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あかね 玲香に小言 九月四日 水曜日
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スナック茜は、今日は静かな一日だった。
いつものように、あかねは玲香に迎えに来てもらった。
「お疲れ様、ママ、今日は暇だったね、街も全然 パッとしなかった。」
「金山さん、中沢さん、吉村さん、あと、島さんたちくらいね」
「金山さんって、ほとんど、毎日来ているよね」
「あの人は、税理士さん、うちの会計も金山さんにお願いしているの、
事務所が錦二丁目だから、歩いてもすぐね。」
「そんな事より、智ちゃんと香奈ちゃん、三越のティファニー店に行って、
貰ったピアスの相場を聞いてきたんですって、
ちょっと、一セット二十万円もする物、あげたの」
「十五年間に買った時は、七、八万円だったと思うけれど、
金相場も上がっているしね」玲香は澄まして言うのだ。
「れいちゃん、本当にあげてもいいの、返してもらうよう云ってあげようか」
「いいのよ、ママ、別にお金をあげたわけじゃないし、
私が使っていた物が必要なくなったから、使ってって、あげただけだから、
そんな、お金がうんぬんって、話じゃないし」
「それは、あんたがまだ、あの時から金銭感覚が完全に抜けていないから、
そう言えるのよ、ちょっと、この話、春樹にしたら大変じゃない。大丈夫」
「ママ、やばい、そうだよね、この話、絶対、春樹に内緒ね、
智ちゃんと香奈ちゃんにもよ~く云っておいてね、
春樹、本当に貧乏垂らしなんだもん」
「何、言ってるの、春樹は普通なのよ、あんたがおかしいの、
もう少し、自覚を持って反省しないとダメでしょう」
「は~い!」 玲香はあかねの小言が、なんだか、気持ちよかった。
れいちゃんと呼ばれていたのが、あんたに変わったのが、すごく身近に感じたのだ。
「それはそうと、あんたが、智ちゃんたちにブランド物の
ジュエリーなんかあげるものだから、それに目覚めちゃって、
給料上げろって言ってきたのよ。なんでもSNSでたくさん、
お客を引っ張ってくるから、その分、加算してだって」
「へぇ、やる気になってきたのね、良かったじゃない、ママ」
「良くないわよ、SNSだか、なんだか知らないけれど、
おかしな人たちが来たら困っちゃうじゃない、
前にも、一見さんが来た時、警察沙汰になって、大変だったのだから」
「そうなんだ、だったら、顧客を濃くすれば・・」
「濃くするって、どういう事」
「ママ、さ~ 茜、始めてどれくらい」
「そうね、三十歳の時に開けたから、十五年かしら」
「じゃ、十周年記念とかやったでしょう」
「そんな事、考えた事もなかった。あの頃は、私、一人で足りたから・・」
「香奈ちゃんたちも気合いが入ってきたから、ママ、もう一踏ん張りしてよ」
「十五周年記念って事でイベントを企画して、
常連さんたちに新規のお客さんを連れて来てって、招待すればいいじゃない」
「イベントって、なにするの?」
「んんんとね、ちょっと待って、ママ、お客さんって三十人くらいは入れる」
「そうね、ギリギリね。二十八人は入った事があるけれど、限界かな」
「じゃ、二十八人分のリモコンのスイッチ付きライト球を買ってくるわ、
それをお客さんに渡して、小箱にはスイッチ球を二十八個分入れておくの、
そして、ママが小箱の中からスイッチ球を一つ取り出して、スイッチを入れると、
お客さんの持っているライト球が光る仕掛け、
それを手にしていたお客さんと、私か香奈ちゃんか智ちゃんか、ママが
お客さんとあっち向いてホイを口でするって云うのはどう!」
「えぇ、私もするの、口で・・・あっち向いてホイをするの・・どういう事」
「ママがやらないで、どうするのよ、別にキスをするわけじゃないから、
いいでしょう。だから、幅の広いスプーンを口にくわえて、
そのスプーンにアイスクリームか何かを乗せて、
それをお客さんがあっち向いてホイの時にうまくアイスクリームを食べられたら
おめでとう賞、できなかったら残念賞、なんか、粗品を用意しなくちゃ、
どう、ダメ」
「本当に私もあっち向いてホイをするの、勘弁してよ」
「ママ、云っておくけれど、ここはママのお店よ、
ママが先頭切ってやらないでどうするのよ」
「大丈夫、スイッチの方には四カ所、スイッチが付いていて、
赤と黄色と青と白があるから、赤はママ、青は私、黄色は智ちゃん、
白は香奈ちゃんって決めておけば、小箱からスイッチ球を出して、
そのスイッチ球のどれかを押すとお客さんのライト球が赤く光ったら
ママがあっち向いてホイをするの、
青だったら私がお客さんとあっち向いてホイをするって云うのは、いいでしょう。ねぇ、ママ、みんな盛り上がるよ、きっと」
「もう、玲香が責任を持ってしてくれるなら、私は何も言わないけど・・・」
ママはあんまり乗り気ではなかった。
「じゃ、ママ、十日程ちょうだい、それまでには、しっかりした企画作るから」
と言っているうちに、茜の実家についた。あかねは寄っていけと言ったが、
玲香は仕事中だと言って、街に戻った。
いつものように、あかねは玲香に迎えに来てもらった。
「お疲れ様、ママ、今日は暇だったね、街も全然 パッとしなかった。」
「金山さん、中沢さん、吉村さん、あと、島さんたちくらいね」
「金山さんって、ほとんど、毎日来ているよね」
「あの人は、税理士さん、うちの会計も金山さんにお願いしているの、
事務所が錦二丁目だから、歩いてもすぐね。」
「そんな事より、智ちゃんと香奈ちゃん、三越のティファニー店に行って、
貰ったピアスの相場を聞いてきたんですって、
ちょっと、一セット二十万円もする物、あげたの」
「十五年間に買った時は、七、八万円だったと思うけれど、
金相場も上がっているしね」玲香は澄まして言うのだ。
「れいちゃん、本当にあげてもいいの、返してもらうよう云ってあげようか」
「いいのよ、ママ、別にお金をあげたわけじゃないし、
私が使っていた物が必要なくなったから、使ってって、あげただけだから、
そんな、お金がうんぬんって、話じゃないし」
「それは、あんたがまだ、あの時から金銭感覚が完全に抜けていないから、
そう言えるのよ、ちょっと、この話、春樹にしたら大変じゃない。大丈夫」
「ママ、やばい、そうだよね、この話、絶対、春樹に内緒ね、
智ちゃんと香奈ちゃんにもよ~く云っておいてね、
春樹、本当に貧乏垂らしなんだもん」
「何、言ってるの、春樹は普通なのよ、あんたがおかしいの、
もう少し、自覚を持って反省しないとダメでしょう」
「は~い!」 玲香はあかねの小言が、なんだか、気持ちよかった。
れいちゃんと呼ばれていたのが、あんたに変わったのが、すごく身近に感じたのだ。
「それはそうと、あんたが、智ちゃんたちにブランド物の
ジュエリーなんかあげるものだから、それに目覚めちゃって、
給料上げろって言ってきたのよ。なんでもSNSでたくさん、
お客を引っ張ってくるから、その分、加算してだって」
「へぇ、やる気になってきたのね、良かったじゃない、ママ」
「良くないわよ、SNSだか、なんだか知らないけれど、
おかしな人たちが来たら困っちゃうじゃない、
前にも、一見さんが来た時、警察沙汰になって、大変だったのだから」
「そうなんだ、だったら、顧客を濃くすれば・・」
「濃くするって、どういう事」
「ママ、さ~ 茜、始めてどれくらい」
「そうね、三十歳の時に開けたから、十五年かしら」
「じゃ、十周年記念とかやったでしょう」
「そんな事、考えた事もなかった。あの頃は、私、一人で足りたから・・」
「香奈ちゃんたちも気合いが入ってきたから、ママ、もう一踏ん張りしてよ」
「十五周年記念って事でイベントを企画して、
常連さんたちに新規のお客さんを連れて来てって、招待すればいいじゃない」
「イベントって、なにするの?」
「んんんとね、ちょっと待って、ママ、お客さんって三十人くらいは入れる」
「そうね、ギリギリね。二十八人は入った事があるけれど、限界かな」
「じゃ、二十八人分のリモコンのスイッチ付きライト球を買ってくるわ、
それをお客さんに渡して、小箱にはスイッチ球を二十八個分入れておくの、
そして、ママが小箱の中からスイッチ球を一つ取り出して、スイッチを入れると、
お客さんの持っているライト球が光る仕掛け、
それを手にしていたお客さんと、私か香奈ちゃんか智ちゃんか、ママが
お客さんとあっち向いてホイを口でするって云うのはどう!」
「えぇ、私もするの、口で・・・あっち向いてホイをするの・・どういう事」
「ママがやらないで、どうするのよ、別にキスをするわけじゃないから、
いいでしょう。だから、幅の広いスプーンを口にくわえて、
そのスプーンにアイスクリームか何かを乗せて、
それをお客さんがあっち向いてホイの時にうまくアイスクリームを食べられたら
おめでとう賞、できなかったら残念賞、なんか、粗品を用意しなくちゃ、
どう、ダメ」
「本当に私もあっち向いてホイをするの、勘弁してよ」
「ママ、云っておくけれど、ここはママのお店よ、
ママが先頭切ってやらないでどうするのよ」
「大丈夫、スイッチの方には四カ所、スイッチが付いていて、
赤と黄色と青と白があるから、赤はママ、青は私、黄色は智ちゃん、
白は香奈ちゃんって決めておけば、小箱からスイッチ球を出して、
そのスイッチ球のどれかを押すとお客さんのライト球が赤く光ったら
ママがあっち向いてホイをするの、
青だったら私がお客さんとあっち向いてホイをするって云うのは、いいでしょう。ねぇ、ママ、みんな盛り上がるよ、きっと」
「もう、玲香が責任を持ってしてくれるなら、私は何も言わないけど・・・」
ママはあんまり乗り気ではなかった。
「じゃ、ママ、十日程ちょうだい、それまでには、しっかりした企画作るから」
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玲香は仕事中だと言って、街に戻った。
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