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1章 魔法少女と異世界の街

6話  魔法少女は依頼を受ける

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「んーーふぁ~…」
私は大きく上に手を伸ばし、欠伸をする。

「よく眠れたー…異世界での初眠りだね。」

 今日は依頼を受けるつもりだからちゃんとご飯食べていかないと。あぁ、あと上着も。
朝日を浴びるためフードは被らず、カーテンを開ける。

「眩しっ!」
目を細める。

「でも、綺麗だなぁ。」
そう思いながらフードを被り、下の階に降りる。

「あっソラ、おはよう。」
エリーが朝から元気よく挨拶をする。

 …朝から元気一杯だね。

「エリー、おはよ。」
小さくそう返す。

「朝ご飯ここで食べてける?」
戻るのは面倒くさいので聞いてみる。ダメなら戻るけど。

「全然大丈夫ですよ。」

 やった。ご飯食べたらすぐギルドに行こっと。

 するとエリーは手際良く食材を切り、調理していく。

「上手だね、料理。」

「そんな事ありませんよ。やってればこのくらい簡単にできますよ。」
軽くそう返してくる。

 私も料理はするけど、ちゃんと出来るようになったのはし始めてから2年くらいかかったよ。

 ちなみに料理を始めた理由はアニメで出てくる料理を作ってみたかったからだよ。

「はい、出来ましたよ。」
話してる間に完成したみたいだ。

「今日も美味しいね。」
もぐもぐと食べながら言う。

「ありがとうございます。」
ニコニコしながら言う。
 あんまり見つめないで欲しいな、食べづらい。

「ごちそうさま。」
お皿を返却して、エリーに言う。

「じゃあ行ってくるね。」
手を振って宿屋を出る。

 今日はあんまり見られてないね。フードまで被るとなんか怪しい人に見えるから、時と場合を考えて被ることにする。

 ギルドに入ると一瞬見られるけど、すぐに元に戻る。

 よっし、見られてない。
私は何か依頼がないか聞くためにギルドの人に聞くことにする。

「あの、依頼ってどこで見れますか?」
受付に居た人に聞く。

「…ソラさんですか?」
なんで私の名前知ってるの?
…と思ったら昨日のギルド嬢だった。

「ソラさんですよね。すみません、昨日ギルドについて説明を忘れていました。」

 いやだいぶ大事な事を忘れてるじゃん。

「じゃあ、説明をお願いします。」

「はい。それではまずギルドランクからです。ギルドは下はGランクです。ここは見習い冒険者と呼ばれます。」
へぇ、じゃあ私は見習い冒険者か。

「そして、F、E、D、C、B、A、Sの順です。」
Sランクまであるのか。そこまでいくのは大変そうだね。

「ランクが上がるにつれ、ランクアップの難易度は上がります。Sランクは条件の達成、ギルドマスター2人と街の領主様1人の紹介によりなることが出来ます。」
難しそうだね。私には多分無理だ。

「ソラさんはケルベロスを倒しましたので特例でFランクになっています。」
そうなんだ、なんか得した気分だね。

「ギルドや門、貴族様たちが持つ、このカードを認証する魔水晶で依頼の内容や成功数、失敗数、依頼を受けた数が見ることが出来ます。」
それでその冒険者がどれだけの実力か分かるね。

「最後に依頼はあの依頼ボードにありますのでよろしくお願いします。何か質問はありますか?」

 へぇめっちゃ大事な事じゃん。聞いといてよかった。質問はこれといってない。

「いや、大丈夫です。」
私は依頼ボードに向かう。

 なにがあるのかな?依頼ボードにはランク別に依頼が分けられていているらしいからね。

 …読めない。異世界の文字、読めない。
どうしようかな。聞こうかな。

 仕方ないからギルド嬢に聞くことにする。

「あの、今ってどんな依頼があるんですか?」

 さっき依頼ボードがあるって言ったのに戻ってきてそう言った私を顔色一つ変えずにいた。

「森の魔物調査、ケルベロスの討伐、サルトパファロンの卵3つそしてゴブリンの討伐あたりですね。」
そう答えてくれる。

ゴブリンってあのゴブリン?よくゲームとかでも出てくる。この世界のゴブリン、見てみたいかも。

「あの、そのゴブリンの討伐を受けたいんですけど。」
ギルド嬢に聞く。

「はい、分かりました。ではギルドカードを。」
ギルドカードを渡し、返してもらう。

「これで依頼を受けているという事が分かります。」
へぇ便利だね、ギルドカード。

 私はギルドを出て門まで歩く。
ん、あれはロア?

「ねぇ、ロアだよね?私だよ、空だよ。」
ロアの元まで走る。

「ソラお姉ちゃん?どうしたのその格好。」
気づいてくれたみたいだ。

「みんなに見られないために買ったんだよ。ロアはどうしてここに?」
私は尋ねる。

「…その、薬草を取りにです。ソラお姉ちゃんは?」

「私は依頼を受けたから。危ないからロアの薬草取り手伝おうか?」
不安なのでそう提案する。

「いいんですか?でも、足手まといに…」

 はぁ、子どもなんだから大人の私たちに助けを求めてもいいのに。

「そんなこと気にしない。私も向こうの森の依頼だから。」
ゴブリンの生息地は向こうの方らしいから丁度いい。

「なら、お願いします。」
ペコリとお辞儀する。

 私たちは門に着いたのでギルドカードを見せ門を通る。
門の人にはギルドカードのことを驚かれたけど、昨日ケルベロスを倒したことを知っているので、すぐに返してくれる。

「着いてきてくれてありがとうございます、ソラお姉ちゃん。」
ロアが急にお礼を言う。

「気にしなくていいって言ったでしょ。」

「はい、分かりました。やっぱり優しいですね、ソラお姉ちゃんは。」
くすくすと笑いながら言う。

 なにが優しいんだろう。困ってる人を助けるのは普通のことだと思う。

「別に優しく無いよ。普通のことをしてるだけ。」

「いいえ、優しいです。」
歩きながらそんな会話をする。

「ソラお姉ちゃん、ここです。」
案外ゴブリンの生息地に近い。これは一緒に来て正解だった。

「じゃあそこで薬草摘んでて、私は向こうだから。危なくなったら叫んでね、すぐ行くから。」
そう注意して、私は行く。

 早く倒してロアのとこに戻らないとね。
 








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