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44話、吸血王サビオ・ヨハネが2千年の時を超えて目覚める

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 リュウトは、ナチラス聖国に動きが無く,今すぐに戦争を仕掛けて来ないと思い。

 諜報部に監視をするように頼んで週に一度は母親の所に移転して様子を見て、ベレー帽特殊部隊の訓練に付き合っていた。

 此方から戦いを仕掛けても良いのだが、何も知らない聖国と帝国の国民に被害を及ぼす事は出来ないので、ナチラス聖国からの仕掛けるのを待っている状態なのだ。

 それでも、なお時間があるので、あの砂漠に移転して行き、仲間たちと訓練をして堕天使でサリスン・ナチラス教皇たちとの戦いに備えている。

 剣での模擬戦なら出来るが、魔法での模擬戦では強力過ぎて出来なく、砂漠に向かって魔法を撃っていた。

 リュウトが流星魔法を砂漠に撃つと轟音と共に2km以上のクレータが出来て、砂ぼこりで視界が悪くなり、視界が良くなると何処からともなく男の怒鳴り声がして。

「五月蝿ーい! 静かにせんか。眠りから覚めてしまったろうが。全く・・・・・・」


 そう言いながら、何処から現れたのか、ダンディーな40代に見える紳士がリュウトたちの前に姿を現したのだ。

  ライナがその男性に向かい。

「アラッ、おじ様、何処から現れたの?渋くて恰好良いわね」


「馬鹿者、私を揶揄うでない最近、此の砂漠が五月蝿いのはお前たちのせいか」

 リュウトもその男性の所に行くと、その男性は驚いて目を見開き。

「り、龍王様・・・・まさか・・・・若いが、だが間違いない・・・・・・」

 初対面なのに、俺の正体を知っている男性に驚いていると彼は俺に対して。

「私は、2千年前に龍神王様と一緒に堕天使と戦ったサビオ・ヨハネと申します。今の龍神王様の名前は何と言いますか」

 俺は、思わず相手に釣られてしまい。

「リュウト、 リュウト・プテラノだ。初対面なのに俺を龍神王と知っている貴方は何者なのだ」

「私の事を話す前に、お聞きしたいのですが、もしかして堕天使かこの世界に脅威を与えるような者たちが現れたのですか」

 彼に正直に答えた良いのか迷ったが、何故か初対面なのに信用出来ると思い。

「その通りだ。堕天使と魔人が二つの国を支配している。俺たちはその者たちと戦う為に此処で魔法の訓練をしていたのだ」

「そうでしたか! だから私が目を覚ましたのか。私は吸血王で2千年前に龍神王様と一緒に堕天使と戦ったサビオ・ヨハネと申しますが。あの時は堕天使2人を取り逃がしてしまいその後、大分探したのです。見つける事が出来ずに龍神王様は姿を消し。私は此の砂漠の地下深くに眠りについたのです」

「そうでしたか。貴方の眠りを妨げるような五月蝿い事をして申し訳ない」

「アハハ! 今度の龍神王様は律儀な方だ。五月蝿かったから眠りから覚めたのでは無く、目を覚ます時期が来たのでしょう。多分に、あの人使いの荒い女神様が又龍神王様を助けて戦わせる為に起こしたのだと思います」

 此の世界は前世の世界と違い、改めて一言で言うならファンタジックな世界だと思い、吸血王のサビオに。

「ならば、サビオは俺たちと一緒に堕天使たちと戦ってくれるのか」

「勿論、微力ながら龍神王であるリュウト様の配下として協力して戦うつもりです」

 ナナファ―ナがサビオを見て。

「リュウト、初めて会ったばかりのその人を信用して良いのかしら。もしかしたら敵の回し者かも知れないのに、帝国の皇帝も第1将軍を信用して帝国を乗っ取られたのに・・・・・・」

「確かに、そのお嬢さんの言う通りです。疑いを晴らす為にリュウト様、私を鑑定の目で見て下さい」

 言われて俺がサビオを鑑定すると。

吸血王
サビオ・ヨハネ
吸血王
年齢、 ???
種族、吸血族、男性
創造の女神の信頼する者
魔力、1,000
能力、 10
精神魔法使い
職業、龍神王の協力者

 リュウトは見た事を仲間たちに。

「鑑定してみたが、彼は確かに吸血王で、創造の女神が信頼する者だ。職業が龍神王の協力者だから間違いなく味方だよ」

 それを聞いてナナファ―ナが。

「サビオさん疑ってごめんなさい」

「いや、疑って当然ですから。リュウト様はお人好しみたいなのでその位、慎重な方が側にいる方が安心ですよ」

 お人好しだと言われて反論しようとしたがダンライが。

「確かにリュウトはお人好しで、女心が分からない朴念仁で、寂しがり屋だ。そんな龍神王らしからぬ人間味のあるリュウトだから僕たちは大好きなのさ」

「酷い言われ方だが、俺は嬉しいよ。まぁ、そんな訳だから、サビオも俺に様を付けないで、リュウトと呼び捨てで呼んでくれた方が親近感が湧いて良いからそうしてくれ」

「分かりました。それにしても同じ龍神王なのに性格が全然違うので驚いています。前の龍神王は、顔はリュウトにそっくりでした。40代位の年齢で独裁者タイプでした。リュウトは若くて龍神王らしからぬ人間味に溢れた好青年で此れからが楽しみです」

 サヨナァが笑いながらサビオに。

「あらら、サビオそんな事言ったら、先代の龍神王が怒って化けて出て来るかもよ」

「そうですな。先代の龍神王様は女心を理解して、とにかく女性に持てて良い男でしたよ」

 サビオの取ってつけたような褒め方に、爆笑すると皆も爆笑したのだ。

 それから移転して領地の城に帰ると、城を見たサビオが。

「何と、美しい城でまるで白鳥みたいで気品のある素晴らしい城ですね」

 リュウトは城を白鳥みたいだと褒められて嬉しくなり。

「分かるか、あの城は俺の前世の城を真似て建てたのだ。その城は別名、白鳥城と呼ばれていたのだ、サビオに白鳥みたいだと言われて嬉しいよ」

 それから城の中に入ると、サビオが何を見ても驚いて「凄い、凄い」を連発して驚いていた。2千年前はもっと文化や建物が遅れていたのだから、物語の浦島太郎みたいに驚くのも無理が無いと思ったのだ。

 思った通り、サビオが眠りについた時と違い、まるで別世界だと言い、仲間たちに質問しまくり皆が根を上げていたらしいのだ。

 サビオが2千年の眠りから覚めて1か月後には、今の世界に慣れて今の世界の情勢も理解して俺たちの心強い仲間になったのだ。
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