貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット

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38話 ナチラス聖国とドアイル帝国が動き出す

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 リュウトは、ナルアン・パイオニ国王夫妻に真実を伝えてくれた事と世話になった礼とライナを必ず幸せにすることを誓い、バンダイ公国からオスガン王国に帰途についいた。

 移転して帰ろうとしたが、ダンライが急ぐことも無いので車で帰ろうと言い。

 帰り道の車の運転は、ダンライがする事になりサヨナァが当然の様に助手席すわると。

 ナナファ―ナとライナが。

「ダンライが、サヨナァに良い格好を見せる為に車を運転したかったから車で帰ろうと言ったのね」

「そうね。でもダンライとサヨナァはちょっとイチャイチャし過ぎじゃない」

と憤慨していたのだ。

 ダンライの運転はライナに比べて安全運転で、皆が安心して周りの景色を楽しめたが、ライナだけが。

「もう少しスピードを出したら」

 と文句を言っていたる。

 結局、車は一日だけで、その日の夕方に移転して領都の城に帰ったのでした。

 翌日に、ナチラス聖国に潜入して監視していたサスハから緊急連絡が入り。

「帝国がナチラス聖国に友好条約の破棄を通告してきました。多分、近いうちに両国で戦争が始まると思います」

 サスハの報告を聞いて、両国が険悪な状態なのは知っていたが、聖国は王国を、帝国は公国に戦争を仕掛ける公算が強いと思っていた。

 だから驚いたが冷静になり。

「本当か! 分かった。戦争が始まる前に聖国から脱出して帰りなさい」

 ドアイル帝国とナチラス聖国が本当に戦争に入った時の事を考え、対策を考えて。

 両国の戦闘の模様を記録に残して、自分たちが戦う時に役立てる為に前世の記憶にあるドローンを鳥に見える様にして作り。

 ビデオカメラを取り付けた魔道具を作ったのだ。

 その他にも、色々対策を考えてから眠りに付いたのでした。


             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その頃の帝国では、デルタシァ・ドアイル皇帝が重臣たちを集めて話をして。

「皆の者、余は。最終的には此の大陸を制覇して統一するつもりだ。

 最初にナチラス聖国かバンダイ公国のどちらを攻めるか迷ったが、友好条約を結んでおきながら、第3将軍をスパイとして送り込んだナチラス聖国との友好条約を破棄して。ナチラス聖国を攻め滅ぼす事に決定したが異論は無いか。

 新しく第3将軍に任命された将軍が発言して。

「配下の諜報部からの報告によりますと、聖国は、3万の軍隊があると公言していましたが。聖騎士の下に1万の兵がいるだけだと報告を受けました。どう思われますか」

 古参の第1将軍が渋い顔をして。

「その情報は誠か? 本当なら我が軍は奴隷兵も含めると、今や7万の大軍なので問題なく聖国を蹂躙出来る。もしその報告が我らを欺く為に聖国がわざと流した情報なら、何か罠を仕掛けている可能性もあると思うがどうだろうか」

 第2将軍が慎重に皇帝の顔色を伺いながら。

「その情報の真偽を確かめてから開戦するか。慎重に罠があると考えて準備をして開戦してはいかがでしょうか」

 3人の将軍の意見を聞いていた皇帝は、暫く考え込んでいたが、冷酷な顔をニヤリとさせて。

「余の考えは決まっている。先ず第3将軍お前が諜報部を先行させて罠が無いか調べながら進み。罠があった時に備えて被害にあっても良い奴隷部隊を先陣に進みなさい。第2将軍は魔法部隊と弓部隊を指揮して敵を攻撃せよ。第1将軍は本軍を率いて余の下知を待て、以上だ。違背は許さぬ」

 こうして、帝国は聖国に侵攻する事になったのだ。

           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 一方、ナチラス聖国の大聖堂の奥では、サリスン・ナチラス教皇が同胞の男性の聖騎士団長ゲドウと密談をしていた。

 聖騎士団長ゲドウが薄笑いを浮かべて。

「帝国の馬鹿どもが、此の大陸を制覇しようとして動き出しました。如何致しましょうか」

 教皇が妖艶な顔に笑みを浮かべて。

「馬鹿に付ける薬はないと言うが、この際だから。我も少し早いがこの世界を手中に収める為に本気で動く事にしょうか」

「はい、準備は出来ておりますのでその方が良いかと思います」

「そうよのぅー、2千年前の様に失敗は許されぬぞ。あの時は同胞を失って残ったのは、堕天使から魔人に昇格したゲドウお主だけになったからのぅ」

「でも、お陰でサリスン様の分身が増えて今では、前回と違い異世界から魔物を召喚出来るようになりました。闇魔法を使える者もいるのでこの世界を手にして天界も手に入れる事が可能になりましたな」

「確かにのぅ。それでは我の分身の主な巫女たちを聖堂に集めなさい」

 サリスン教皇が分身と呼んでいるのは、教皇と魔人に昇格したゲドウの子供の事で。

 2人の遺伝子を継いでいて、能力の高い者は巫女長として教皇の指示に従って動いている。

 聖堂の大広間に集まった巫女たちは、サリスン教皇が壇上に姿を現すと。膝を付いて一斉に「聖母様ー!」と声を上げて手を合わせていた。

 教皇が壇上から笑みを浮かべて。

「我が可愛い子供たちよ。いよいよ本懐を遂げる時が来た。その第一歩として帝国を蹂躙しなさい」

「はい、聖母様、私たち巫女の力を見せる時が来たのですね。帝国を蹂躙してご覧に入れます」

 こうして、ナチラス聖国は此の世界を手に入れる為に。ドアイル帝国は此の大陸を手に入れる為に戦う事になったのである。
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