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第33話 魔道具作り1

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 リズと結婚した俺は夫婦で新婚旅行を兼ねて各地を視察している。

 北大陸が我が帝国の領土になり新しく領土になった旧バスタ王国とログラン皇国を視察した。

 戦争が終わった後に見に来たが、ボンズとバルトの両代官が良くやってくれて今では水道や下水も整備されて、税金も以前の3分の1に下げて道行く住民も笑顔だ。

 此れなら反乱の心配もないだろう。

 街を歩いているとリズが。

「以前は道路も石畳じゃなく雨が降るとぬかるみで大変と聞いていたのに綺麗になっているのでビックリしたわ」

「うん。上下水道も整備されて病気になる人が減ったみたいだ」

「前世の予防医学が役に立っているのね。塩や砂糖も平民でも安く手に入るようにしたリオンは食生活も変えて素晴らしいわ」

「これも前世の知識のお陰だ」

「そうね。でもまだ交通が不便だわ」

 そういえば、以前に魔石を使って携帯電話を作ってみると言っていたのを思い出して。

「魔石を使ったなら蒸気機関車や車を作れるかも知れない。皇宮に工房を建てて本格的に研究をしてみるか」

「最初は携帯電話にしてよ」

「分かった。出来るかどうか分からないけれど研究をしてみるよ」



 新婚旅行を兼ねた視察を終えて皇宮に戻ると、早速、工房を建てて魔道具の研究に励でいる。

 最初はリズと約束した携帯電話だ。

 魔石の使い方を知るためにこの国で1番有名な魔道具作りの職人の工房を訪問したが、工房の親方は変人で俺が。

「魔石の使い方を教えてほしい」

 親方は俺を見て

「貴族に教える気はない。帰れ! 」

 ついて来たバースが。

「無礼な事を言うな。この方はリオン皇帝だ」

 親方はまさか俺が皇帝だと思わなかったのだろう。顔色を青くして。

「申し訳ございません。まさか陛下と思わず、失礼いたしました」

「余が最初に名乗らなかったから悪かった」

「陛下がこんな所に来るとは驚いたぜ。心臓が止まるくらいビックリしたじゃないか」

 バースが親方の言葉の悪さに。

「陛下に何という言葉だ」

「バース、怒るな。余は教えて貰う立場だ」

「へぇー! 陛下は物事の分かる人だな。気に入った。俺はビヨンドだ。何でも聞いてくれ」
 俺が皇帝だと知っても態度を変えない変人だが人は良く腕は良さそうだ。

 3時間程、魔石の話を聞いた。魔石をエネルギーに変えるには、魔石を密閉した箱に入れて特殊な液体で溶かした液体を細い管で取り出してエネルギーとして使うらしい。

 実際にビヨンドがその装置を見せて魔石を溶かす液体の作り方を教えてくれて。

「陛下はこんな事を覚えて何を作るつもりですか」

「馬がいなくて走る馬車や遠くいる人と話せる魔道具を作るつもりだ」

 ビヨンドは分からない様子で。

「?・?・? サッパリわからん」

「余も出来るか分からんが試してみる」

「成功したら俺に見せてください」

「ハッハッハー! 成功したら見せる」

「楽しみにしてやす」

 次の日から執務の合間に携帯電話の研究をして、魔石の液体化とエネルギー化に成功した。

 だが問題は大きすぎて持ち運びができない。

 実験的に魔石の液体とエネルギー2つを1cの金属に密閉して俺の魔力を流し、10cmの箱に入れてリズにも同じ魔力を流して話をしてみた。

 すると、リズの声が耳ではなく頭の中に響いて聞こえたのだ。

 やはりこの世界では電波ではなく空気中に含まれている魔力が言葉では無く念を運んで念話として頭の中に運んでいるみたいがだ。

 魔道具を作る時は魔力が大事だということが分かった。

 如何やら俗に言う念話みたいでリズが。

「リオンの声が頭の中に聞こえたわ。でも会話は出来たわよ。遠くにいても話せるのかしら」

 空間移転して領地の城に行きリズに話してみると。

「聞こえるわ。大成功よ。頭の中に聞こえるのは変な感じだけれど」

 話したい人同士が魔力を流して登録しておかないと念話で話せないのは不便だが、それでも遠く離れても連絡できたのは成功と言っても良いだろう。

 何回も作り変えてみたがそれ以上の物は作れなかった。
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