38 / 58
38話 ナチラス聖国とドアイル帝国が動き出す
しおりを挟むリュウトは、ナルアン・パイオニ国王夫妻に真実を伝えてくれた事と世話になった礼とライナを必ず幸せにすることを誓い、バンダイ公国からオスガン王国に帰途についいた。
移転して帰ろうとしたが、ダンライが急ぐことも無いので車で帰ろうと言い。
帰り道の車の運転は、ダンライがする事になりサヨナァが当然の様に助手席すわると。
ナナファ―ナとライナが。
「ダンライが、サヨナァに良い格好を見せる為に車を運転したかったから車で帰ろうと言ったのね」
「そうね。でもダンライとサヨナァはちょっとイチャイチャし過ぎじゃない」
と憤慨していたのだ。
ダンライの運転はライナに比べて安全運転で、皆が安心して周りの景色を楽しめたが、ライナだけが。
「もう少しスピードを出したら」
と文句を言っていたる。
結局、車は一日だけで、その日の夕方に移転して領都の城に帰ったのでした。
翌日に、ナチラス聖国に潜入して監視していたサスハから緊急連絡が入り。
「帝国がナチラス聖国に友好条約の破棄を通告してきました。多分、近いうちに両国で戦争が始まると思います」
サスハの報告を聞いて、両国が険悪な状態なのは知っていたが、聖国は王国を、帝国は公国に戦争を仕掛ける公算が強いと思っていた。
だから驚いたが冷静になり。
「本当か! 分かった。戦争が始まる前に聖国から脱出して帰りなさい」
ドアイル帝国とナチラス聖国が本当に戦争に入った時の事を考え、対策を考えて。
両国の戦闘の模様を記録に残して、自分たちが戦う時に役立てる為に前世の記憶にあるドローンを鳥に見える様にして作り。
ビデオカメラを取り付けた魔道具を作ったのだ。
その他にも、色々対策を考えてから眠りに付いたのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その頃の帝国では、デルタシァ・ドアイル皇帝が重臣たちを集めて話をして。
「皆の者、余は。最終的には此の大陸を制覇して統一するつもりだ。
最初にナチラス聖国かバンダイ公国のどちらを攻めるか迷ったが、友好条約を結んでおきながら、第3将軍をスパイとして送り込んだナチラス聖国との友好条約を破棄して。ナチラス聖国を攻め滅ぼす事に決定したが異論は無いか。
新しく第3将軍に任命された将軍が発言して。
「配下の諜報部からの報告によりますと、聖国は、3万の軍隊があると公言していましたが。聖騎士の下に1万の兵がいるだけだと報告を受けました。どう思われますか」
古参の第1将軍が渋い顔をして。
「その情報は誠か? 本当なら我が軍は奴隷兵も含めると、今や7万の大軍なので問題なく聖国を蹂躙出来る。もしその報告が我らを欺く為に聖国がわざと流した情報なら、何か罠を仕掛けている可能性もあると思うがどうだろうか」
第2将軍が慎重に皇帝の顔色を伺いながら。
「その情報の真偽を確かめてから開戦するか。慎重に罠があると考えて準備をして開戦してはいかがでしょうか」
3人の将軍の意見を聞いていた皇帝は、暫く考え込んでいたが、冷酷な顔をニヤリとさせて。
「余の考えは決まっている。先ず第3将軍お前が諜報部を先行させて罠が無いか調べながら進み。罠があった時に備えて被害にあっても良い奴隷部隊を先陣に進みなさい。第2将軍は魔法部隊と弓部隊を指揮して敵を攻撃せよ。第1将軍は本軍を率いて余の下知を待て、以上だ。違背は許さぬ」
こうして、帝国は聖国に侵攻する事になったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一方、ナチラス聖国の大聖堂の奥では、サリスン・ナチラス教皇が同胞の男性の聖騎士団長ゲドウと密談をしていた。
聖騎士団長ゲドウが薄笑いを浮かべて。
「帝国の馬鹿どもが、此の大陸を制覇しようとして動き出しました。如何致しましょうか」
教皇が妖艶な顔に笑みを浮かべて。
「馬鹿に付ける薬はないと言うが、この際だから。我も少し早いがこの世界を手中に収める為に本気で動く事にしょうか」
「はい、準備は出来ておりますのでその方が良いかと思います」
「そうよのぅー、2千年前の様に失敗は許されぬぞ。あの時は同胞を失って残ったのは、堕天使から魔人に昇格したゲドウお主だけになったからのぅ」
「でも、お陰でサリスン様の分身が増えて今では、前回と違い異世界から魔物を召喚出来るようになりました。闇魔法を使える者もいるのでこの世界を手にして天界も手に入れる事が可能になりましたな」
「確かにのぅ。それでは我の分身の主な巫女たちを聖堂に集めなさい」
サリスン教皇が分身と呼んでいるのは、教皇と魔人に昇格したゲドウの子供の事で。
2人の遺伝子を継いでいて、能力の高い者は巫女長として教皇の指示に従って動いている。
聖堂の大広間に集まった巫女たちは、サリスン教皇が壇上に姿を現すと。膝を付いて一斉に「聖母様ー!」と声を上げて手を合わせていた。
教皇が壇上から笑みを浮かべて。
「我が可愛い子供たちよ。いよいよ本懐を遂げる時が来た。その第一歩として帝国を蹂躙しなさい」
「はい、聖母様、私たち巫女の力を見せる時が来たのですね。帝国を蹂躙してご覧に入れます」
こうして、ナチラス聖国は此の世界を手に入れる為に。ドアイル帝国は此の大陸を手に入れる為に戦う事になったのである。
59
お気に入りに追加
702
あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる