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玲香の告白 

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       二人はタクシーを捕まえるとお店に向かった。
いいちこ 3本 角 5本 白州 1本 玄武  2本 計十一本
玲香がマジックペンでスカンクを描いていく。お尻の吹き出しに
[プーゥ レイカ]と入れる。ママがドンペリを進めたが、玲香は水割りを好んだ。
ママは描かれたスカンクの下にお客さんの名前を丁寧に入れている。
静かなひと時だ。玲香が話し始めた。

「ママ、私、5年前まで、東京でAV女優をしていたの、
十八歳の頃から、非行に走って、男たちの言いなりになって、
遊び金欲しさになんでもした。そして、気が付いたらAV女優させられていた。
動画、一本撮影すると、企画に寄るけど20万から30万、
月に十本出れば、二百から3百は稼げた。
でも、そんな金、全部、貢いじゃって・・・」

 あかねは驚きもせず、平然として聞いた。
「AV女優って、そんなに稼げるものなのね、じゃあ、れいちゃんのビデオ、
ビデオ屋へ行ったら、まだあるのかしら!」

「私の契約会社は、Webサイト上の動画撮影だから、
DVDの販売会社とは違うの、だから、Web上で調べれば
私の動画が出てくるかもしれないけれど、アダルト動画なんて、山ほどあるから、
それに新しい動画がどんどんUPされているから、
私の動画なんて、よっぽどでないと出て来ないと思う、
ただ、私の動画を買ってダウンロードしている人たちであれば、
いつでも見る事はできるけど、それが私だってわかる人っていないと思う。
だから、ずーと、心の中で閉じ込めておけばいいと思っていた。
なのに、ママは疑っているし、結局、過去って、身体にしみついていて、
私の行動の一つ一つに見え隠れしているんだと思った。
おしりを触られても、別にどうって事ないし、
今まで私は体張って生きていたわけだから、
ヌードになれって言われれば躊躇ちゆうちよなく裸になれるもの」

「悪かったわね、ごめんね、だけど、心の底では、そうじゃないかなって少し思っていたわ。
私はAV女優になる環境って無かったから、足を踏み入れる事もなかったけれど、
横浜で十年以上かな・・・ヘルスで働いていたの。デリヘルもやったわ。
俗に云う風俗嬢をやってお金を稼いで、この店を持つ事ができたのよ。
れいちゃんのAV女優とは、また、違うのかもしれないけど、
私は一日、3人も4人もの男を相手にしていたから、
男の数なんて千を超えてるかも・・・AV女優は、その一時期であったとしても、記録に残っているわけで、
それが、今でも心の底に闇になって潜んでいるのだとしたらツライわね。
でも過去は過去よ、れいちゃんは堂々と生きていいのよ。
何も過ちはしていないでしょう、
れいちゃんも私も、今まで通り、精いっぱい生きて行きましょうよ。
ありがとう、聞かせてくれて・・・」

あかねは急に泣き崩れて玲香に言った。

「わたしって、馬鹿な女、聞いたからって、何をしてあげられるの、
結局、私は自分の同類を求めていただけで・・・
なんだろう、れいちゃんも私と同じような世界で生きていた女、
同じ境遇の女じゃないかって。[同類哀れみを乞う]じゃないけど、
私だけじゃない、れいちゃんも同じだって思う事で心の浄化っていうのかな、ただ、私の不安を解消したかっただけなのかもしれないわ。 
今、私、それに気づいた。
ごめんね、自分が情けない、聞いてはいけなかったのかも、許して・・・」

 「ママ、そんなに自分を責める事ないよ、私、ママに聞いてもらって少し、
心が軽くなったような気がする、
ママも私も似たような生き方をしているんだと思ったら、
すこし、勇気をもらったような気がする、
やっぱり、私たち、姉妹よね!これ、ママと私だけの秘密だからね」

時計を見ると、いつの間にか二十三時を過ぎていた。
玲香は春樹を呼ぶと、あかねを送ってから、自宅に戻った。
あかねは春樹のタクシーから降りる時、料金を1万円払うと、
「春樹、今日はとても良い日だったわ、れいちゃんをしあわせにするのよ、頼むわよ」
と言って嬉しそうに下りていった。
「ねぇ、今日は早く帰ってきてよ、どうせ、晩ご飯食べていないでしょう、
塩焼きそば作るから、一緒に食べよう」
と云うと玲香も気分良さそうにマンションに入っていった。
まだ、0時前だ、早く切り上げるにしても早すぎる、
春樹はもう、一踏ん張りしようと街に戻った。
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