貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット

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26話 国王の襲撃を防ぐ為に2

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「へっ! なぜ燃えているのか良く分かんねえけどよ。ざまあみやがれってんだ!」

「ああ! 前から気に入らなかったんだよ! 俺たちを馬鹿にしやがって!」

「少し賢いからって威張ってんじゃねぇぞ!!」

 チンピラたちが騒ぐ。
 リーダー格の男は、人望がなかったようだな。
 組織としてこの集団のリーダーを任されているのではなかったのだと思われる。
 あくまで、本来は同格の4人の中で勝手に仕切っていた感じか。
 魔法やアルコールへの知識を見る限り、実際に4人の中では上位の能力を持っていたのだろうが……。
 組織としてそのあたりをちゃんと定めていなかったのであれば、他の者が不満を持ってしまっても仕方がない面もある。

(しかし、このタイミングで仲間割れ? 救いようがないな……)

 普段の不満はどうあれ、謎の球体に男が触れた途端に謎の炎上をしてしまったのは事実。
 奴らからすれば、その謎は解明すべきことだろう。
 この中では比較的マシな知的水準を持つ男を生かすことは、優先度が高いはずなのに。

「お、お前らああぁっ! ゆ、許さん! 許さんぞおおおぉっ! ごうなっだら道連れだああぁっ!!!」

「ぎゃあああっ! 火が! 火が俺の服にもっ!」

「ひいいぃっ! お、お前ら、こっちに来るんじゃねぇ!」

「こっちに来たら殺す! 勝手に燃えてろ!!!」

 ヤケになったリーダー格の男は、他のチンピラに接触して道連れにすることを選んだようだ。
 何の生産性もない行為だが、気持ちは分からんでもない。
 自分が助からないのなら、せめて他の奴を道連れにしたくなるのが人情というものだからな。
 1人はあっさりと火をもらってしまった。
 残りの2人は、燃え盛る2人から必死に距離を取っている。

(くくく……。人間はなんと醜いものなのか……。これはこれで面白いが、さて……)

 俺は次の一手を打つべく、考えを巡らせるのだった。
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