31 / 38
第31話、帝国を打ち破る
しおりを挟む私が闇魔法使いを倒してゾンビたちを焼き払い、王国軍の防御壁の上に戻ると、王国軍の兵士たちが、歓声を上げて迎えてくれました。
トムが駆け寄り私の手を取り。
「一時はもう駄目かと思ったよ、サヤカのお陰で助かったよ、ありがとう」
ジャネットが泣きながら私に抱き付き。
「ワァーン、サヤカ聖女様ー!・・・・・、無事で良かった」
ジイチャンが飄々と。
「何て言ったってサヤカ聖女様だからな、フォ、フォ、フォ、」
此れには、皆が笑い出して私は口を尖がらして。
「もうー!・・ジイチャンは私の使い魔の癖に直ぐに揶揄うんだから」
私の言葉に今度は皆が爆笑したのです。
私たちは、臨時の宿舎に戻り、夕食を食べた後にトムと外に出て、草原に敷物を敷いて座り満天の星空を見上げていたのです。
トムが私の肩を抱き寄せて。
「今日は今迄で一番、焦ったよ、まさか闇魔法で死人を操るとは思いもしなかったから」
「本当にそうですね、死人を操るなんて人間のする事じゃないわ」
「でも、サヤカのお陰で無事に切り抜けることが出来て、帝国に勝てそうだ、今日の褒美に何か上げないとね」
私は恥ずかしいけれど。
「褒美に私を抱きしめてくれますか」
トムは私を優しく抱きしめてキスをして。
「サヤカ、大好きだよ、愛しているよ」
「私もトムが大好きで愛している」
2人の愛の言葉は、満天の星空の下の草原に流れて静かに消えたのです。
次の日の朝に、此れからの戦いについて軍議が開かれて、帝国軍は魔法軍団も弓部隊も壊滅して、兵士の数も減っているので王国軍は総攻撃を掛けて決戦をすることになったのです。
昼前に戦いは始まり、トムは愛馬に跨り私の上げた雷魔法剣で一振り20人位の帝国軍を倒して進み、ジャネットとショウジャ将軍が、剣で2人共、競い合うよに負けじと相手を倒し、魔法騎士団長ゴッドファーの魔法軍団も魔法で帝国軍をなぎ倒して怒涛の勢いで帝国の本陣に進んでいた。
帝国軍は、本陣を守っていた最後の砦の騎馬軍団の1万を投入して来たのです。
私は、1万の帝国の騎馬軍団に流星魔法を放ちました。
2m位の大きさの5千の真っ赤な流星が、騎馬軍団に降り注ぎ、騎馬軍団は壊滅したのです。
帝国軍は、残っていた騎馬隊が皇帝を守りながら逃走したのでした。
王国の騎馬隊が皇帝を追いかけようとしたのですがトムが全軍に停止を命じて
「今回は、帝都まで攻め入り帝国を壊滅させるつもりだから焦る事は無い、我々は帝国を打ち破ったのだ、皆の者よくやった。今日は此処までだ。休んで明日からに備えてくれ」
「ワァー! 勝った!!・・・・帝国に勝った・・・バンザーイ、バンザーイ」
兵士たちから歓声が上がり、私も拳を突き上げて「やったー!」と叫んだのでした。
~~~~~~~~~~~~~~~
一方、敗れた帝国軍は皇帝を守りながら帝都を目指して馬を走らしていた。
馬上で皇帝は。
「どうして兵力が倍の負けるはずの無い、帝国が負けたのだ」
と呟きながら馬を走らせていたのだ。
今日は、最初はあの黒装束の男の闇魔法で完全に勝ったと思ったのだが、あの憎い聖女に闇魔法使いが倒されると、帝国軍の兵士たちは倒され始め劣勢に立たされてしまい。
最後の砦の帝国最強の魔法で強化した騎馬軍団も、聖女の見た事も無い流星魔法で壊滅させられて命からがら逃げ出してしまい、此れから如何すれば良いか考える事も出来ずに帝都に向かい馬を走らせている皇帝だったのだ。
3日3晩、休まずに馬を走らせて帝城に辿り着いた皇帝を待ったいたのは、妖艶な綺麗な顔を般若のようにして怒り狂った王妃のソフィーナだった。
皇帝の顔を見るなり、皇帝の顔を殴り付けて。
「何ていう様なの、よくもまあ、私の大事な兵隊を全滅させて、おめおめと帰って来れた物ね」
二人の様子を見ていた、ただ一人生き残った第一将軍は有り得ない出来事に驚き。
「あの冷徹な氷の皇帝が・・・・・」
と呟き絶句していたのだ。
ソフィーナ王妃は第一将軍を睨みつけて。
「貴方も同罪ね、何が将軍よ、死んで詫びなさい」
そう言いながら黒い光線を放ち第一将軍の首を切り落として、茫然としている者たちに向かって。
「今から私が采配を振るいます。従わない者は第一将軍と同じ目に合わせるから、分かったわね」
その場にいた者たちは震えながら膝を付き、ソフィーナ王妃に忠誠を誓ったのだった。
皇帝は信じられない思いでソフィーナ王妃を見て。
「私が愛した王妃は何処に行ったのだろうと」
空虚に呟いたのであった。
11
お気に入りに追加
791
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

モブな私の学園生活
結々花
ファンタジー
日本人・OLの白山 椿は、異世界のシリクサーシェ王国伯爵家三女ミルフィー=ノルークに転生した。
貴族が通う学園卒業後は学園の修復職員に就職。数年後、学園には高位貴族の子息や令嬢が沢山入学してくることになる。
その生徒がおこす出来事を聞いたり見たりするうちに乙女ゲームに似ていることに気づいたミルフィーだが、自分はモブであると結論に至った。
そんな彼女は、乙女ゲームの登場人物らしい生徒が起こすイベントに巻き込まれながらも職務を全うしていく。
これは、そんな彼女の物語。
______
ミルフィー「あれっ?これ乙女ゲームのイベントに似てないか?」
同僚「何やってんですか、あんた」
※フィクションです。誤字脱字あると思います、教えていただければ幸いです。ご都合主義なところありますが、ゆる〜く読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる