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50話、最後の戦い1
しおりを挟むいよいよ今日は、ナチラス聖国のサリスン・ナチラス教皇こと堕天使の居城である、大聖堂に乗り込み戦いを挑む日だ。
朝早く目を覚ますと、一緒に寝ていたはずのナナファ―ナとライナの姿は無く、着替えて食堂に行くとサビオだけが居て他のメンバーはいなかった。
「サビオ、おはよう。皆はまだ起きて来ないみたいだな」
「うん、そろそろ起きて来るだろう。今日は2千年前に取り逃がした堕天使と会えると思うと興奮して早くに目が覚めたよ。今度こそ逃がさない覚悟だ」
ドヤドヤと、騒がしく皆が起き出して来てナナファ―ナとライナがリュウトを見て悪戯顔で。
「リュウト、おはよう。昨夜は良く眠れたかしら。ウッフフ」
リュウトは、気恥ずかしくて顔を赤くして。
「ああ、お陰で良く寝れたよ」
全員で食事をとり、戦いの用意をしてサスハが大聖堂の裏の小さな森の中に設置した移転するための座標に移転したのだ。
目標の座標に移転すると、幸いな事に誰もおらず。リュウトは白い羽根の天使の姿になり、大聖堂の上に飛び上がったのだ。
大聖堂の上に浮かんで魔法で聖都の住民たちにも聞こえる大きな魔法の声で堕天使のサリスン・ナチラス教皇に。
『私は、龍神王のリュウト・プテラノだ。サリスン・ナチラス教皇に告げる!!
【教皇こと、堕天使よ!!】
貴様たちは、この世界を思いのままにしようとして来た企みも今日で終わりだ。今からお前たちをこの世界から抹殺する。出て来て堂々と私たちと戦え』
住民たちは大聖堂の空に浮かぶ天使の姿のリュウトを見て騒ぎだし。
「天使だー! 天使様だー! 教皇が堕天使なのか?」
大聖堂の中でリュウトの声を聞いた堕天使の教皇は。
「な、何だとー! やっぱりリュウトが龍神王だったのか」
教皇は、薄笑いを浮かべて白い天使のリュウトの姿と反対の堕天使の本来の姿、黒い肌に黒い羽根で大聖堂の上空に飛んでリュウトと相対して。
「龍神王よ、2千年ぶりだな。我が所に乗り込んで来た事は褒めるが遅すぎたよ。我の配下たちが魔物を召喚して王国と公国に向かって今頃は両国を蹂躙しているだろう。オッホホ、ヒッヒヒ・・・・」
リュウトは、自分一人で乗り込まずに十分な備えをして仲間たちと来て良かったと思い。助言してくれたサビオに感謝したのだ。
「堕天使よ、残念なのはお前の方だ。王国と公国は魔物に対する準備は十分に出来ているから俺は、心配なくお前を倒す事に専念出来るよ」
一方の他の仲間たちは、森を抜けてサビオとナナファ―ナ、ライナの組とダンライとサヨナァの二手に分かれて大聖堂の入り口に向かっている。
サビオ組の前には、黒肌に二本の角と牙を生やし蛇のような尾で先は槍のように尖った尾をウネウネと動かしながら、魔人が現れて。
「此処から先には行かせん。ん? お前は吸血王のサビオじゃないか、いつ目覚めたのだ」
「私には、汚い姿の魔人に知り合いはいないよ」
「わしは、堕天使だったゲドウ様だ。貴様の為に同胞が何人殺された事か魔人に昇格したわしは、以前と違い何倍も強くなっておる。お前など捻り潰して同胞の恨みを晴らしてくれるわ。ガッハハ・・・・」
「尻尾を撒いて逃げたお前の名前など覚えておらんわ」
「今回は、わしの名を貴様の脳みそに叩き込んであげよう」
言うなり何処から取り出したのか大きな斧を手に持ち、目に見えない速さでサビオに襲い掛かって来たのだ。
不意を突かれたサビオだったが、用意していた剣で斧を受け止めたが斧の勢いで20m位は吹き飛ばされてしまった。
見ていたライナがゲドウと戦おうとしたがサビオが苦笑いを浮かべて。
「大丈夫だ。彼奴は、わたしが2千年に取り逃がした奴なので任してくれ」
魔人のゲドウの体長は、4mでサビオは半分の2mだったサビオが。
「では、私も、本来の姿で戦うとするか」
サビオが変身して赤みを帯びた短い牙を生やした体長が5m近い、本来の吸血王の姿になり。
魔人ゲドウを殴り飛ばすと、ゲドウは血を吐いて50mも吹き飛ばされ、ゲドウが起き上がると又も殴り飛ばされ血だらけで。
「魔人のわしの力も通用しないとは、吸血王がこんなに強のか」
「馬鹿者め、自分たちの力を過信し過ぎだ。龍神王リュウト様の力は私の何倍も強く今頃堕天使ナチラス教皇も後悔しているだろう。最後に魔物を操る巫女の情報を聞くとするか」
「し、死んでも白状するものか。こ、殺せ」
サビオがニヤッと笑い。自分の一本の牙を飛ばしてゲドウの首に突き刺すと虚ろな目つきになり、サビオの質問に素直に答え。
魔物を召喚して操る巫女には、戦闘能力は無く。
魔物を出現させる洞窟の1km後方に隠れて、他の巫女と違い薄い黄色の巫女服を着て魔物を召喚して操っていると話したのだ。
サビオが振り向いて。
「ナナファ―ナ、魔人に聖の光を放って下さい」
ナナファ―ナがゲドウに聖の光を放つと、魔人の身体は、青白い光に包まれて崩れ始め、最後には灰になって消滅してしまい。普段の姿に戻ったサビオが。
「これで二度と復活する事は無いでしょう。それよりナナファ―ナは王国に、ライナは公国に移転して魔物を操る巫女を倒して下さい。私は必要ないかもしれませんがリュウトの所に行きます」
ナナファ―ナとライナは、サビオに言われて魔物を操る巫女を倒すために、リュウトから渡されていた移転扉をマジックバックから出して王国と公国に移転した。
ライナが移転した公国の砦の前には、何千ものゴブリンキングやオークキングが黒い洞窟から次々に現れて公国の兵士たちが軍務大臣ザーガイの指揮の下で魔物と戦っていた。
ライナはザーガイに挨拶をして。
「ザーガイ、戦況はどうだ」
「はい、今は何とか魔物を防いでいますが次から次に魔物が現れているので苦戦しています」
「私は、魔物を召喚して操っている巫女を探して倒してくるから、それまで頑張ってくれ」
「はい、大丈夫です。ライナ様も気を付けて下さい」
ライナは、風魔法で自分の身体を空に浮かべて魔物たちの上空を飛び、洞窟の後方1kmの森に降り立ち。
探知魔法で探りながら森の中を歩くと、巫女を守っていると思われる聖騎士20人たちが現れてライナに切りかかって来たのだ。
切りかかって来た聖騎士たちに、氷結の槍を50本以上も上空に浮かべて雨の様に降らせて聖騎士たちを倒して進むと。
薄い黄色の巫女服を着てライナを睨みつけている巫女が。
「私を誰だと思っている。ナチラス教皇様の第3の分身である私に無礼を働くと教皇様が許さぬぞ」
「あら、あら、そうなの。でもその堕天使の教皇は今頃、龍神王リュウトに倒されているわ。其れよりも魔物の召喚を止めないと貴女を殺すわよ」
「わ、私は、殺されても止めるわけにはいかないわ」
「そう、残念ね。では死になさい」
ライナは、真空刃を放ち魔物を召喚して操っていた巫女の首を切り落としたのである。
巫女が死ぬと、砦の前に有った黒い洞窟が消えて何千といた魔物たちも霧のように消滅してしまい。
軍務大臣ザーガイと指揮の下で魔物と戦っていた兵士たちも何が何だかわからずに驚いている。
ライナが防御壁の上に戻って来て大きな声で。
「魔物を召喚して操っていた巫女を倒したのでもう魔物は出て来ないから安心しなさい」
ザーガイが真っ先に。
「おおー!! ライナ様ありがとうございました」
兵士たちから歓声が上がり。
「わぁー! !流石にライナ様だ。ありがとうございます」
こうして魔物の大軍に襲われていた公国の危機は去ったのである。
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