46 / 58
46話、つかの間の休暇
しおりを挟む堕天使サリスン・ナチラス教皇が支配するナチラス聖国とドアイル帝国との戦いに備えての準備も終わり、リュウトたちは、久しぶりに休養を取る事にした。
リュウトと、ダンライとサビオが天守閣のテラスにある露天風呂で寛いでいる。
すっかりお風呂の虜になったサビオがのんびり寛いで。
「風呂とは、いいものですね。精神が休まり疲れが取れて素晴らしいですな。リュウトの前世の話は何回か聞きましたが魔法が無いのには驚きました。その代わりに科学が発達して先日、初めて乗った車を平民でも乗っているとは信じられません。この世界と大分違い、面白そうなので一度行ってみたいです。無理ですね」
「うん、無理みたいだよ。行けるなら俺も一度帰ってみたいよ」
「リュウト、やっぱりこの世界より前世の世界の方が良いのか?」
「う~ん、ダンライの言う事は分かるがどちらの世界にも一長一短があるから、比較が難しいよ。でも今の俺は、この世界の方が好きだ。早く堕天使との戦いを終わらせて皆と楽しくのんびりと暮らせたら良いと思っているよ」
そんな話をしていると水着姿の女性たちが入って来たのだ。
以前にも同じ事があったのでそんな事もあろうかと思い、海水パンツを履いていたので慌てずにお風呂に浸かっていた。
サヨナァがダンライの側に行き。
「そう言えば、サビオの寿命はどの位なのかしら。奥さんはいないの? 人間の生き血を吸うのは、本当なのかしら」
サヨナァの矢継ぎ早の質問に皆が興味深々でいるとサビオが苦笑いをして。
「私は、不死身で灰にならない限り死にません。人間の生き血を吸うのは相手を私の種族にしたい時だけで、その時でも相手の同意が無い場合は吸わないですよ。吸血鬼が生き血を吸うと言うのは人間たちの偏見で間違いです。私の伴侶はいまだにいませんが良い人がいたら紹介して下さい。 アッハハ」
「変な事を聞いてごめんなさいね」
「そう言えば、サヨナァは言葉使いが男みたいだったのに最近は女らしくなったわね」
「もうー! ライナは嫌な事を言うわね。貴女だって同じよ。言葉使いは女性らしくなったけれど、性格はお転婆で変わらないけれどね。アッハハ」
「何よ、サヨナァだって中身は変わっていないくせに」
ナナファ―ナが止めに入り。
「二人とも、いい加減に止めなさいよ。私は女性が好きな人に合わせて変わるのは良い事だと思うわ」
サヨナァとライナが同時に。
「わぁ~! ナナファ―ナだけが良い子ぶって。ぶりっ子だ~」
此れには俺たちも思わず吹き出してしまったのだ。
サビオが羨ましそうに。
「う~ん、伴侶がいると楽しそうだな。私も好きな女性を見つけようかな」
リュウトが興味を持ち。
「サビオはどんな女性が好みなの」
「見た目が良くて思いやりがあって優しくて私を好いてくれたら、選り好みをしないから誰でもいいよ」
皆から一斉に。
「それだけ注文付けたら、選り好みしまくりだよねー」
サビオがキョットーンとして。
「えっ? そうなの」
リュウトは呆れて。
「女性がわからない朴念仁と言われる俺でも其処までは言えないよ」
皆の笑い声が露天風呂のある天守閣のテラスに響き渡ったのだ。
次の日は、サビオは留守番で俺たちは、変装して街に行き。サヨナァとダンライは俺たちと別れてイチャイチャしながらどこかに行ってしまい。
俺は、ナナファ―ナとライナに買い物に付き合わされてしまい、女性の買い物がこんなに時間が掛かるとは思わず。
グッタリしてベンチに座っていると買い物を終えた2人が、ニコニコして戻り。
「お待たせ~! 今から食事に行きましょう」
最近、出来たお洒落なレストランに2人に両方の腕を取られて歩くと、2人とも絶世の美女なので道行く男たちから刺さるような視線を浴びせられて前世では有り得ない気分でレストランに行ったのだ。
2人には内緒にしていたが新しく出来たレストランは、リュウトが前世の記憶で小遣い稼ぎに出した店なのだ。
この世界には無い、から揚げやカレーライスと焼き肉が評判を呼び、大人気で毎日大勢の客で俺の懐も潤って嬉しい悲鳴を上げている。
店に行くと、長い行列が出来ていて2時間待ちだったが任せている支配人がリュウトを見て裏口から個室に案内して。
「リュウト様、大成功ですよ。毎日大入り満員で今は2号店を開店する準備をしています」
支配人の話を聞いていたナナファ―ナとライナが。
「ええーー!! どういう事。この店はリュウトの出した店なの? 私たちに秘密で出したのはどうしてなのかしら?」
まさか小遣い稼ぎだと言えないので苦しい言い訳をして。
「ほら、此の世界はまだ食生活が貧しいから、食生活を改善しようと思って前世の記憶にある食べ物の作り方を教えて広めようと実験的に店を出してみただけでだよ。上手くいったら、皆にも報告して食べに連れて来ようと思ったいたよ」
言い訳が上手くいき2人は。
「流石にリュウトね。素晴らしい考えだわ」
リュウトは背中を冷や汗が流れるのを感じながら、言い訳が上手くいきホッとしたのだ。
今回は何とか誤魔化せたが此れからは隠し事は止めようと心に誓ったのだ。
帰りに宝石店に寄り、2人に指輪を送る事にした。
前世では婚約指輪を送る風習がある事を教えて渡すと、嬉し涙を流して喜んでくれた。
2人を見て俺も嬉しくなって早く堕天使との戦いを終わらせ、2人と結婚してのんびりと楽しく暮らしたいと思ったのである。
急ぐ事も無いので街を見ながら歩くと、リュウトがこの地の領主として来た頃は住民たちも少なく家も小屋みたいな狭い家が多かった。
今では、見違えるように立派な家に生まれ変わり、住民も増えて賑やかになって住民たちの顔色も良くなり明るくなっている。
ナナファ―ナが感激して弾んだ声で。
「リュウト、街並みが綺麗になって住民の表情が明るくなったわね。買い物したお店の人たちも新しいリュウト領主様のお陰だと感謝していたわよ」
「そうか、思い切って街を取り壊して新しくしたのが良かったみたいだな。住民たちが喜んでくれて良かったよ」
リュウトが小屋みたいな家を取り壊して、前世の公団の団地見たいのを建て移り住んでもらい。
街を碁盤の目の様に区画整理して所々に噴水のある広場を作ったのが、評判が良く住民たちは、此の街に誇りを持つようになったのだ。
34
お気に入りに追加
668
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる