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 四人で祝宴 八月四日 日曜日

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      暑い日が続く、最高気温38℃ 本当に異常な暑さである。

一昨日、八月二日に籍を入れてきた春樹と玲香は、澤正に着いた。
ママと修平はまだ、来ていないようだ。
予約席に案内されると、テーブル席にカードスタンドが立ててあった。
ウナギのハートマークの中に
【ご結婚おめでとうございます。
ウナギのように粘り強く愛組んで長~幸せをつかみ取って下さい】と書いてある。
ママがお店に頼んだようだ。ママと修平がバラの花束を持って現れた。
「結婚 おめでとう」  修平が言う。
「念願が叶ったね、よかったね」
 ママが涙ぐんで玲香に言った。
「ママ、修平 ありがとう、なんか、披露宴みたい」
「あら、四人で披露宴でしょう」
「結婚式みたい」玲香の目から涙が止まらない。
「よかったね、さぁ、座って座って」
「乾杯しよう。ご結婚おめでとう、永遠の幸せを・・乾杯」

春樹も今日ばかりはと、一口飲み干した。
玲香がそのコップを取り上げて、ウーロン茶を渡す。
「次はママの番だね、修平はいつの予定?」

「まぁ、まぁ、俺たちの事はいいから・・
れいちゃん、免許証の名前も変更しなきゃいけないね」

「二日の日に全部片付けてきた。車検もあったし、通帳の名義変更もしてきた。
丸一日かかった」

「すご~い、ぜーんぶ、一日でやってきたの。気合いが違うわね」

「どう、新婚気分は・・・」

「夢みたい、春樹が子供ができたらいいねだって!
私とは縁の無い世界だと思っていたから、なんか、じわ~と胸が熱くなった。
うれしかった。普通の奥さんになれたみたい」

「何言ってんの、普通の奥さんじゃあ無いの、いや、普通じゃ無いわ、
最高に幸せな奥さんだね」ママがうれし声で言った。
 
お刺身盛り合わせ・肝焼き・う巻・白焼き・鰻と胡瓜の酢の物・ひつまぶし 
料理が運ばれてきた。
ウナギのコース料理なんて初めてのことだ。
みんな一斉に箸をつついた。どれもおいしい、

「白焼きってどうやって食べるの」玲香が問う

「この岩塩とか、このわさび醤油、浸けて食べるのかな」

「おいしいね」ママの顔がほころんでいる。

「ねぇ、ママ、ママは修平さんと一緒になる気は無いの?」

「そりゃ、修平さんがもらってくれるのなら、
今日の手土産袋の中にでも入って持って行ってもらいたいもんだわ」

「そんなん、重くて、持って行けないよ」春樹が笑った。

「修平さんはママの手土産袋持って帰る気は無いの」玲香が不思議そうに聞く

「参ったな、その話は、また、いつか、今日は春樹たちの祝宴だから」

「なんか、ごまかしている、ママが可哀想」

「わかった、修平さん 前の奥さんの子供が居るんでしょう」

「いません、弱ったなぁ、この話は今度また・・・」

「そうか、賭け事やり過ぎて借金だらけとか」  玲香が突く

「まさかと思うけど、ホモだったりして、春樹とできていたとか」

ママが口に含んだビールを吹き出した。春樹もアホを言うなって怒っている。
修平が玲香の突っ込みにたまらず

「ん~ん、わかった、わかった。ここじゃ言えない、
今度の日曜、ママの家に行って話をするから、それでいいかな」

「私も行っていい」玲香が口を出す

「いや、ママにしか、言えないことだ。春樹、それでいいかな」

「良いも悪いも、二人の事だから、俺らが口を出すことじゃないよ、
でも、ママ、よかったね、」

「今度の日曜日、修平さん、仕事のはずだけど」

「いいよ、休むよ、いろいろあるし」

「わかった、約束、指切りげんまん、嘘ついたら針一万本、飲~ます」

ママは修平の顔にめがけて指切りをした。
ビールが進む。ウナギも平らげて、もう一件、付き合おうかって春樹が言うと
ママが修平に言った。

「ねぇ、どうして、今度の日曜日なの・・・今からじゃダメなの・・
今からうちに来て朝まで話しましょうよ。
明日、休めばいいじゃ無い、ねぇ、ダメなの」
  
だいぶん、ママも酔ってきたようだ。
「そうよね、それがいいよ、春樹、そう思うでしょ、3対1で修平さんの負け!」
「まぁ、しょうもないな~ママも酔ってきたことだし、じゃ、送るわ」
四人は澤正で別れる事にしたのだ。
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