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1章 魔法少女と異世界の街

23話  魔法少女は相談する

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「ふぅーこのくらいで終わりっと。」
草を刈り終わった私は一息つきながらそう言う。

 明日はロアの父親と相談して、外見を決めよう。その後はマリンさんに託そう。

「早いですね。こんなに早く片付くなんて、思いませんでした。」

「早くしようと思ったから、早いんですよ。」
言ってみてから思ったけど私、意味わからないこと言ってない?

 私はそれから今日、付き合ってくれたことにお礼をする。
 マリンさんは「いえいえ」といって笑いかける。
私は途中でマリンさんと分かれて宿屋に戻る。

「最近よく出かけてますけど、何かあったんですか?」
宿屋に戻ってきたらエリーが突然聞いてくる。

 まぁ、色々あるんだよ。色々。

「なんでもないよ。」
私はそう言ってご飯を頼む。

 やっぱりエリーのご飯は何度でも食べたくなるね。
 そう思ってるとエリーがご飯を出してくれた。
もぐもぐとご飯を食べる。

 今日も美味しかった。
私は部屋に戻り、上着を洗ってから眠る。

 寝ても寝ても疲れが取れないから、今日も早めに眠る。


「ん……」
私は布団から起き上がる。

 まだ朝方じゃん。朝4時くらい?まぁいいや散歩しますか。

 私は思いまぶたを擦り、上着を着る。
まだ眠いけど歩けば目も覚めるよね。

 私はみんなを起こさないようにゆっくり外に出た。
 
 ちょっと暗いね。

「ファイア。」
小さくそう唱えるとパッと光が灯る。

 軽く行って帰ってくるか。
テクテクと散歩を開始する。


 散歩を終えた私は宿屋に戻ってくる。寝ぼけて端っこの方まで行ったせいで時間がかかってしまった。

 宿屋の扉を開けると、エリーが朝の支度をしていた。朝早くから仕事なんて大変そうだね。

「ソラ、早いですね。」
バタバタと忙しそうだけど私にそう言う。

「早く起きちゃったからね。」
そう言って椅子に座る。

 別にご飯を食べたいわけじゃないよ?

「ご飯食べます?」
はい、勘違いされました。まぁ食べるけど。

 食べるのかよとツッコミを頂いてしまうかもしれないけど食べたいものは食べたい。

「はい、どうぞ。」
忙しいのに笑顔で対応してくれた。

 ありがとうと言って私は受け取り、食べる。

 部屋に戻った私は魔法の使い方やメニューなどを考えて時間を潰す。

 するといつの間にか昼近くになっていた。
…そろそろ行くか。

「多分…レストランだよね、まだ。」
そう呟いて私は下の階に下りる。

 エリーに挨拶をして外に出る。
レストランって地味に遠いんだよね。

 私は一直線にレストランに進む。

「確かこっちだったはず。」
うろ覚えだけど合ってると思う。

 するとこの間のレストランが見えてくる。
後はいるかだけど…

「すみませーんロアのお父さんいませんか!」
店に入ってそう言う。

「なんです…か、」
ロアのお父さんがやってくる。

「先日はどうもすいませんでした!」
突然頭を下げた。

 えっ、なに急に?
びっくりするんだけど。

「俺も娘たちのために、頑張りたいと思います!」
頭を下げながらそう言った。

 年下の私にも頭を下げられるって…やっぱりいい人なんじゃない?この人。

「新しいお店、見に来てもらえる?」
私はそう軽く要件を言った。

「はい?」
そう疑問の声を漏らした。

「言ったでしょ。考えがあるから数日待ってって。」
まだ完全ではないけどね。

「これから店の外見や中身を作っていこうと思ってるから来てほしいの。」

 まぁ、もし失敗したらこっちに戻ればいいし。

「…!ありがとうございます!」
そう言ってすぐに用意をして、店を閉めた。

「行かせてもらいます」と言って私についてくる。

 私は昨日見に行ったお店に向かう。
まだ店っぽくはないけどこれからやればいい。

「これだよ。」
そう言って見せると、驚いたような表情をする。

「これ、ですか…」
お店を見つめる。

「これの外装と内装を今から決めたいんだけど、要望だけ先に言っとくね。」
これからはロアのお父さんの物になる。決めるのは私じゃないけど、要望くらい良いと思う。

「なに言ってるんですか?これはあなたの店なのであなたが決めた方がいいと思いますけど。」
いや、ロアのお父さんの店だよ?

 互いに認識がずれてるようだ。
その前に私、名前聞いてないし言ってない。

「遅れたけど、私は空。あなたは?」
突然すぎるけど一旦話を変えるためにそう言った。

「俺はテレスです。」
テレスさんか。

「じゃ、テレスさん。この店はあげる。だからテレスさんが最後は決めて。」

「そんなこと…」
言おうとしたところで、私が遮る。

「あげるって言ってるんだから受け取って。その代わり、ちゃんとロアを幸せにしてね。」
私は笑顔でそう言う。

 元はロアのためだ。ロアが幸せにならなかったら本末転倒だ。

「だから私は提案するだけ。」
そう言って要望を出す。

 まず色は白とか黒とか茶色とかそんな感じのを基調にしてほしい。

 メニューは私が考えるし調理関係はギルドに任せる。キッチンここが使えるようになったら試食会とか開いて感想聞いたりしようかな?

 私は思いついたことをバンバンと言っていく。
テレスさんは律儀にメモをとっている。

「この要望を元に、商業ギルドに頼んで。やってくれるらしいから。」
「後は好きにして」と言って私は帰る。

 かっこいい感じに去れたんじゃない?

「待ってください!」
テレスさんが引き止める。

 なに?せっかく良い感じで帰れたと思ったのに。

「店が完成したらどうすれば…?」
そう聞いてくる。

 そうだった…私がメニュー考えてるって言ってるから店が完成しても何もできないじゃん。

 バカじゃん、私。

 私は今泊まっている宿屋を教えて、今度こそかっこよく去る。

 一体完成したらどんな店になるんだろう。
なんかドキドキしてきた。

 私はどんな店になるのか、想像しながら帰っていく。

———————————————————————

 話を考えるのって大変ですね。






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