親だ。」
「後者は飲食店で働いた経験があるらしい」と私に言った。

「そんな早く集まるもんなんだ…」
驚きを通り越して、呆れてきた。

 さすがギルマス、仕事が早い。

「ちなみに前者は俺の娘だ。」
ハッと笑う。

 はい?娘?ギルマスの。娘…

「娘、いたんだね。」

「そこじゃないだろ。」
そんなツッコミを入れられる。

 あっ、そうだった。
でも、ギルマスの娘なんていたら、ちょっと他の人が働きづらいんじゃない?何せギルマスの娘だし。

「大丈夫だ。娘にはなんの権力もない。冒険者ギルドのギルマスは、力がないといけない。だから力の無い娘に、どうこうすることは出来ない。」
ならよかった。

 まぁ、ギルマスの娘だし、変な子ではないと思う。そう、思いたい。

「別に、お前が嫌だと思ったら、クビにしてもらって構わない。そこは、お前が判断してくれ。」
それならいい…のかな?

 私は、その3人と今度会うと言うことをギルマスに伝えて、日時が決まったら、教えてくれるらしい。
 
 そんなことを決めているうちに、外はすっかり黒く染まっていて、星が輝いている。

「もう外暗いし、そろそろ終わりたいと思うけど、どう?」
みんなのお皿にも、もうご飯は乗っていないし。

「いいと思いまーす。」
片手を上げてエリーが元気よく言った。

 こんなに人がいる中で、いつも通り、元気でいられるって、凄いね。
 私だったら、恥ずかしくて死んじゃう。

「じゃあ、これで試食会を終わりたいと思います。皆さん、今日はありがとうございました。」
流石の私も、こういうちゃんとした場では、ビシッとして言った。

 そういうと、みんな各々立ち上がって、帰ろうとする。みんな私に挨拶をして、扉の方に行き、カランカランと音が鳴って、みんな帰り始めた。

「今日は本当にありがとうございました、ソラさん。」
テレスさんが言う。

 店には、ロアとサキとテレスさんが残っている。
結局テレスさん、敬語で行くことにしたんだ。

「今度、新しい働き手の面接をするから、テレスさんも着いて来てほしいんだけど。」
それを、私1人で決めるのはおかしいと思うから、そう聞く。

 だって、一応はテレスさんの店だし、私が買ったとはいえね。テレスさんの意見が欲しい。

「はい、日程が決まったら、教えてください。」
そう言ってくれたので、ギルマスが日程を教えてくれたら、テレスさんにも教えることにする。

 最後に挨拶をして、ロアやサキにも挨拶をした後、テレスさんたちは帰っていった。

「電気よーし、ガスよーし、水よーし、窓よーし。」
指を軽く差して、確認する。

 確認を終えた私は、扉を開いて店を出た。
鍵をかけて、鍵は取られないように収納しておく。

 そうして私は、宿屋に向かって歩き出す。

———————————————————————

 テレスさんの店が完成したら、次の章へ進めます。長いですね、店の話。
 いっそ、1章は店作りにでもしましょうかね?(しません)


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