貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット

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52話 最後の戦い後で

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 堕天使を倒して領地の城に帰り、その日は仲間たちと祝杯を挙げていたのだ。

 リュウトが皆に礼を言い。

「皆の協力のお陰で堕天使たちを倒すことが出来たよ。ありがとう」

 ダンライが手を振って笑いながら。

「そんな他人行儀な言い方は止めてよ、僕たちは一心同体の仲間だろう。それよりリュウトは、ナナファ―ナとライナの二人といつ結婚をするの? どうせなら僕とサヨナァと一緒に結婚式を上げないか」

 ダンライの提案に女性たち3人は賛成して何時にするか話し始めたがリュウトは、聖国と帝国が混乱の最中なので自分たちの結婚式どころではないと思い。

「聖国と帝国は混乱の最中で国民もこの先どうなるのか不安な毎日を送っているのに、自分たちだけが幸せになろうとしているのは、堕天使たちと同じだ。先ずは聖国と帝国を安定させて国民が安心して暮らせるようにしなくてはいけないのと違うかな」

 それまで黙っていた吸血王サビオ・ヨハネが嬉しそうに。

「流石に龍神王のリュウト様だ。一番に民の事を考えるとは、戦争を無くして民が幸せに暮らす事が出来る様にする事が真の指導者です」

 ダンライが申し訳なさそうに。

「堕天使たちを倒して浮かれていました。サビオの言う通りです。僕たちの目標は貴族や平民に関係なく民が安心して暮らせる世界を実現する事でした」

 ナナファ―ナが涙を浮かべて。

「リュウト、ごめんなさい。自分の事を優先するなんて、こんなんじゃリュウトの奥さんに相応しくないわね。でも、リュウトの隣に立てる様に頑張るから見捨てないでね」

 ライナは土下座して。

「ゴメンナサイ、浮かれて過ぎていました。
お転婆娘は返上して民に寄り添えるような女性になりますのでリュウト私とナナファ―ナを見捨てないでください」

 サヨナァは2人と違い。

「私たちは、民衆の事を忘れた訳では無くて堕天使を倒すために苦しい訓練や戦いに明け暮れていたから、堕天使を倒してホッとして気が緩んだだけだよ。それと私たちは年頃だしね」

 リュウトは仲間の姿が嬉しかったので。

「俺も言い過ぎた。自分たちを犠牲にする気は無いから安心してよ。聖国と帝国を安定させるには時間が掛かると思うから、公私の区別をつけて焦らずのんびり楽しんでいこう。結婚も少し落ち着いたら、するが日にちはもう少し先になると思いうよ」

 サビオは何が嬉しいのか大声で笑いだして。

「ワッハハー! いやー 楽しい。実に楽しい。 ワッハハ」

 ダンライが急に笑い出したサビオを心配して。

「サビオ、大丈夫か!」

「大丈夫だ。若いと言う事は良い事だと思って羨ましく何とも愉快な気持ちになっただけだ」

 次の日に国王から連絡があり、聖国と帝国の事について話し合いたいと言われて吸血王サビオを連れて王城に移転して行った。

 王城には、ナルアン公国王と軍務大臣ザーガイも来ていて俺を見るとザーガイが。

「リュウト様、やりましたな! 堕天使を倒して此れで戦争など無くなるので、のんびり暮らせそうです」

 オスガン国王、スマライ宰相、ナルアン公国王、ザーガイ軍務大臣とリュウト、吸血王サビオが聖国と帝国の今後について話し合いをしたのだ。

 ナルアン・パイオニ公国王が発言して。

「リュウト様が聖国の国王になり聖国を統治してはどうでしょうか」

 オスガン国王が。

「リュウト様が一国の国王になるより、此の大陸を一つの連邦国家として今のオスガン王国、パイオ二公国、ドアイル帝国、 ナチラス聖国は自治国としてリュウト様には、連邦国家の初代元首になっていただくのはどうでしょうか」

 リュウトはオスガン国王の提案に慌てて。

「連邦国家の案は良いが俺は、統治の経験も無いし元首など務まるはずが無いから、無理だ」

 ナルアン公国王がオスガン国王と頷き合い。

「はい、リュウト様ならそう言うと思いました。ですから連邦国家を作り元首と言いましたが統治は行わずに連邦国家の象徴として元首に成って頂きます。普段は自由に過ごして頂き、各国の相談に乗っていただければ良いだけで。まぁ、各国の相談役と言った所です。

「えっ? ・・・・ナルアンとバイセラ2人で相談して俺を嵌めたな」

 スマライ宰相とザーガイ軍務大臣が笑い出して。

「アッハハ、だから、直ぐばれると言ったのに ガッハハ・・・・・」

 リュウトも苦笑いをして。

「もう良いよ、分かった。それなら引き受けるが、ナチラス聖国は暇人のサビオお前が統治して復興させて後継者を育てなさい」

「ええー!! 私が??・・・・何の罰ですか」

「2千年も寝ていたんだから、その分働くのが当然だろう」

「仕方ない、分かりました。やってみます」

 その後は、ドアイル帝国をどうするか話し合った結果、レオン皇太子が12歳と若すぎるが少しの間、様子を見てどうするか決める事にしたのだ。

 王城での話し合いが終わり、リュウトはサビオを連れて久しぶりに母親のマリシャーヌに会いに行ったのだ。

 孤児院のある屋敷に行くと、双子の保母や孤児から歓迎されて嬉しかった。

 孤児たちに堕天使との戦いを聞かれて時間を取られてしまい、母上に会えたのは夕方で、母上はリュウトを見ると涙を流して喜び。

「リュウト、心配したわ。身体は大丈夫? 何処も怪我しなかった。無事で良かったわ」

「心配かけてごめんなさい。身体も元気で怪我も無いから安心して」

「今日は、久しぶりだから、お母さんが料理を作るので食べて泊まりなさいね」

「うん、そのつもりだよ。久しぶりに母上の手料理を食べれるのは嬉しいな、あっ、そうだ紹介するよ。仲間のサビオ・ヨハネだよ」

 何故か、マリシャーヌを見て顔を赤くして固まっている、サビオは紹介されると。

「リュウトのパーティの仲間でサビオ・ヨハネと言います。マリシャーヌ様にお目に掛かれて光栄です。宜しくお願い致します」

「まぁー、大層な挨拶で恐れ入ります。リュウトの母親のマリシャーヌです。いつもリュウトがお世話になってありがとうございます。宜しくお願い致します」

「あっ、は、はい。私の方がリュウト様にお世話になっております・・・・」

 サビオがいつもと違い、顔を赤くして緊張しているのが不思議でリュウトは。

「サビオ、どうかしたのか? 普段と違い、顔が赤いし、そんなに緊張したサビオを見たのは初めてだが大丈夫か」

「だ、大丈夫です。チョット緊張しただけですので、リュウト様の母上は思ったより若くて綺麗な方なので驚きました」

「あら、まぁ~、サビオ様は、お口も上手ですのね」

「いえ、お世辞じゃなくて本当に若くて綺麗です」

「おい! サビオ普段辛口のお前がどうしたんだ。熱でもあるのか」

「だ、大丈夫です。何ともありません」

 それからリュウトは、久しぶりにのんびりとお風呂に浸かり、母上とサビオと3人で母上の手料理を食べて。

「う~ん、やっぱり母上の手料理は美味しいですね」

「何を言っているのよ。毎日食べていたくせに、でもリュウトに褒められるとお母さんは嬉しいわ。ウッフフ」

「いや、マリシャーヌ様の手料理は本当に美味しいです。此れを毎日食べていたリュウト様が羨ましいです。私は毎日でも食べたいですよ」

 サビオの絶賛の言葉にマリシャーヌは、サビオをまじまじと見て、自分より年上であろう端麗な顔を見て顔を少し上気させてしまい、慌ててリュウトを見て。

「リュウト、ナナファ―ナ様とライナ様とはその後どうなの」

「ん? 2人とは相変わらずだよ。落ち着いたら結婚する予定だよ」

「あのね、リュウト、貴方が婚約してから2人と会っていないのよ。正式に紹介してくれないのかしら」

「あっ、この屋敷で一緒に住んでいたから、忘れていました。母上すみませんでした。今度、連れてきます」

 サビオが気を利かして。

「リュウト、それより。マリシャーヌ様を領地の城に招待して城からの綺麗な景色を見せて上げてはいかがでしょうか」

「うん、それが良いな。母上明日にでも領地の城に行きませんか? 城からの景色は綺麗ですよ」

「お言葉に甘えて行こうかしら」

 次の日に母上は、リュウトの領地の城に行く事になったのでした。
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