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41話 リュウトの母親マリシャーヌが誘拐される
しおりを挟むつかの間の、休息をとったリュウトは、母親のマリシャーヌと長い間,会っていなことに気が付き、久しぶりに会いに行こうと思った。
だが、その日にギルド総責任者サバール・ランギンから連絡があり。
「今、孤児院の保母さんがギルドに駆け込んで来て、朝にマリシャーヌ園長が起きて来ないので部屋を見に行くと、窓が壊されていてベッドに血の跡があり、長の姿が無く、何者かが忍び込みマリシャーヌ園長を連れ去ったみたいだと、泣きながらリュウト様に連絡する様にと言っています。私も今から急いで様子を見に孤児院に行ってみます」
サバールからの連絡で、母親のマリシャーヌが拉致されたと聞いたリュウトは,思わぬ事に血の気が引き、何としても救い出さなければと決意した。
ナナファ―ナとライナたち仲間に知らせて4人で急いで移転して実家の孤児院のある屋敷に飛んだのだ。
屋敷には、連絡を受けた近衛騎士団長サスガイ諜報部のハンドイとサスハにサイゾィたちも駆けつけている。
母親の部屋を見ると、血痕は少しだが窓は窓枠が外されて、そこら侵入して母親マリシャーヌを何者かが拉致したのは間違いなかったのだ。
母親に渡していた通信機を探知魔法で探してみると、王都を出て辺境伯の方角に移動しているのが分かった。
リュウトは窓から飛び出して、龍の姿になり物凄いスピードで飛んで空から追いかけた。
通信機の動きが止まり、通信機が止まったところにたどり着くと賊が気が付いたのか、
踏みつぶされて壊されて通信機が投げ捨てられていたのだ。
必死になって探知魔法やあらゆる方法で探した。その晩は暗いせいもあって見つけることは出来なかった。
仕方ないので、一旦孤児院の屋敷に戻り、仲間と諜報部隊を移転して通信機の捨てられて場所に連れて来て。夜明けと共に手分けして周辺の捜索に当たったが見つける事は出来なかったのだ。
龍の姿になった時に匂いに敏感だった事を思い出し、龍の姿になり、母親が付けていた通信機のペンダントの匂いを嗅ぐと。
自分が幼い時に抱かれた母親の匂いがして、その匂いを探して龍の姿で背中に諜報部のサスハとサイゾィを乗せて地上近くを飛んで探していた。
夕闇が迫る頃に微かに母親の匂いを感じて人間の姿に戻り匂いのする方に歩くと、洞窟の前に古びた小屋が見つかり。
サスハが影魔法で小屋に入り様子を見ると小屋には誰もおらず。
サイゾィと小屋に入り、母親の匂いは洞窟の方から匂ってきた。今度は小柄なサイゾィが影魔法で姿を消して洞窟に入り少しして戻り。
「洞窟の奥に広い場所があり、そこに手足を縛られたマリシャーヌ様がいました。賊は10人位です、マリシャーヌ様を人質に何をするか分かりません」
リュウトは生まれてこの方、これほどの怒りを覚えた事は無く。拉致した賊たちを引き裂きたい気持ちだった。
サイゾィが先に影に隠れて進み、リュウトも気配を消して後に続き、広い場所に母親が手足を縛られて寝かされている姿が見えたのです。
サスハに相手に気が付かれないように母親の側で見張っている男に近づいて、リュウトが賊の前に姿を見せたら、その賊を忍びの匕首で刺すように言い。
サスハが見張りの男の側に行くとリュウトは、瞬間移動で賊の前に行き、拘束の魔法を使い蔦で賊を拘束すると。
母親を見張っていた男が、母親に短刀で突き刺そうとした。それより早くサスハがその賊を匕首で刺し殺してマリシャーヌを助けたのでした。
拘束した賊をそのままにして、マリシャーヌを縛っていた紐を切り解いて抱きしめて。
「母上! 大丈夫ですか! 怪我をしていませんか、助けるのが遅くなってすみません」
普段は気丈夫な母上が大声で泣きながら。
「ワァー! ワァ―! ・・・・・・もう駄目かと思った。2度とリュウトに合えないと思ったわ。助けてくれてありがとう」
そのまま、母親を抱いて洞窟の外に連れ出して、小屋の中に横にして治癒魔法を掛けて傷を治すとサスハとサイゾィが来て。
「あの賊たちをどうしましょうか? 殺しますか」
「殺すのは、彼奴らから黒幕を聞き出してからだ」
サイゾィに母親を頼み、リュウトとサスハは拘束してある賊たちの場所に行き、叩き起こして。
「お前たちは、何の目的で俺の母上を拉致したのだ。正直に白状しない殺すぞ」
賊の一人が震えながら。
「俺たちは、金で雇われただけで依頼人は誰か知らない」
リュウトが賊を鑑定してみると聖国の暗殺集団だったのだ。
「お前たちは、聖国の暗殺者と違うのか」
「ち、違う、聖国とは何の関係もない。本当だ。金で雇われただけだ」
リュウトは、無言で嘘を言った男の首をはね。
「嘘を付くとお前らも、此の男の様に首をはねるが正直に白状する奴はいないか」
震えていた1人の賊が。
「正直に言うから命だけは助けてくれ、俺たちは聖国の暗殺集団だ。母親を人質にしてアンタをおびき出して殺す為に拉致する様に巫女長に命令されたのだ」
「そうか、正直に話してくれた礼に楽にして上げるよ。お前たちは、俺を本気で怒らせたな。聖国は絶対許さん」
今までに見た事が無い、冷酷な無表情な顔でリュウトは賊たちを次々と首をはねて。
いつもは優しく、柔和なリュウトが本気で怒った姿に、サスハは聖国は怒らしてはいけない人を本気で怒らしてしまい。
此れで聖国は滅ぼされるだろうと思ったのだ。
殺した賊たちを炎で焼いて灰にしてから、母親を抱き上げて小屋から出た。
心配している仲間たちに通信機で、母親を無事に助け出した事を伝えて安心させた。
疲れている母親を休ませる為に孤児院のある屋敷に移転すると、双子の保母や孤児、その他、心配している人たちから歓声が上がり。
古い付き合いの司祭長ザガントと豪商バリサンが駆け寄り。
「マリシャーヌ、本当に無事で良かった。怪我などはありませんか」
「ありがとう。一時は、もう助からないと思ったわ。でも皆さんのお陰で無事に帰れて、本当に良かった」
バリサンが腑に落ちない顔で。
「それにしても、警護の者たちは何をしていたのだ。賊の侵入を簡単に許すとは」
ザガントが。
「私もリュウト様がいない間に、警備の者たちに聞いたのですが、いつもの通り表門と裏門の監視、屋敷内の巡回をしていたが、賊の侵入を許してしまい。申し訳ないと言っていました」
聖国の賊たちは闇魔法を使って侵入したのだろうと思い、闇魔法使いの侵入に対する対策を考えると共に、母親の警護を見直す事にしたのだ。
その数日後に、母親の住む屋敷をドーム状に囲む結界を張る魔道具を作り、敵が侵入出来ないようにした。
通信機も改良して、非常ボタンを加え非常時にはボタンを押すだけで、リュウトに判るようにして。大事な人たちに渡したのだ。
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