1 / 48
第1話 プロローグ1
しおりを挟む俺は15年ぶりに祖母の墓参りをするために東北の小さな町の故郷に帰り、丁度同窓会があったので卒業して初めて中学の同窓会に出席した。
会場に着くと一番、嫌いだった家が金持ちのボンボンが俺を見るなり、わざと皆に聞こえる大きな声で。
「中卒の貧乏人が恥ずかしくもなくよくも顔を出せたな。俺は大学を出て一流企業で働いているぜ」
俺が黙っていると調子に乗り。
「中卒ではまともなところでも働けなく今も貧乏人の癖に同級生の恥さらしだからトットと帰れ」
近くにいた綺麗な女性の同級生が俺を馬鹿にしている男に向かって。
「貴方知らないの? 清水君はアメリカで有名な予防医学の権威で医師よ。私は看護師だからこの間、東京で清水君の講演を聞きに行ってきたわ」
「嘘だろう! 中卒の此奴が医者になれるはずがないだろう」
俺はアイツが言う通り、小さいときに両親が亡くなり祖母に引き取られて中学まで此の小さな町で育ち、中学を卒業すると亡くなったお母さんの兄のアメリカにいる叔父さんが俺を引き取り医大まで出してくれたのだ。
アメリカで予防医学の普及に努め、医師として有名になり今回は日本の医師会から講演を依頼され、一時帰国して祖母の墓参りとついでに同窓会に来たわけだ。
そのことを話すと俺を馬鹿にしていた同級生は逆に皆から学歴で人を判断する馬鹿なやつだと言われて、白い目で見られている。
俺の素性を知っていた看護師の女性は中学生の時、憧れていた村田瞳さんだ。
同窓会が終わり東京に帰るために新幹線の駅に行こうとすると村田さんが。
「東京に戻られるのですか? 私も東京に戻るのでご一緒しても良いですか」
勿論、俺は喜んで即座に。
「話し相手が出来て嬉しいです。ご一緒しましょう」
新幹線の普通車両が満席なのでグリーン車両に空席がないか聞くと空席あり、俺は2人分の料金を払いグリーン車両に乗った。
席に座ると彼女がグリーン車両の料金を俺に渡そうとしたので。
「男の俺に良い恰好をさせてくれよ」
「フフフッ、分りました。お言葉に甘えさせていただきます」
新幹線の中では互い医療の仕事なので話が盛り上がり、彼女がまだ独身だと知った。
俺の知っている村田さんは顔も綺麗だが、頭も良くて性格も優しく男性の憧れの的だったので30歳の今も独身と聞いて驚いたのだ。
東京駅に着くと村田さんは少し顔を赤くして。
「清水君はいつまで日本に滞在するのですか?」
「1週間で帰る予定です」
「あのう、宜しかったらグリーン車のお礼もあるので今度は私が行きつけのお店でご馳走したのですが・・・・・・」
俺も、もう1度誘いたかったので。
「喜んでご一緒します」
「良かった」
2日後、待ち合わせ場所に行くと村田さんが綺麗すぎて思わず見とれていると彼女が。
「私、おかしいですか?」
「綺麗すぎて見とれていました」
彼女が俺の言葉に顔を赤くして案内したのは小奇麗なイタリアンレストランで、雰囲気も良く料理も美味しく頂いた。
食事が終わりコーヒーを飲みながら直ぐにアメリに帰るので俺は、断られるのを覚悟のうえで。
「村田さん、結婚を前提に付き合ってくれませんか?」
村田さんは一瞬驚いた表情を浮かべた後顔を赤くして。
「私で良いのですか?」
「はい、俺、中学時代から村田さんに憧れていましたが高嶺の花と諦めていました。好きな人がいるのなら諦めますが・・・・・・」
「好きな人はいません。私も中学時代清水さんが好きでした。だからこんな私で良ければお付き合いしていただけますか」
こうして付き合うようになり、俺はアメリカに帰ってからも2カ月に1度は日本に帰りデートをし、メールや電話で遠距恋愛を続けて1年後にめでたく結婚した。
日本で結婚式を挙げてアメリカに帰る途中で俺たちの乗った飛行機の車輪が故障した。
機長は胴体着陸をしたが、着陸に失敗したのか機体は爆発して炎上し俺は結婚したばかりの瞳を抱き締めたまま意識を失ったのである。
どのくらいの時間が過ぎたのだろう?
気が付き、目を開けると見たこともない豪華な天井で病院の豪華な個室と思っていると、金髪の綺麗な白人の女性が俺を見て何か言っている。
話している言葉は英語ではなく初めて聞く言葉だ。
その女性が俺を軽々と抱き上げたので驚いた。
驚いて声を上げると。
【オギャー! オギャー!】
赤ちゃんの泣き声で自分の手を見るとモミジの手で赤ちゃんの体ではないか。
俺が余りの事に気が動転して泣いていると、抱いている女性が何かを言いながら乳房を俺の口に含ませた。
赤ちゃんの本能なのだろうか、チュチュと吸い出してお腹が一杯になると猛烈に眠くなり眠ってしまったのだ。
42
お気に入りに追加
2,484
あなたにおすすめの小説
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる