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12話 騎士爵になった後で
しおりを挟む騎士爵を授けられて控室に戻ると、王族に仕える執事が来て。
「リュウト様、陛下がお呼びです。案内いたします」
陛下から再度呼び出されて執事に付いて行くと執事が話してきて。
「リュウト様、この度は騎士爵になりおめでとうございます。私は王室の執事を務めるサバン・ラガーゾイと申します。サバンとお呼び下さい、此れから宜しくお願い致します」
「はい、こちらこそ宜しくお願い致します」
「リュウト様、ご忠告致しますが此れからは私どもの様な召使には敬語は不要ですぞ」
「そうか、貴族とは大変だな・・・・」
「アハハ! リュウト様は正直な方ですな」
サバン執事に案内されて部屋に入ると、その部屋は王族の私的な部屋らしく王都を一望出来る前世のリビングみたいな広い部屋で国王夫妻とナナファ―ナ王女がいた。
サバン執事が、警護の為か入り口のドアの前に立つと陛下が。
「呼び立ててすまなかった。堅くるしい所ではなく個人的に話したく思ってな。娘は知っているので紹介しなくても良いだろうが妻のアリラファだ」
「王妃のアリラファです。この度は娘を助けて頂きありがとうございました」
「いえ、当然行動を取ったまでですので」
それから、用意された飲み物を飲みながら歓談したが緊張してしまい。聞かれた事に答えるのが精一杯だった
陛下から娘を救ってくれたお礼だと言われて白金貨50枚(前世の5億円)を差し出されて余りの金額に驚いて辞退したが、「娘の命の値段に比べたら安いものだ」
と強引に渡されてしまったのだ。
王妃様とナナファ―ナ王女が先に部屋を出た後の最後に、陛下が僕に。
「貴族として、今すぐとは言わないが、警護や使用人を雇いなさい。サバンが手配してくれているはずだ。これは極秘事項で王族と一部の者しか知らないが、此のオスガン王国の王族は、龍人族の子孫でランキン公爵家、シャロム辺境伯家、執事のサバンも同じく龍人族の子孫だから信用して下さい。時期が来たなら主様の元に馳せ参じる覚悟の者たちです」
陛下は、そう言うと部屋から出て行き、残されたリュウトは、思いがけない陛下の最後の言葉に混乱してしまい。呆然としていると、サバン執事が。
「リュウト様、如何いたしました。お帰りの案内いたします」
サバンの言葉で我に返り、王城の出口に行くと、まだ家紋の付いていない貴族用の馬車が待っていた。若い御者が進み出て。
「私は、サバンの息子のハンドイと言います。此れからは、リュウト様の執事と警護その他の雑用をするように陛下より命じられました。宜しくお願い致します」
流石に此処まで来ると、前世の記憶も含めて精神年齢40歳の頭の中がパニック状態になった。
自分の立場が尋常な立場じゃ無い事に気が付き、こうなったら開き直るしかないと思い。
「宜しく頼む」
馬車に乗り自宅に帰り馬車から降りると、今度は母親のマリシャーヌが興奮して。
「リュウト、一体何があったの?・・・・
知らない人たちが沢山来ているのは何故なの」
「僕が騎士爵に任じられたからだよ。詳しくは後で話すから」
「ええーー!! ・・・・・」
屋敷の玄関の前には、衛兵姿の10人の男性と侍女姿の女性1人が。
「リュウト様、お帰りなさい」
リュウトが思いがけない事に固まっていると、ハンドイが。
「父上が手配した従者と侍女です、此の屋敷は元子爵の屋敷なので、空き部屋が多く、問題なく此の者たちを住まわす事が出来ますのでご安心を」
リュウトとマリシャーヌは此の急激な変化に付いて行けずに茫然としている。
しかしハンドイが慣れた様子でテキパキと処理して終わり。
母親に今日、王城に呼ばれて、陛下からプテラノの姓を貰いリュウト・プテラノに成り騎士爵に任じられた事を話すと。
「貴方が騎士爵で貴族になったのね。まさか貴族に成るとわねー・・・・・・」
母親との話が終わるとベッドに入ったが、色々あり過ぎたので中々眠れなかった。
なるようになるさと開き直りいつの間にか眠りに落ちていたのでした。
次の日に目覚めて寝室を出ると居間には、昨日の侍女がいて。
「お目覚めですか、お食事の用意が出来ておりますのでお着換えを手伝います」
侍女が寝間着を脱がそうとしたので慌てて。
「着替えは自分でするから」
と言って、部屋から追い出し、着替えて食堂に行くといつものテーブルには母親だけが居て、いつも一緒に食べる孤児院の双子の保母ユリアとササリンはいないので。
「ユリアとササリンはどうしたの?」
ハンドイが食堂に入って来て。
「リュウト様、雇い主の貴族と使用人と同席しての食事は止めて下さい。此れから使用人の人数が増えるので同席する者と出来ない者の使用人たちの差別に成るので使用人は使用人の食堂で食べる様にいたしました。今日は細やかながらリュウト様の騎士爵に就いたお祝いのパーティーを致しますので学園には欠席の届をしておきました」
断りも無しに物事を進めるハンドイに少し腹が立ち。
「ハンドイ、物事をテキパキと進めるのは良いが、僕に知らせて許可を取ってくれるか」
「申し訳ございません。簡単な事なのでリュウト様のお手を煩わせてはいけないと思い、勝手にしてしまいました」
「僕の負担を考えてくれるのは嬉しいが、僕は使用人も家族か仲間の様に接して信頼関係を築きたいと思っているのだ。勿論、上下関係も大事だと思っているが、解ってくれるかな」
ハンドイは目を見開き感心して。
「はい、わかりました。その様に努めます。
リュウト様は今まで貴族とは良い意味で違いますね」
ハンドイが、騎士爵に成ったお祝いのパーティーの準備に掛かり、リビングに行くと侍女が。
「お茶を用意いたしましょうか?」
聞かれて、侍女の名前を知らない事に気が付き。
「うん、お願いするよ。ところで君の名前は何というのかな」
「アッ! す、すみません。自己紹介を忘れていました。私は、この間までランキン公爵家に仕えて居りましたシャロンと申します。旦那様から、嫌なら断っても良いが出来たらリュウト様に仕えるように言われて自分から望んで来ました」
「僕の様な騎士爵より公爵家の方が良いはずなのにどうして僕の所に来たの」
「公爵家には沢山の侍女がいますが、此方に来た方が、やりがいがあると思いました。後は私の勘でこちらの方が楽しそうだからです。私は同僚に変人と言われるのですが、おかしいですか?」
リュウトは、普通なら安定を求めるのに、変わっていると思ったが。
「向上心があるのは良い事だと思うよ」
「ありがとうございます。精一杯頑張りますので宜しくお願い致します」
暫くして、ハンドイが新しい10人の従者を連れて来て紹介して、最後に大柄な体格の良い筋肉質の男性が。
「私は此の従者隊の長をしている剣士でジャンクと言います。これから宜しくお願い致します」
ハンドイが如何にも楽しそうに。
「リュウト様、此の従者隊に名前を付けてはいかかがでしょう」
リュウトは、考えて前世のアメリカの特殊部隊が迷彩服を着てベレー帽を被っていた事を思い出して、後で迷彩服を着てベレー帽を被って貰おうと思い。
「ベレー帽特殊隊はどうかな、どんな困難な任務もやり遂げる意味の名だが」
ジャンクが直ぐに賛成して。
「ベレー帽特殊隊ですか、どんな困難な任務もやり遂げるとは良いですね」
此のベレー帽特殊隊が、後に2,000人の特殊部隊として此の大陸で最強軍団と言われるとは思いもしなかったのだ。
その日の夕方から屋敷の大広間でパーティーが始まった。
パーティーに現れたのは屋敷にいる、孤児院の孤児たち双子の保母、新しいジャンクの特殊隊、侍女のシャロン、執事のハンドイ、司祭長ザガント、豪商バリサン、学園の仲間のダンライ、サヨナァ、お忍びで来たナナファ―ナ王女は変装して眼鏡をかけて来ている。
此のパーティーは身分に関係なく無礼講として身分を明かさないで始めたので、孤児たちがナナファ―ナ王女に纏わり付いたり、ダンライが孤児を肩車したり賑やかに過ぎたのでした。
司祭長ザガント、豪商バリサンはリュウトにお祝いの言葉を掛けると、2人でニコニコと孤児たちを見ながら、酒を飲み交わしていた。
司祭長ザガントが何もかも知っていて時期が来るまでは話さないと思った。
だが何となく自分の立場は龍人族の子孫たちの上に立ち、何かをしないといけないと感じ始めていたのだ。
パーティーが終わり、皆が帰るとリビングに親子の2人に成り。溜息をつき。
「ふぅー、 大変な事になったな・・・・」
「そうね、まさかリュウトが貴族に成るとわね」
「お母さん、司祭長から何か聞いている?」
「司祭長からは、リュウトは此れから大変な立場に成るが心配しないでと言われたわ。私はリュウトが遠くに行きそうで心配なの」
「そうか、でも 大丈夫だよ。そんなに心配しなくも良いから」
その晩に色々考えて寝付かれずに朝方にやっと少し眠りに付いたのでした。
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