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第20話 陛下が倒れる
しおりを挟むリズが前世の記憶を持った転生者で俺の奥さんだった瞳だと知った俺は、バラ園のベンチに座り。
「まさかリズが瞳の生まれ変わりだとは驚いたよ」
「私は飛行機事故で死ぬときに生まれ変わっても絶体に又、一緒になれるように神様にお願いしたのを神様が叶えてくれたのかしら」
「そうかも知れないな」
「でも不思議ね。異世界に生まれ変わって又、一緒になれるなんて奇跡よ」
こうして俺たちは奇跡のような巡り合いに感謝したのだ。
それから俺の夢を語り、前世の知識と医学の知識を使いこの世界を少しでも改革して変え進歩させると言うと、リズも協力して一緒にすると言い。
医療を充実させるために、最初は紫色の瞳を持つ人が聖魔法を使えるのではないかと思い、各地のギルドに紫色の瞳で水晶に魔力を流すと青白い光を発する人を探して貰う事にした。
その間リズに魔力量の増やし方を教えて治癒魔法の使い方を教えている。
1か月後に今度は紫色の瞳の人と指定したおかげで20人が見つかり、聖魔法を使える人は女性ばかりで、男性は聖魔法を使いないみたいだ。
その人達を皇都に呼んで鑑定の目で見て、やはり聖魔法を使える事が分かり皇宮に住まわせた。
聖魔法を使える20人にリズと同じ魔力量を増やす訓練と治癒魔法の使い方を教えると、思ったより早く治癒魔法の使い方を覚えた。
各地の街に治療院を開設して治癒魔法を使える人を配属した。
効果は直ぐに現れて大怪我や病気で死ぬ人が少なり治療院は地域の医療に欠かせなくなったのだ。
リズは皇都の治療院の責任者と各地の総責任者として忙しい毎日を送っている。
俺は治癒魔法を使える人達を少しでも助けるために予防医学の普及に努め、又効果のあるポージョン作りをしている。
暇を見ては領地を見て回り忙しい毎日をおくっている。ある日に陛下が倒れたとの連絡があり、急いで皇宮に向かった。
陛下に合うと意外に元気で。
「少し疲れたみたいだ。余は休養をするために別荘に行く」
陛下の腕を取り脈拍を見たが、正常で思ったより元気で安心した。別荘は皇都から馬車で2時間くらいの海の見える高台にあるので心配になり。
「馬車で2時間も掛かるのに大丈夫ですか? 」
「大丈夫だ。此処にいると何かと仕事が多いので、今後のために暫く政務を皇子たちに勉強させるために任せてゆっくり静養したいのだ」
「分かりました。お兄さんたちに連絡をしたのですか」
「ヨハンが連絡をしたのでもうすぐ来るだろう」
直ぐに皆が来て陛下が静養する間、政務を見るように言うと皆が良い返事はしたが、実際に陛下が別荘に行くと、イルマ第2皇子とクルト第4皇子の2人は。
「俺たちは皇帝になる気はないので政務を覚える気はない。ウイルとリオンがすれば良いだろう」
ウイル兄は2人に言い返して。
「俺が皇帝になっても文句は言うなよ」
2人は意味ありげに俺を見て。
「ああ、そうなったら文句は言わんよ」
そう言ってサッサと帰ってしまったが、俺も皇帝になる気がないので。
「俺も皇帝になる気はないので次の皇帝はウイル兄さんに決まりだな。じゃー、俺も帰ります」
「ちょっと、待てよ」
聞こえない振りをしておれも部屋を出た。
その1週間後にウイル兄さんから緊急の要件だと言うので皇宮の陛下の執務室に行くと、机の上に山と積まれた書類に囲まれて俺を見ると。
「リオン助けてくれ。此の書類を今日中に見て決裁をしないといけないのだ。数字に弱い俺には無理だ。皇帝の仕事がこんなに大変だとは知らなかった。リオンは頭が良くて数字に強いから後は任せる」
そう言うと脱兎のごとく逃げ出して俺は唖然としたのだ。
直ぐに陛下に付いて行ったヨハン宰相の部下が来て。
「此の書類は必ず今日中に目を通して決裁をお願いいたします。それでないと色んな行事や仕事が進みませんのでよろしく」
仕方なく書類を見ると、色んな予算の数字が合っているか調べて判を押すだけの簡単な仕事で1時間程で終わった。
だが書類を見て分かったが無駄が多いのに気が付き、このままではお金が湯水のように使われている。
これでは税金が無駄に使われ財政が圧迫されるはずで、それに税金の収入がおかしいのだ。
どうも役人が不正をしているみたいだ。
俺は次の日から書類を徹底的に調べ、やっぱり不正が行われていると感じ、組織の改革をしなくてはと思った。
改革をするには信用出来る人材が必要でまず人材探しをすることにしたのだ。
ふっと陛下は、俺たちを試す為に仮病を使い次の皇帝を決めるつもりではないのかと思ったが、まさかそんなことはないだろう。
俺がそのことをリズに話すと。
「絶対そうよ。陛下はリオンを皇帝にするために嫌な仕事をさせているのだわ。だって他の皇子たちは逃げ出して仕事をしているのはリオンだけでしょう」
リズの言う通りなら、如何やら陛下の策略にはめられたみたいだ。
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