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番外編1 マリシャーヌ
しおりを挟む私は、マリシャーヌと言います。
私は、普通の商人の家に生まれた平民で、両親に可愛がられて幸せに暮らしていたのですが、人より顔が綺麗でその為に17歳の時に子爵に見染められてしまい。
両親も私も嫌だったのですが、その子爵が私を側室にと望み、反対する両親に断るならこの店の商業権を取り上げて潰すと脅されてなく泣く側室にされたのです。
25歳に時にその子爵が亡くなり、此れでやっと開放されると思ったのですが、子爵家を継いだ長男と母親に騙されて娼館に売られて借金を背負わされたのです。
28歳で借金を払い終わり自由の身になって実家に帰ると両親は、亡くなっており、お店も無くなっていて私は、途方に暮れてしまいました。
持ち金も少なかったので、貧民街の小屋のような家に住んで旅館で働き始めたのです。
やっと、平穏な暮らしが出来るようになったある日に、側室時代に何かと面倒を見て貰い世話になった司祭様のいる龍神教会にお参りに行き、その帰りに、あの子爵の経営する孤児院の前に赤ちゃんが捨てられていたのです。見過ごそうとしたのですが。
その孤児院が、人身売買に関わっているという噂があったので思い返して捨てられていた赤ちゃんを連れて帰り、我が子として育てることにしたのです。
名前をリュウトと名前を付けて、勤め先の旅館の女将さんや同僚の協力もありリュウトは、元気に育ったのです。
でも、リュウトは、知恵遅れなのか身体も小さく言葉も満足に話せずに心配したのですが、14歳の頃にまるで別人の様に変わった。
身体も大きくなり顔は、小さい時から女の子と間違えられるほど綺麗な顔だったのですが、男の子らしい顔に変わり。
言葉も綺麗な言葉を使い始めて毎日のように図書館に通い、独学で文字を覚えて読み書きも難しい計算も出来るようになったのです。
親の欲目かも知れませんがリュウトは、天才かと思った程でした。
私たち親子は、周りの人たち女将さん、龍神教会の司祭長ザガント様、豪商のバリサン様に助けられて貧民街を抜け出したのです。
私を娼館に売った子爵親子は、人身売買の罪で捕まり処刑されて何と、その子爵が住んでいた屋敷に住む事になったのでした。
後で分かったのですが、あの子爵親子の人身売買の証拠は、ザガント様とバリサン様が集めて国に訴えたのでした。
また、子爵の屋敷と孤児院は、改装されて私が側室だった時と違い、まるで別な屋敷の様に孤児院とも繋がり、明るく快適な住まいになっていたのです。
孤児院の院長として働き子供好きな私には、ピッタリな仕事でこんな環境を整えてくれた皆様に感謝していたのです。
それから私たち親子は、怒涛の如く人生が変わり。リュウトは、此の世界と違う異世界の記憶持ちで、龍神王だと分かりました。
騎士爵の貴族になったと思ったら、直ぐに公爵になり。
最後は、何と此の世界の救世主と呼ばれて大陸全ての連合国の初代元首に就いたのです。
オスガン王国、第1王女ナナファーナ・オとスガンバンダイ公国、第2王女ライナ・パイオニという、絶世の美女の2人の王女と結婚したリュウトは幸せそうで。
結婚式では、私はリュウトを拾って我が子として育ててきた我が子の晴れ姿に嬉し涙が止まりませんでした。
リュウトが龍神王で連合国の元首であれ私の中では、いつまでも愛する可愛い子供なのです。
そんな私にも自分でも信じられない事が起こったのです。
もう老境に入ろうとする、私が年甲斐もなく恥ずかしいことに恋をしてしまったのです。
相手は、リュウトの仲間のサビオ・ヨハネ様という方で。
最初は、リュウトが孤児院に連れて来て出会いましたがその時は、何も思わなかったのです。
その後にリュウトの領地の城に行き、忙しいリュウトに代わって彼が私の面倒を見てくれて観光地を案内してくれたのです。
サビオ様の優しい心使いと思いやりに触れて、年甲斐もなく恋心を抱いてしまい。
勿論、其処は、年の功で表情には出さなかったのです。
観光も終わり明日は、孤児院に帰る前の晩にサビオ様が私に告白して。
「マリシャーヌ様、私は、長いこと生きて来ましたが、初めて恋をして好きな女性が出来ました。私は、マリシャーヌ様に恋をしてしまい、大好きで愛しております。どうか私を受け入れて結婚してください」
そう言われて求婚され。
私は、サビオ様が私に好意を持っている事には、気が付いておりましたが。まさか告白して結婚を申し込んで来るとは、思わずに頭の中が真っ白になりパニックになってしまい。
「え? ・・・・ もしかして・・私の聞き間違いですわね。 だって私は、46歳のおばあちゃんですよ」
「とんでもない! マリシャーヌ様は、まだ若くお綺麗で、何よりも心が綺麗で優しく。私は、貴女以外の女性と結婚する気はありません。どうか私と結婚してください」
此の年まで男性を好きなったことがない私は、初めて恋心を抱いたサビオ様からの告白とプロポーズに少し冷静になり考えて。
騙されて娼館に売られて娼婦だった時の事を思い出してこんな汚れた身体の自分がサビオ様に相応しくないと思い泣き伏したのです。
「ウッ、ウッツ・・・・私は汚れている女です。ウッウ・・・・サビオ様とは結婚出来る女では、ありません・・・・・・」
サビオ様は優しく私を抱きしめて。
「マリシャーヌ様が今まで何もなかったとは思いませんので、訳を聞かせていただけませんか」
迷いましが、騙されて娼館に売られて娼婦だった事など、私の過去を全て話したのです。
サビオ様は話を黙って聞き終わると。
「そうだったのですか。でもそんな事は、些細な事です。確かに身体は汚されたでしょうが心までは汚されていないでしょう。大事なのは、心です。
マリシャーヌ様の過去を知っても私の心は、変わりません。どうか私と今後の人生を共に歩んで下さいませんか」
私の過去の話に嫌になると思ったのに、サビオ様の思いがけない言葉に今までの嫌な思いを振り切るように子供の様に泣き彼の胸に飛び込んで泣いたのでした。
「ワァ―ン・・ウッツ・・ワァ―ン・・・・
嬉しい・・・・」
そんな子供みたいに泣きじゃくる私を優しく抱きしめてキスをして彼は。
「今まで辛かったでしょう。大丈夫、此れからは、私が貴女を守ります」
こうして、私はサビオ様と結婚する事になったのです。
でも、サビオ様がリュウトに私との結婚の許可を取りに行った時にリュウトが。
「俺の母上は誰にも渡さない」
と反対するかと思ったのですが、最初は信じられない顔をしていたみたいでした。
「サビオなら良いよ。母上を頼む」
と言い両手を付いて頭を下げてサビオ様に頼んだ時は、リュウトが大人になったのだと思い。少し寂しかったのでした。
でも、お互い年なので恥ずかしく内輪だけの結婚式を龍神教会の本山で挙げてスワン王国の宮殿に戻り初夜の晩にサビオ様が。
「隠していて申し訳なかったが私は、人間では無く真祖吸血王なのです。嫌われるのが怖くて言い出せなかった。申し訳ないどうか嫌わないで欲しい」
「え? そんな事は、最初からリュウトたちから聞いて知っていましたよ」
「ええー! そうなのですか。」
「当たり前でしょうに ウッフ」
それから、年甲斐も無く生娘の様に恥ずかしくサビオ様に抱かれて初夜を無事に終えたのです」
次の朝に洗面所の鏡に映る自分を見て驚いたのです。何故なら鏡には20代の自分が写っていて肌も20代の肌だったので驚いてしまい。
いつの間に来たのかサビオ様が笑いながら。
「やっぱり若返ったか! 私と交わって体液を吸い込んだから君も吸血姫になって歳をとることが無くなり後、千年以上は若いままだよ」
「そんな~~・・・・・・嘘でしょう~!!」
私の叫び声がスワン王国の王宮に響き渡ったのでした。
もしかしてこれが、龍神王のリュウトを育てた私に対するラブシャーヌ創造の女神様からご褒美かも知れないと思った私なのでした。
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