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第2話、異世界
しおりを挟むどのくらいの時間が過ぎたのだろう。
俺の顔を舐めている気配に目を覚ますと愛犬の義経が心配そうに俺を起こそうとして顔を舐めていたので安心させるために。
「義経、俺は大丈夫だ。お前は大丈夫か」
義経は大丈夫だと「ワンワン」と鳴いて体を摺り寄せてきた。
起き上がって辺りを見渡すと、不思議な事に写真で見たローマ時代の神殿に似ている場所にいる。
だが天井は何かの植物の根で覆われて根の隙間から光が漏れていて辺りが見える。
俺は青信号で横断歩道を渡っている時に暴走して来たトラックに跳ねられて内臓が破裂して即死したはずなのに何故か生きている。
兎に角ここがどこなのか調べる事にして。
「義経、出口を探せるか」
義経は「ワン」と吠えると歩き出したので後を付いて行くと、両側が所々崩れている壁の間の石畳の長い廊下に出た。
義経が空気の匂いをかいで進むと階段があり、階段を上ると両側に剣を持った兵士や獣の像が並んでいて今にも動き出しそうだ。
真ん中の石畳を進むと祭壇と思われる中央に3mくらいの女性の像がたっている。
その像の足元には大事な物を入れてあると思われる古ぼけた3個の箱がある。
俺が像の前に行くと頭の中に女性とも男性ともとれる感情のない無機質な声が聞こえ。
「1万年ぶりに訪れし者よ。貴方をこの遺跡に生き返らせたのは1万年前に亡びた古代魔法国の亡びた原因や出来事を後世に伝えるためなのです。この遺跡はあと数時間か数日で跡形もなく消える事でしょう。私の像の足元にある箱には古代魔法国の事が書いてある書物、右の箱には魔法具、左の箱には武器を治めてある。それを使い無事にここを抜け出すが良い。幸運を祈る」
俺には何が何だか分からないが言われた通りに箱を開けると真ん中の箱には沢山の古い書物、右の箱には魔法具、左の箱には武器が入っていた。
魔法具には腰に巻くベルトに20cmくらいのカバン、指輪が5個、首輪が入っていた。
武器はナックルダスター、短刀と銀色に輝く剣で剣には持つ所には青色に輝く宝石が埋め込まれている。
また同じ声がして。
「カバンは小さな町が入るくらい容量のある空間カバン、指輪は赤が火魔法、水色が水魔法、青色が再生魔法、茶色が念力魔法、魔法を使う時は指輪に命令するがいい。文字が書かれているのはどんな言語でも読み書きできる言語翻訳、首輪は貴方が連れている神獣用です。剣はどんな物でも斬れる魔法剣です。ナックルダスターを付けて殴ると岩も砕ける。この遺跡を抜け出すのは試練がありますが・・ガ、ガ、ガ・・・・・・」
そこで声に雑音がして途絶えそれ以後、魔法具の使い方や何を尋ねても返事はなく、空間カバンを腰につけて、町が入るくらいの容量が入ると聞いたのでカバンを書類に近づけると書類は吸い込まれてしまったのだ。
使い方は分からないが魔法指輪を指に嵌めると、俺には少し大きかった指輪が縮小して指に嵌りどんなことをしても抜けないのだ。
最後に神獣用の首輪を神獣には程遠い義経の首に嵌めると白色の毛が銀色になり体長が3mくらいになり俺が驚いていると義経が。
「ご主人様、僕はどうなったの? 」
犬の義経が言葉を使ったので俺は驚きの余り腰を抜かして地面に座り込み。
「義経! 人間の言葉を話せるのか? 」
「この首輪を付けたら言葉を理解できて話せるようになったよ」
何とも不思議だ!
この遺跡は数時間か数日で跡形もなく消えると言われたので考えるのは後にしてこの遺跡から脱出するのを最優先にして。
「義経、出口を探してくれ」
「分かった」
俺たちが像のある部屋を出ようとすると兵士や獣の像が動き出し兵士は剣を抜き獣は牙を剥き襲って来たのだ。
俺は剣など使ったことはないが、無我夢中で剣を振り回すと飛びかかって来た獣は振り回す剣に触れると2つに割れて動かなくなった。
義経は飛び上がり、足で兵士を蹴ると兵士は粉々に砕けた。
だが兵士と獣を合わせると100体はいる。
俺は夢中であの声で聞いていた赤い指輪に炎で焼き殺せと命令すると、指輪を嵌めた指から炎が噴き出し半分くらいの兵士と獣が溶けて消えたのだ。
部屋から出て廊下に出ると義経が。
「こっちが綺麗な空気が来るので出口みたいです。付いてきて」
追いかけて来る兵士と獣に今度は水色の指輪に命令し。
「水で押し流せ」
まるで洪水のような大量の水が出て兵士と獣を飲み込み押し流しているので、その隙に見えて来た階段を急いで上がると、ゴーと音がして壁が崩れ始まった。
義経がしゃがんで。
「僕の背中に乗って」
俺が義経の背中に乗るとまるで飛ぶような速さで階段を上りきると扉があったので火魔法の炎で扉を溶かした。
義経がまだ真っ赤に溶けている扉の中を跳んで扉の外に出るとそこは驚く事に大木が生い茂る密林だった。
義経の背中から降りてあたりを見まわしたが、どこまでも続く密林で此処が何処なのか分からない。
義経が匂いを嗅いで。
「地球の空気と違うよ。もしかしたなら地球と違う世界かも知れない」
そういえば生えている木も見たことがない木で植物も初めて見る植物だ。
そんなことを考えていると、【ゴー、ゴー】と地鳴りがして地面が崩れていく、俺は義経の背中に飛び乗り。
「義経! 地面が崩れる。急いで逃げろ」
義経は猛スピードで駆け出したが、後ろから地面が割れて崩れていつ飲みこまれるかヒヤヒヤしたが何とか逃げ切れた。
高台に登り、俺たちがいた遺跡は崩れたのか地面が崩れて2kmくらいの窪みのクレーターが出来ている。
義経がいなかったなら俺は今頃、崩れた地面に飲み込まれて死んでいただろう。
「義経のお陰で助かったぜ。ありがとう」
「礼を言うのは僕の方です。捨て犬だった僕を拾って育ててくれてありがとうございました」
「いやー、それにしても義経が人間の言葉を話したときは驚いたぜ」
「でも此処はどこなのでしょう。地球でないことは確かですね」
「もしかしたならアニメで見た異世界かも知れないな。とにかくこの森を出て人の住むところに行かないと此処がどんな所か分からないので森を出るのが良いだろう」
河が見えて来たのでここがどんな所か分からないが河沿いに下流に向かって歩き始めたのだ。
河沿いに歩き始めて暫くすると木の上から何かが襲って来た。何とか避けて襲ってきたのを見ると猿だ。
それも普通の猿ではなく長い牙をもった体長が2m以上もある。
俺は剣を抜き構えたが剣を使うのは2度目で、テレビで見た時代劇の武士の刀の構えをして待っていると猿が飛びかかって来たので剣を振ると剣が伸びて猿の足を切り落としたのだ。
剣が伸びたことに驚いていると猿は足から血を流しながら木の枝を伝って逃げていきホッとした。
また獣が出るといけないので警戒していると義経が笑い。
「ハハハー、剣の構えがへっぴり腰で笑えるよ」
「うるさい! 剣を持つのは初めてなので仕方ないだろう」
「今度は僕が戦ってみるよ」
「フン、神獣になっていい気になるな。武器がないのに戦えないだろう」
そんな言い合いをしながら森の中を歩いていると、日が暮れて来て獣が出るかもしれない森の中で寝るのは物騒なので安全な河の河原で見張りを義経と交代でしながら寝る事にした。
俺が先に寝ると義経が直ぐに。
「ご主人様! 起きて」
「寝たばかりなのに魔物が出たのか」
「空を見て。月が2つある」
「何だとー! 本当か」
空を見上げると月が2つ輝いていたのだ。
やはりうすうす思っていたが、魔法があり、月も2つあるのでここは地球と違う異世界だと確信したのだ。
だが俺と義経は日本で暴走して来たトラックにひかれて死んだはずなのに何故、異世界で生き返ったのだろう。
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