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第28話、帝国との戦いの前夜

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 ゴガン砦に向かう途中に大鷲に襲われそうになり撃退して遅れたので、遅れを取り戻そうと再び急いで軍を進めたのでした。

 その日も日が暮れ始めたので、野営の準備をし始めると、ショウジャ将軍が急いでい来たのか荒い息をして。

「殿下、ゴガン砦から連絡があり、何と10万の兵力の帝国軍がもうゴガン高原に着いて有利な丘の上に陣地を築いたそうです。如何いたしましょうか?」

 トムは考え込んでいたのです。

 確かゴガン砦には2千人の兵しかいないので、10万の兵力で攻められては、半日も持たずに落ちてしまう事でしょう。

 私はトムに。

「私がジイチャンと帝国軍を偵察してきますから、少しでも兵を休まして戦いに備えておいて下さい」

 トムが何か言いましたが私は、構わずにペガサスの姿になったジイチャンに飛び乗り、ゴガン砦を目指して飛び立ちました。

 ジイチャンが今迄にない速さで飛び始めて、あっという間に砦に近づいたのです。

 私は、躊躇なくジイチャンに乗ったまま砦に降り立ち。

「サヤカ・スタシャリ聖女です。此の砦の責任者はどなたですか?」

 初めて見る神獣のペガサスから降り立った、真っ白な騎士姿の私を見て、兵士たちは目を見開き驚いていました。

 そんな中、髭を生やし、筋肉が盛り上がった豪傑と呼ぶのが相応しい男性が私の前に膝を付き。

「噂には聞いておりましたが、初めてお目にかかります、此の砦の責任者で部隊長のガタリィ・ズヨガマサと言います」

「状況を確認しに来ました。帝国の様子はどうですか?明日にも攻めて来そうなのですか?」

 ガタリィ部隊長は緊張しながら。

「明日の攻撃は無いと思います。敵は砦を攻撃するために投石機を急遽増やす事にしたみたいなので攻撃は2日後に成ると思われます」

「分かりました、王国の援軍は明日には砦に到着します。帝国との戦いは砦では無く、高原に成ると思いますので砦から出ないで下さい。しかし相手は帝国ですから何を仕掛けて来るのか分からないので用心してくださいね」

「分かりました、お前たち全員持ち場に付けー!」

 私は、砦が無事なのでホッとして、ジイチャンに乗り帝国軍に見られない様に透明化の魔法掛けて、帝国の陣地の上に行き偵察をしてみると、兵士たちはもう勝ったつもりなのか軍律が緩んで酒を飲み交わして騒いでいる兵士たちもいたのです。

 帝国軍は数の力に酔っていて、油断していると思い、此れなら勝てると確信したのです。

 ジイチャンも私と同じ思いで。

「聖女様が本気で魔法を放ったら、油断した帝国軍は直ぐに逃げ出す事でしょうな、フォ、フォ、」

 私がトムたちの所に戻り、報告するとトムはホッとした感じで。

「良かった、砦は無事だったか、でもサヤカ無理はしないでよ」

 ショウジャ将軍も最悪な事態は避けられて安堵したのか。

「サヤカ聖女様、ありがとうございました、此れで明日の朝早くに砦に向かえば間に合う事が分かりましたので、今晩は兵たちを休ます事ができます」

 王国軍は、その晩は安心して寝る事が出来て、次の日の朝早くゴガン砦に向かい昼には砦に着いたのです。

 私には考えていた事があるのです。
帝国は有利な丘の上に陣地を築いておりますし、それに、やはり兵力の差は無視出来ないので、戦いを有利に進める為に土魔法で防御壁を作る事を考えて、トムとショウジャ将軍に相談したのです。

 2人も賛成したので、帝国に気づかれない夜に作ることにしました。

 夜に砦の前に長さ10km、幅5m、高さ20mの防御壁を土魔法で1時間位で作り出したのです。

 防御壁の上には監視塔と弓と魔法を打てる窓も作り、攻撃も出来るようにして帝国軍を誘い出す為に中央の1kmは防御壁を作りませんでした。

 1kmなら10万の兵力でも同時に進めないので、防御壁からも攻撃出来る王国軍の方が有利に戦う事が出来ると思ったのです。

 防御壁が出来上がると、帝国軍は一夜にして出現した防御壁に驚き、味方は喜び砦の中からゴガン砦の責任者の部隊長ガタリィ・ズヨガマサが飛び出して来て私の前に来て髭面でニヤッと笑い

「凄い物が出来て驚きました、聖女様の魔法ですね、これで砦は安心です。砦の兵士たちが感謝している事を伝えに来ました。ありがとうございました」

 此れで帝国と有利に戦う準備が出来たのでした。
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