上 下
16 / 681
1章 魔法少女と異世界の街

15話  魔法少女は眠れない

しおりを挟む

 スネイクを見せた後、ゼンはそこに立ち尽くす。

「ゼン、行くよ。ソラちゃんも疲れてるんだから休ませてあげようよ。」
エリカはゼンを軽く叩き、連れてくる。

 私は早く宿屋に帰って寝たい。
今は食欲よりも睡眠欲が勝っている。

 早くスネイクを売って寝る。早く寝たい。

「ソラちゃん、ギルドカード出して。」
いつの間にか着いてたみたい。

 私はいつも通りカードを見せて、門を通る。
ふぁ~眠い。寝たいよー。

 そんなことを考えてるとギルドが見えてくる。
早く売って、帰ろう。そうしよう。

 こんなこと言ってるとフラグが立ちそうだね。
私たちはギルドに入る。

「おぉ、帰ったか。早かったな。」
ギルマスがやって来る。

「どうしたんだ?やけに眠そうだな。」
疲れたからね。

「ソラちゃんが凄い活躍したから、疲れたんじゃない?」
そうだよ。疲れたよ。

「で、どれだけ討伐できた?」
ギルマスは聞いてくる。

 あれ、何匹だっけ70匹くらいかな?

「はい、これこのうちの60匹以上はソラちゃんが倒したよ。」
ギルマスは核石と素材を受け取ると仰天する。

「!?ここまでいたのも驚きだがこれをソラが…」

「それともう1匹いるんだけど…」
それは私のステッキにあるね。

「だけど…なんだ?」
ここじゃ無理でしょ。壊れちゃうよ。

「ここじゃ無理だから解体出来る人を沢山集めて森の開けた場所に行きましょ。」
ギルマスは疑問の表情を浮かべる。

「なんでここじゃ無理なんだ?」
そりゃ大き過ぎるからね。

「ここで解体したらこのギルド壊れるよ?」
薄く笑いながらエリカは言う。

「ねぇ、ロアも呼びたいんだけど。」
私が頑張って倒したスネイクを見て欲しい。

「好きにしたらいい。」
ギルマスはそう言い、解体するメンバーを集め始める。

 私はロアを呼ぶか。

「ソラちゃん、そのロア?って人を見つけたら、そのままさっきのとこに行って。」
私はうんと返事をしギルドを出る。

「ちょっと待って!ソラちゃんお金!」
そういえば忘れてた。

「…多くない?」
スネイクってそんな高く売れるの?

「倒したのはソラちゃんなんだから妥当な金額だよ。」
ま、貰える物は貰っておこう。

 私はお金を受け取り、今度こそギルドを出た。

 ロアってどこにいるんだろ。適当に門の辺り歩いてくか。今の私の勘はよく当たりそうな気がする。

 今日は多分全然宿屋に戻れないと思う。
あのスネイクを解体するんだよ。帰れないでしょ。

 すると本当に門にロアがいた。
やばい、本当に帰れないかもしれない。

「ロア、ちょっと見て欲しいものがあるから付き合って欲しいんだけど。」
ロアの元に駆け寄り、私は言う。

「ソラお姉ちゃん?どうしたの?眠そうだけど。」
心配してくれるんだ、優しいね。

「ちょっと疲れてて。」
私はパンッと顔を叩き、目を覚まそうとする。

「それで、来てくれる?別に途中で帰ってもいいし。」

「大丈夫ですよ。どこに行けばいいんですか?」
私はロアの手を握り、エリカの言ってたところに行く。

「…ソラお姉ちゃん、どこに行くんですか?」
それは行ってからのお楽しみということで。

「もうすぐだからね。」
歩いていくと、ギルマスやエリカが見えてくる。

「おっ来たか。それででかいスネイクというのはなんなんだ?」
ギルマス、いきなりそれなの。

「はいはい、これだよ。」
私はブラックポイズンスネイクをドンと置く。

「「……ッ、はぁぁぁ!!」」
ギルマス含めた解体メンバーが叫ぶ。

「なんなんだよこの怪物は!」
ギルマスは問い詰めてくる。

「エリカ聞いたと思うけど洞窟の奥にいたボスだよ。」
適当に説明する。

「これ、ソラお姉ちゃんが?」
少し震えながら聞いてくる。

「そうだよ。ごめん、怖がらせちゃった?」
もしこれでトラウマにでもなってたらどうしよう。

「いや、少し驚いただけです。ソラお姉ちゃん、凄いです!」
ありがとう、ロア。

 …それにしても眠い。

「ねぇ、帰ってもいい?」
やっぱり我慢できそうも無いのでそう聞く。

「だめだ。せめて核石は持ってけ。」

「えー全部売っていいよ。」
面倒くさいもん。

「だめだ。ここまで大きな魔物の核石は貰うわけにはいかない。」
分かったよ、貰ってけばいいんでしょ。

「待ってればいいんでしょ。」
私は近くの木に腰掛ける。

 すると解体が始まる。ギルマスがテキパキと指示をして、少しずつだけど解体されてってる。

「お前ら、核石のある場所を先に解体してくれ!」
ギルマスは私のためかそう指示してくれる。

 ロアはなんだか目を輝かせながら見てる。

「どう?ロア。」
私はこの解体について聞いてみる。

「凄いです…こんな大きい魔物もすぐに解体されて…」
そうだね。でも私は絶対やりたくないけど。

「ロア、もっと近くで見学してみたら?」

「…いいんですか?」
別にいいんじゃない?ギルマスに聞いてみようかな。

「ねぇギルマスー、ロアにもっと近くで見せてあげられない?」
ギルマスに向けて言う。

「あ?まぁいいぞ。」
オッケーを貰ったのでロアに行ってもらう。

 ふぁー、このまま昼寝したい。
でも寝たら怒られるよね。

 ボーッと眺めていたらギルマスがやってきた。

「ほら核石だ。明日、金を渡すから来い。」
そう言って核石を受け取る。

「ロア、私先帰っとくから。」
本当に眠いのでそう言って帰る。
 ロアは「はい!」と返事をしてくれる。

 早く宿屋に帰るぞ。早足で行こう。
起きたらスキル確認と魔法強化もしとくか。

 私は宿屋に着き、エリーに昼食と夕食は要らないことを言い、早足で2階へと上がる。

「あぁ、布団だ。」
私はバブッと布団に倒れ込み、枕を手繰り寄せて寝始める。

 明日は上着も買い直してこの服はエリカに返すか。
 そんな予定を立てながら私は眠りについた。

———————————————————————

 ようやく眠れますね。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...