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第34話、帝国のその後
しおりを挟む前日は、両親と王宮に泊まりました。
次の日に朝日が差し込み眩しさで目を覚ますと、もうサヨが待機していて
「サヤカ聖女様、おはようございます。お目覚めですか」
久しぶりに、騎士姿から簡単なドレス姿に着替えさせられて食堂に行くと、両親がいてお互いに朝の挨拶を交わして。
「おはようございます」
「おはよう、よく眠れた?」
其処に、陛下夫妻とトムが食堂に来て朝の挨拶を交わして食事を始めたのです。
食事が終わり、お茶を飲みながら私が隣のトムに夢の話をするとトムは。
「それは、夢じゃ無くアリーナ女神がサヤカに大陸の平和を守った、お礼を言いに来たのかも知れないよ」
「まさか、アリーナ女神様がお礼に来る何て有り得ない事よ」
王妃様が横から。
「ウッフフ、王太子が言うほうが正解かもよ」
陛下と宰相のお父様にトムが帝国の今後の方針を話し合う為に、高位の貴族が集まっている会議室に向かいました。
私は、王妃様とお母様のお茶会に連れ出されて、王宮の綺麗な花が咲き乱れる庭園での、お茶会で2人に玩具にされながらも、美味しいケーキとクッキーを食べながらお茶会を楽しんだのです。
お茶会が終わると、私の立場は、一応この大陸の最高位者なので、会議室に呼ばれて帝国の今後について報告を受けました。
帝国は、消滅させて王国に合併してアスクルト王国として、王国の制度を適用し帝国民は王国民と同じ制度の下で暮らす事になりました。
奴隷制度が禁止されて,犯罪奴隷たち以外は解放されて自由の身になったのです。
帝国と戦い、属国になりかけていた連合国は、王国に庇護を求めて王国に編入して自冶領となったのです。
此の決定により、実質的にムーヴ大陸はアスクルト王国一国になり、大陸を10の自冶区に分けて領主を置き統治する事になりました。
旧ピースァイ聖国は、特別区に指定されて私の領地になりましたが、アリーナ女神の聖地として新しく教会の総本山を建て王国と教会が管理してくれるそうです。
領主と貴族が不正を出来ない様に、新しく王国には王直属の監視機関が設けられたのです。
監視機関の設置には貴族たちから反対意見も多数出たのですがトムが。
「反対する者たちは不正をしようと思っているのか?不正をする気が無いのなら監視機関が出来ても問題ないはずだし、むしろ不正が行われずに領地経営が出来て喜ぶべきだろう」
トムの言葉に反対する貴族は不正の心が有る者とみなされるので反対を取り消したが、だが反対した貴族たちは、領主や大事な役職に就くことは無かったのです。
私の立場は変わらず、聖女として政治には加わらず自由に暮らして良いのですが、トムと結婚したならば、王太子妃としての役目も果たすように言われたのでした。
トムは、サヤカは今のままでも十分に役目を果たしているから、今のままで良いからと言いますが、将来は王妃になるのですから、国民が幸せに暮らせるように頑張るつもりです。
帝国との戦争が終結して半月後に、王国軍が帝国から引き揚げて来ました。
兵士たちに休暇を与えた後の、1週間後に戦勝の凱旋パレードと王宮で戦勝を祝う祝宴が開かれるのです。
その日の凱旋パレードの前の朝に、トムと私の婚約発表が行われる予定なのです。
偶然が重なり、その日は10月10日のアリーナ女神の誕祭で、私の17歳の誕生日なのです。
1週間前からサヨと侍女たちに、オイルマッサージや髪の毛のパックなどで、此れでもかというくらい手入れをされて、私は悲鳴を上げてしまいました。
10月10日の当日はサヨに朝早く起こされて、薄い水色のドレスに真珠のネックレスというシンプルで清楚な服装に、髪はハーフアップにして、聖女の花と呼ばれる赤いコスモスの生花を髪飾りにしたのでした。
赤いコスモスの花言葉は、愛情と調和で愛の女神アリーナ女神様の象徴なのです。
トムがエスコートする為に私の部屋に来て、ドアを開けると立ち止まり、私を見て。
「サヤカ、まるで天使か妖精みたいに綺麗だ」
私がトムの言葉に顔を赤くしていると、トムが私を抱きしめようとしたのですが、サヨが。
「殿下、聖女様の衣服と髪が乱れるので、今日は抱きしめるのは禁止です」
殿下が恨めしそうにサヨを見て。
「ムゥー、残念」
トムにエスコートされて、王宮前の大広場に設置された特設ステージの控室に行くと、大勢の民衆が詰めかけていました。
控室には、私の両親は勿論、陛下夫妻、ジャネット、私が移転魔法で前日に連れて来た、ショウジャ将軍、ゴガン砦の責任者の部隊長ガタリィの他、近衛騎士団長ライルィ、魔法騎士団長ゴッドファー、使い魔のジイチャンなど、別の控室には伯爵以上の貴族たちが集まっていて賑やかに話していました。
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