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1章 魔法少女と異世界の街

18話  魔法少女はロアと食事する

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 今私は、ギルドの前にいる。
何故かと言うと昨日、ロアの家に行く約束をしたからだ。

「ロア、まだかな。」
私はギルドの壁に背中を預けながらそう独り言を言う。

 ちょっと早く来過ぎたかな?
私は友達の家に遊びに行くことがあんまり無かったから、少し緊張している。
 ロアの家か、どんな感じなのかな?

「ソラお姉ちゃーん!」
するとロアが走りながら手を大きく振る。

「ソラお姉ちゃん、こんにちは。」

「ロア、こんにちは。」
私たちはそれぞれ挨拶をする。

 ロアは両手を膝につけながら「はぁはぁ」と息を切らす。
 別にそんな息切らすほど走ってこなくてもよかったのにね。

「疲れてるところ悪いけど、どのくらい暇潰す?」

「夕方前くらいなら大丈夫だと思います。」
ロアは顔を上げて言う。

 今は昼だし私、ご飯まだ食べてないからロアと一緒にご飯食べに行こうかな?

「ロア、ご飯食べた?」
私は聞く。

「いえ、まだですけど…」
なら決まりだね。

 昨日屋敷買えそうなほどの金額もらったから、ご飯くらいたくさん食べられる。

 何でそんな貰えたかっていうと、スネイクからは素材だけでなく毒薬、良薬、胃から魔剣(毒と食らった核石から生成されたらしい)が採れたかららしい。

 ギルマス曰く、まだ売り終わってないので全部を渡せてるわけでは無いらしい。

「ねぇ、ちょっとご飯食べに行かない?妹用にも買っていってもいいけど。」

「そんなっ悪いです…」
別に気にしないでいいのに。

「私がそうしたいからしてるの。ロアは気にしないで食べに行けばいい。」
私は優しく微笑んで言う。

「…なら、お言葉に甘えさせてもらいます。」
ペコリとお辞儀をする。

 ロアって礼儀正しいね。私とは違って。
まだ子どもなのに、凄いね。

 私がロアと同じくらいの年齢の頃を思い浮かべてみると…悲しくなってきた。

 私はロアの手を握り、レストランへと進む。
どこのレストランがいいんだろう。ロアに聞いてみよ。

「ロア、美味しいレストランって知ってる?」
ロアはうーんと可愛く悩みながら思い出したかのように言う。

「ちょっと遠いんですけど昔、お母さんと一緒に行ったところがあるんです。」
今はいないお母さんを思い出して、少し悲しそうな表情をする。

 …それじゃあそこに行こうかな。ロアの思い出でもあると思うし、そこの方がロアもいいと思う。

 でも、余計に思い出させちゃうかな?
せっかく心に踏ん切りをつけたのにまた思い出させるようなことして。

「ロア、どうしたい?」

「そこに…行きたいです。」
悩んだ末、そんな答えを出した。

 私たちは少し歩き、レストランへ向かう。
私はロアにこないだのスネイクの話やゴブリンの話をする。
 ロアは私が使える魔法を聞いて、見てみたいと言った。

 私は作ったばかりの魔法、ファイボルトⅣを戦闘では使い物にならないくらい小さく調節して見せてあげる。

 それを上下左右に動かしたり回転させたりして、最後は分散させて終わる。

 ロアは「凄いです!」と子どもらしく喜んだ。

 そんなことをしているうちにあっという間にレストランに着いていた。

「ここだよね、ロア?」

「はい、そうです。」
私たちが店に入ると店員さんが席に案内する。

 私は座って料理を注文しようとしたけど、なにがあるか分からない。

 紙みたいなのがあってそこに文字が書いてあるけど読めない。

 ロアは普通に読めるようで悩んでいる。

 どうしよう。…そうだ!そのためのSP!
まだ1000近くあったはずだよね。

 私はそれで、新魔法、鑑定眼をつくる。
鑑定眼はその名の通り眼で見た物を鑑定できる。
 プラス値を振れば、見れる情報が多くなり、特殊効果をつければもっと色々できる。

 SPは300くらい残したいから頑張って節約しながら使う。

 そして、こうなった。

 魔法 アクアソーサーⅤ 魔導書Ⅵ(-2)  神速Ⅴ
  ファイボルトⅣ+1 万属剣Ⅳ+1 投擲Ⅲ
 鑑定眼Ⅴ+1

 SP 250

 鑑定眼はそこまでSP使わなかったね。
攻撃系の魔法は結構使うけど、こういう系はそうでもないみたい。

 私は早速、鑑定眼を使ってみることにする。
おぉ読める。文字が読める。

 ロアは決まったみたいなので、私はこの狼肉セットを頼むことにする。

 この狼って魔物なのかな?

 店員さんを呼んでロアと私の分と帰りに妹用の弁当を渡してくれるよう、頼む。

「嬉しそうだね。」

「はい。久しぶりにこんなところ来れたので。」
ワクワクしながら待っている。

「サキも、もうすぐ良くなると思うから連れて行ってあげたいな…」
小さな声でそうこぼす。

「いいよ、その時はみんなで食べにこよ。」
するとロアはパーっと笑顔になり嬉しそうに「ありがとうございます」と言う。

 何でロアはこんなに可愛いんだろうね。
うちのロアに勝てる人はいないんじゃない?

 …親ってこんな気分なんだろうね。

 料理が運ばれてきて、私とロアは食べ始める。

「…やっぱり美味しいです。」
ロアは微笑を浮かべ言う。

 やっぱりってなんだろう。
そんなことを考えるけど、お肉が美味しいので頭から消え去ってしまった。

 これ味付けとか凄いよ。レストラン食べに行ったことはないけど、ここは凄い美味しいと思う。

 なんでこんな小さくて人も少ないんだろう。
店員さんも1人しかいないし。

 私たちは無事完食し、ロアの家に行くことにする。

 そういえば料理人が見えなかったな。
1回会ってみたかったけどまぁ、いいや。

 私は今の料理の話をロアとして、2人で美味しかったねと笑った。

———————————————————————

 次はロアの家に行きます。
そこではどんなハプニングが…?!

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