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1章 魔法少女と異世界の街

17話  魔法少女は話を聞く

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 私はギルドに入ると、右の塔(物を売ったり、買ったり出来る場所)に、人が大勢集まっていた。

「えっなに?これ。」
私はこの人の量に首を傾げた。

「おお、来たか」
すると、ギルマスの声が聞こえてくる。

「あっギルマス、あの人混みなんなの?」

「あれはお前の倒したスネイクの素材を買いに来ているんだ。」
ギルマスはそう、私の疑問に答えてくれた。

 そんなにスネイクの素材っていい物なの?ってかあれだけ大きいスネイクなんだからこんなに混み合うことないのに。

 私は、それも聞くことにする。

「ギルマス、なんであんなに多く集まってるの?」

「冒険者ギルドに残る素材は少ない。殆どは商業ギルドに売る。残った物を安く売ってるから、貧乏な冒険者はああやって安い物を買おうとしている。」

 へぇそうなんだ。売るのは商業ギルドか。
商業ギルドってどこにあるんだろう。ちょっと聞いておこうかな。

「商業ギルドの場所、分からないんだけど教えてくれない?」
3度目の質問をギルマスにする。

「お前知らないのか。この街で領主の屋敷の次に大きい建物だ。この街にいるんだったらすぐにわかるだろ。」
ギルマスはやれやれといった感じで答える。

 あれが商業ギルドだったんだね。
 商業ギルドがあんなに大きいなんて思わなかった。せいぜい冒険者ギルドと同じくらいと思ってたけど違ったみたい。
 
「…話がズレた。今日お前に来てもらった理由は3つある。1つは金のことだ。2つはお前のランクについてだ、3つはお前に話がある。」
そのあとギルマスに「ちょっと来い」と言われたので素直についてくる。

 ランクのこと?ランクアップするのかな?…そんなしちゃっていいの、ランクアップ。もっと大変なんじゃないの?私どんどんランクアップしちゃうんだけど。
 今が確かDだからCに上がるんじゃない?
このままだと簡単にAとかいきそうなんだけど。

 それに話ってなに?どんな話されるの。またスネイクみたいな討伐系の感じ?

 そんなことを考えてるうちにギルマスが部屋に入っていく。

「おい、お前も来い。」
私は言われるがままに中に入る。

 ここは来ないだスネイク討伐をお願いされたときにも来たところだ。
 私は前回同様ソファに座ってギルマスと対面する。

「まずはランクアップの件だな。お前は規格外すぎる。本来のランク形式では、お前の強さは表せない。ということで、お前のランク上限はSからTに上げさせてもらった。」
ギルマスはCランクになっているギルドカードを手渡してくる。

 いや、なんで?なんで上限増やせれてるの。
私普通のでよかったんだけど。

「そして金だ。これだ。」
ポイッと机に投げた。

 …投げ渡す量の金額じゃない!もっと丁寧に扱おうよ。人のお金だよ!

 私は文句を言いたいが、グッと堪えた。
偉いぞ、私。

「で、話って?」
収納しながら聞く。

「あぁ、ギルドは一定期間内にどれだけ優秀な冒険者が現れたか領主に報告しなければならない。」

「それで?」

「その中で1番優秀だった者を、領主に紹介しなければならない。」

 そんなのあるんだ。それが、私ってこと?嫌だよ。もっと優秀な人いるでしょ?その人にやってもらって。

「それをソラ、お前にやって…」

「無理。」
喋り終わる前に返事をする。

「おい、まだ言い切ってないぞ!」

 無理なものは無理なんだよ。領主になんで会いたくない。

 領主だよ領主。貴族だよ。漫画とかアニメって嫌な貴族が湯水のように溢れかえってる。そんな貴族の可能性があるからやだ。
 あと普通にめんどくさい。
 
「そんなに面倒くさそうな顔をするな。貴族にも悪い奴は多いがこの街の領主はいい奴だ。安心しろ。」

 ギルマスはそう言うけど自分の街だからいいように言うよね。

「はぁ、考えておいてくれ。」
最後はギルマスが諦め、立ち上がる。

「それじゃあまたな。」
そう言って帰っていく。

 私も立ち上がり、扉を開けて戻っていく。
さっきギルドにロアが入ってたけど、どこにいるんだろう。
 右の方の塔に目を向けてみると、少しだけ空いてるスペースがある。
 こないだ私が解体してもらってたところだ。あの小さいケルベロスを。

 そこに子どもの後ろ姿が見え、その子どもは頑張って解体を見ようと、背伸びをしている。

「ロア…かな?」
なにしてるんだろ。

 気になったので近づいてみることにする。
…ロアだ。完全にロアだった。

「ロア、なにしてるの?」
声をかけると、少しビクッとして肩を跳ねさせた。

 解体見てたけど、昨日のスネイクの見学で解体に興味を持ったのかな?

「ソラお姉ちゃん、驚かさないでください。」
怒った様子で言うけど、別に驚かせたつもりはない。

「それで、なにしてたの?」

「解体を見ていたんです。こんな風に魔物が解体されてる様子が凄くて見に来たんです。」

 やっぱり解体に興味を持ったみたい。
…それなら私が倒した魔物を持ってきて、ここで一緒に解体させてあげたい。
 そうすればお給料も出そうだしね。

 そうと決まれば聞いてみよう。

 私は解体してる人に耳打ちする。

「ねぇ、私が魔物持ってきたらロアに解体教えてあげてくれない?お金なら払うから。」

「いや、いらない。教えるくらい金はいらない。」

 この人優しいね。この人ならロアも任せられる。

 私はそんなことを思いながらロアと解体を見る。
…私にはこれは無理そうだ。何回か見たけど慣れないね。

「そうだロア、ロアのお父さんに会ってみたいんだけど。ロアにはお世話になったし。」
この街に来れたのもロアのおかげだしね。

「お世話になってるのは私だよ、ソラお姉ちゃん。私もソラお姉ちゃんは紹介しときたいと思ってたからいいよ。」
そう言ってくれる。

 私は明日、昼にこのギルドに集合してお父さんが帰ってくるまで時間を潰してロアの家に行く約束をした。

 ロアはこのまま解体を見ると言うので私は先に帰ることにする。

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 次からちょっと話が変わります。章は変わりませんけど。



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