9 / 681
1章 魔法少女と異世界の街
8話 魔法少女とギルドマスター
しおりを挟む私たちは冒険者ギルドに着いたので一旦別れることになる。
「じゃあ報告してくるから。」
ロアはいつも通り右の方の棟に行って薬草を売りに行く。
「うわ、朝の何倍も人いるじゃん。」
なんか嫌なのでフードを深く被る。
受付に着き、私はギルド嬢に話しかける。
「あの、依頼達成したのでこれお願いします。」
私はギルドカードを渡す。
思ったんだけどこのギルド嬢ずっと居るけど休憩とかちゃんとしてるよね?
「ソラさんですか、ゴブリンの核石を見せてください。」
解体してないんだけど。どうすればいいんだろう?
「解体していない場合はその魔物を見せてくれればいいですよ。」
ギルド嬢が教えてくれる。
私が戸惑ってるのを見て気持ちを汲み取って教えてくれるなんて、プロだね。
「分かりました。これなんですけど…」
私は19匹のゴブリンと1匹の赤ゴブリンを出す。
「えっ……」
ギルド嬢が口に手を置いて驚く。
…?どうしたの?なんか周りの冒険者もなんかこっち見てるし。
「これ、今日倒したんですか?」
そんなことを聞いてくる。
「今日以外いつがあるの?」
私は昨日この世界に来たんだから倒してる暇なんてないよ。
「これは群れだったんですか?」
「そうですけど。」
更に目を見開き振り返る冒険者も多くなる。
だからどういうこと!?
「あの、こちらのゴブリンはゴブリンのボスで、強さによりますがE~Dランク相当です。」
え?そんなに高いの。
「そして15匹以上の群れだとCにまで上がる可能性もあります。」
あれ、これ私やっちゃった系のやつ?
「あの、少し待っていてください。」
どうなっちゃうの私?
私は数分程度受付で待っていると。
「お待たせいたしました。」
そこにはギルド嬢とクールでな感じでおじさん手前の人がいた。
「その人は?」
「ギルドマスターです。」
え?ギルドマスター?ここのギルドの一番偉い人じゃん!
「ギルマス、ランク上げます?」
なんか二人で喋ってる。何喋ってるんだろう。
「ソラだったか?本当は一定量の数こなさなきゃランクは上がらないが実力に合わないランクだと不便だろう。ソラのランクを上げさせてもらう。」
やった…なのかな?
するとギルド嬢が画面を操作してランクを上げる。
「ジフェゴブリン合わせた20匹の討伐達成ということで、ランクを…Dに上げます。」
一気にそんな上げちゃっていいの?
「2個も上げていいの?」
ギルドマスターに尋ねる。
「あぁ。それだけの実力があるのだからな。本当はCにでも上げてやりたいんだがな。」
それは上げ過ぎでしょ。
「お前はあんな魔物を倒したというのに疲労があるようにも見えんし倒したことを何でもないかのようにしている。まだまだ余裕ということだ。」
いや、余裕ってのは間違いではないと思うけど、何でもないようにってただの亜種ゴブリンだと思ってた
「魔法というのは弱くて、支援魔法しか使われないんだがな。」
へぇ、そうなんだ。
「はい、お返しいたします。」
カードを受け取り、しまう。
「なぁ、ちょっと話したいことがある。来てくれないか。」
なんだろう、面倒ごとの予感だ。でもギルドマスターだしなぁ受けるしかないか。
「分かりました、どこ行けばいいんですか?」
「こっちだ来てくれ。」
私はギルドマスターの…ギルドマスターって言うの面倒臭い。ギルマスの後をついていく。
「ここだ。ほらそこに腰掛けてくれ。」
机にはお茶が置いてあり、ソファ?のようなところに座る。
「それでなんの話なんですか?」
気になるので話を急かす。
「あぁ、ソラに頼みたいのはある討伐の依頼だ。魔物の名はスネイクという魔物だ。」
スネイク…スネークか。蛇の魔物だと思う。
「最近群れが出来ていてブラックスネイクというボスのスネイクがいるんじゃないかと思っている。」
それを討伐しろと。
「他の冒険者に頼めばいいんじゃ。」
私は聞く。
「スネイクは大きい。ボスとなれば尚更。怖がって行きたがるものは少ない。一組やるというパーティーがいるが心もとないから頼んでいる。」
そんな魔物女の子の私に頼むかな?普通。
「なんで私なの?」
「それは冒険者になりたてのお前が魔物に臆することなく倒しに行けるメンタルを持っているからだ。」
それはゲームとかのやり過ぎで、恐怖心より好奇心が勝るからだよ。
「やってくれるか?」
でも、面白そうだね。私の強化した魔法も試したいし、やってみるか。
「…分かりました、やります。」
私は了承する。
「行くのは移動時間も考慮し明後日だ。明日、昼に顔合わせの時間を作るから来てくれ。」
「分かりました。」
パーティーを組むのか。まぁ、仮なんだけど。
「あっ、依頼料もらってない。」
危ない危ない。あと宿屋にプラスでお金渡さないとな。
「あぁ、悪い。」
ギルド嬢を呼び、依頼料をもらう。
「それでは明日。」
「はい。」
短く返事をして帰る。
「あっロア、ちゃんと売れた?」
ロアを見つけたので確認する。
「はい。今日はいつもより高く売れました。」
それはよかった。
「ソラお姉ちゃんは?」
ロアは聞き返してくる。
「ランクが2も上がっちゃったよ。」
苦笑いしながら言う。
「えっ!凄い…」
ロアも驚いている。
「ゴブリン売ったら一緒に帰ろ。」
そしてゴブリンを売りに行ったらそこでも色々な人に驚かれたのはまた別の話。
売り終わった私はロアと歩き始める。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

実家から追放されたが、狐耳の嫁がいるのでどうでも良い
竹桜
ファンタジー
主人公は職業料理人が原因でアナリア侯爵家を追い出されてしまった。
追い出された後、3番目に大きい都市で働いていると主人公のことを番だという銀狐族の少女に出会った。
その少女と同棲した主人公はある日、頭を強く打ち、自身の前世を思い出した。
料理人の職を失い、軍隊に入ったら、軍団長まで登り詰めた記憶を。
それから主人公は軍団長という職業を得て、緑色の霧で体が構成された兵士達を呼び出すことが出来るようになった。
これは銀狐族の少女を守るために戦う男の物語だ。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる