上 下
34 / 38

第34話、帝国のその後

しおりを挟む

 前日は、両親と王宮に泊まりました。

 次の日に朝日が差し込み眩しさで目を覚ますと、もうサヨが待機していて

「サヤカ聖女様、おはようございます。お目覚めですか」

 久しぶりに、騎士姿から簡単なドレス姿に着替えさせられて食堂に行くと、両親がいてお互いに朝の挨拶を交わして。

「おはようございます」

「おはよう、よく眠れた?」

 其処に、陛下夫妻とトムが食堂に来て朝の挨拶を交わして食事を始めたのです。

 食事が終わり、お茶を飲みながら私が隣のトムに夢の話をするとトムは。

「それは、夢じゃ無くアリーナ女神がサヤカに大陸の平和を守った、お礼を言いに来たのかも知れないよ」

「まさか、アリーナ女神様がお礼に来る何て有り得ない事よ」

 王妃様が横から。

「ウッフフ、王太子が言うほうが正解かもよ」

 陛下と宰相のお父様にトムが帝国の今後の方針を話し合う為に、高位の貴族が集まっている会議室に向かいました。

 私は、王妃様とお母様のお茶会に連れ出されて、王宮の綺麗な花が咲き乱れる庭園での、お茶会で2人に玩具にされながらも、美味しいケーキとクッキーを食べながらお茶会を楽しんだのです。

 お茶会が終わると、私の立場は、一応この大陸の最高位者なので、会議室に呼ばれて帝国の今後について報告を受けました。

 帝国は、消滅させて王国に合併してアスクルト王国として、王国の制度を適用し帝国民は王国民と同じ制度の下で暮らす事になりました。

 奴隷制度が禁止されて,犯罪奴隷たち以外は解放されて自由の身になったのです。

 帝国と戦い、属国になりかけていた連合国は、王国に庇護を求めて王国に編入して自冶領となったのです。

 此の決定により、実質的にムーヴ大陸はアスクルト王国一国になり、大陸を10の自冶区に分けて領主を置き統治する事になりました。

 旧ピースァイ聖国は、特別区に指定されて私の領地になりましたが、アリーナ女神の聖地として新しく教会の総本山を建て王国と教会が管理してくれるそうです。

 領主と貴族が不正を出来ない様に、新しく王国には王直属の監視機関が設けられたのです。

 監視機関の設置には貴族たちから反対意見も多数出たのですがトムが。

「反対する者たちは不正をしようと思っているのか?不正をする気が無いのなら監視機関が出来ても問題ないはずだし、むしろ不正が行われずに領地経営が出来て喜ぶべきだろう」

 トムの言葉に反対する貴族は不正の心が有る者とみなされるので反対を取り消したが、だが反対した貴族たちは、領主や大事な役職に就くことは無かったのです。

 私の立場は変わらず、聖女として政治には加わらず自由に暮らして良いのですが、トムと結婚したならば、王太子妃としての役目も果たすように言われたのでした。

 トムは、サヤカは今のままでも十分に役目を果たしているから、今のままで良いからと言いますが、将来は王妃になるのですから、国民が幸せに暮らせるように頑張るつもりです。

 帝国との戦争が終結して半月後に、王国軍が帝国から引き揚げて来ました。

 兵士たちに休暇を与えた後の、1週間後に戦勝の凱旋パレードと王宮で戦勝を祝う祝宴が開かれるのです。

 その日の凱旋パレードの前の朝に、トムと私の婚約発表が行われる予定なのです。

 偶然が重なり、その日は10月10日のアリーナ女神の誕祭で、私の17歳の誕生日なのです。

 1週間前からサヨと侍女たちに、オイルマッサージや髪の毛のパックなどで、此れでもかというくらい手入れをされて、私は悲鳴を上げてしまいました。

 10月10日の当日はサヨに朝早く起こされて、薄い水色のドレスに真珠のネックレスというシンプルで清楚な服装に、髪はハーフアップにして、聖女の花と呼ばれる赤いコスモスの生花を髪飾りにしたのでした。

 赤いコスモスの花言葉は、愛情と調和で愛の女神アリーナ女神様の象徴なのです。


 トムがエスコートする為に私の部屋に来て、ドアを開けると立ち止まり、私を見て。

「サヤカ、まるで天使か妖精みたいに綺麗だ」

 私がトムの言葉に顔を赤くしていると、トムが私を抱きしめようとしたのですが、サヨが。

「殿下、聖女様の衣服と髪が乱れるので、今日は抱きしめるのは禁止です」

 殿下が恨めしそうにサヨを見て。

「ムゥー、残念」

 トムにエスコートされて、王宮前の大広場に設置された特設ステージの控室に行くと、大勢の民衆が詰めかけていました。

 控室には、私の両親は勿論、陛下夫妻、ジャネット、私が移転魔法で前日に連れて来た、ショウジャ将軍、ゴガン砦の責任者の部隊長ガタリィの他、近衛騎士団長ライルィ、魔法騎士団長ゴッドファー、使い魔のジイチャンなど、別の控室には伯爵以上の貴族たちが集まっていて賑やかに話していました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

転生した姫君だけど クーデターで下働きな幼女です とほほん

のの(まゆたん)
ファンタジー
腐女子ですが 死んで転生しました お姫様なので BLな本はないけど 騎士様とか綺麗だし 姫様だから安泰ねと思ってたら クーデターとかで 今は誘拐されて 下働き・・ でも・・・そこに 漫画バージョン?もあります☆

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

スケルトンに転生した。冒険者に倒され続ける毎日だったが、冒険者を倒すとレベルアップするんだな

もぐすけ
ファンタジー
リメイク版をカクヨムに掲載しました。 俺は佐藤、アラフォーのサラリーマンだ。 どう死んだのかよく思い出せないのだが、死の直前の記憶を持ったまま異世界に転生した。 ダンジョンの最初の部屋にいるスケルトンに転生したのだ。 新人冒険者のトレーニング用に毎日毎日斬られては復活する毎日。部屋から出たくても奇妙な結界が張られていて、外に出られない。 そんなある日、遂に部屋を出ることが出来た。そして、いじめられていた冒険者を殺したら、レベルが上がった。 その後、成り行きで、悪い大人たちから救った少女三人の保護者代わりになり、育ての親として頑張って行くことにした。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

処理中です...