21 / 681
1章 魔法少女と異世界の街
20話 魔法少女は領主と話す
しおりを挟む今、私は領主の家に向かっている。
「ちょっと遠いね。領主の家なんだからあんな端に建てないでよ。」
文句を言いながら歩いていく。
私は昨日、ギルドに行ってギルマスと話をした。ギルマスに今日のことを伝えるためだ。
領主に頼んで、良い物件を探してもらいたい。出来れば紹介状とかもらえると尚嬉しい。
今回の件もロアのためだ。あんなに美味しい料理を作れるのに、人が来ないなんておかしい。
宣伝と店の場所、そして料理の見直し(これは味というより見た目や新しいメニューということだ。)それを改善すれば人は来ると思う。
そんなことを考えてると大きい家が間近で見えてくる。
「あれが領主の家…近くで見ると迫力あるね。」
私はこれからあれに入るのか。
私は門に向かって歩く。すると門番のような人がこちらに槍を向けてくる。
「誰だ!」
いや、怪しくないよ。ちょっと怪しいだけだよ。
いきなり槍向けてくるのはどうかと思う。
「あの、ギルマスに呼ばれた冒険者ですけど。」
私はギルドカードと共にそう言う。
「はぁ?Cランク?この達成数でCランクはおかしいぞ。」
門番は眉を顰めて言う。
そうですよね。おかしいですよね。でもそれで合ってるんですよ。ギルドに言って下さい、私に言われても…
「知りませんよ。ギルマスが勝手に上げたんですよ。」
私は全てをギルマスのせいにする。
ごめん、ギルマス。
「…待っててくれ。」
その門番は走って家に入っていく。
こんなところでと1人きりってなんか嫌だな。
早く帰ってきて。
10分程度経ち、門番が帰ってきた。
「通って良いぞ。入れ。」
門番が通してくれる。
「分かりました。」
ようやく入れる。歩きも待ちも結構かかった…
ガクッと疲れたよ。
「ソラ様こちらへ。」
おぉ、メイドさん。この世界にもいるんだ。若くて可愛いメイドさんだね。
でも様はやめてほしいな。
「様って取ってもらえる?様とか付けられるような人じゃないから。」
「いいえ、そうはいきません。」
えー様付けは嫌だなぁ。
「取ってやれ。それで気分を害してしまうかもしれん。」
するとどこからかそんな声が聞こえてくる。
「フィリオ様。…承知しました。」
領主の名前ってフィリオって言うんだ。
「それではソラ、入れ。」
私は言われるがままに部屋に入り、置いてある高級そうな椅子に腰掛ける。
「見たぞ、ギルドカード。」
「はぁ。」
短く返答する。
「なんだ、ケルベロス討伐、ゴブリン20匹討伐、スネイク60匹討伐、そのどれもがほとんど単独。最後はブラックポイズンスネイクときた。」
ハッと笑う。
なんで笑うの?人の討伐履歴で笑うって酷くない?
「別に変じゃないでしょ?」
「変に決まってるだろ。冒険者になってすぐに、こんな討伐する冒険者なんていると思うか?もちろんいない。ソラくらいの冒険者は薬草採りが普通だ。」
うん。分かってた、分かってたよ。だってエリカにどれだけ驚かれたと思ってるの。
まぁ私を知らない冒険者は私のことを弱いと思ってるけど。
「お前の職業は魔法使い…いや魔法少女だったな。」
口角を上げながら言う。
この領主、確かに悪い人ではなさそうだけど人の職業を笑うって性格悪いと思う。
「いやいや、ここまで優秀な冒険者がこの街にいるとは、驚きだ。」
「そうですか。」
私はさっさと要件を済ませて帰りたいので返答は短く速く行う。
「それで、ソラからは何か言うことはあるか?」
よし、来た。
「レストランを開くのに良い土地って無い?出来れば紹介状とかあると嬉しいんだけど…」
私は手短にそう言う。
「なんだ?商売でも始める気か?」
「違います。友達のためですよ。」
ロアが安心して暮らせるようにさせたい。だからわざわざ領主にまで会ったんだよ。
「そうか。それは商業ギルドに行ってこい。紹介状なら書いてやろう。ソラみたいな優秀な冒険者を引き止めるためだと思えば安いくらいだ。」
すると領主は紙に何か書いていく。
これで紹介状もゲット。今から商業ギルドにでも行こうかな?
「ほら、書いたぞ。」
私は軽く包まれた手紙を受け取り、収納する。
「それじゃあ、帰らせてもらいます。」
私は立ち上がり、ドアを開ける。
「あぁ、行ってこい。」
領主は座りながらそう言う。
最後までメイドさんは見送ってくれていたけど別によかったのにな。
「紹介状はもらったし、商業ギルドに行くだけだね。」
それまでメニューについて考えとこう。
あそこは、パンやお肉が美味しかった。柔らかくてジューシーだし、パンももっちりしてた。
あぁいうのじゃなくてもっと軽く食べられるのだと人気でそう。
サンドイッチとか?うーんいっそカフェにしちゃっても良いかもしれない。
美味しいところを全部使っていこう。
…料理スキルとかあったら便利じゃない?食材生成とか。
残りのSPで創るか。
魔法 アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-2) 神速Ⅴ
ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ
鑑定眼Ⅴ+1 食材生成Ⅱ+1
今あるのじゃこれが限界だね。
カフェの料理を作ってみてロア達に食べさせてみよう。
今の私はどんな食材も、魔力ある限りどれだけでも使える。
夢の異世界コーヒーだ。宿屋戻ったら飲もうかな?
商業ギルドまで、そんな考えを巡らせながら歩いていく。
———————————————————————
こういう系の話、あんまり上手く書けないんですけど頑張って書きます。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる