虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

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第17話、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵を処分するために

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 次の日の朝に私は、何事もなかった様子でジャネットの部屋から屋敷に戻り、家族と一緒に朝食を頂きました。

 朝食の後でお父様に夜にでも大事な話があるので時間を作って頂けないか聞いた所。

「サヤカの大事な話なら王宮に行くのを遅くして今からでも聞きたい」

 と返事をされてお父様の執務室に行ったのです。

 お父様は執務室に入るなり。

「どんな話かな?」

 私は話す前に約束して欲しいと言い、私が何を話しても怒ったりしないで、関係者には絶対処罰しない事を誓って貰ってから、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵の屋敷に忍び込み証拠の書類や日記帳を取って来た事を話したのです。

 お父様は口を開けて絶句していたのですが。

「本当は、そんな危ない事をしたサヤカを怒鳴って叱りたいが約束だから我慢するよ、だが良くやった、これでワルキュイ・ゴウマヤァ公爵を処罰できる。サヤカありがとう」

 私は無限空間に入れている証拠の書類が膨大なので馬車で運ぶのは大変ですし万が一に敵が、気が付き襲われては大変なのでお父様を私と一緒に移転魔法で王宮に移転したのです。

 移転した部屋は、何時も話し合いの時に使う王族の応接室でした。

 移転すると、陛下夫妻が寛いでお茶を飲んでいたのです。

 私とお父様が急に現れたので、陛下と王妃様は顎が外れるのではないかと思うくらい口を開けてパクパクして驚いていたのです。

 お父様が何と、急いで土下座して。

「脅かして申し訳ありません、大事な用件なので馬車では運べず、襲われて奪い返されては大変なのでサヤカの移転魔法で来てしまいました。申し訳ありません」

 何時もは沈着冷静なお父様らしからぬ、支離滅裂な説明に王妃様が。

「吃驚して心臓が止まるかと思いましたわ、でも、サヤカ今度私も移転魔法でどっかに連れて行って頂戴」

 私の周りには偉い方が多いのですが、天然の方も結構いるみたいです、誰とは言いませんが。

 陛下が落ち着き。

「王太子も呼んで、わしの執務室で話そうか」

 陛下の執務室に行き、殿下も交えてもう一度、ジャネット騎士団長とワルキュイ・ゴウマヤァ公爵の屋敷に忍び込み証拠の書類や日記帳を取って来た事を話したのです。

 皆さんから、今後は危ない事は絶対にしないようにと釘を刺されましたが、証拠品を無限空間から取り出して見せると、調べ始めた殿下が興奮して。

「これなら、ゴウマヤァ公爵を処分できる、サヤカのお陰だ、ありがとう」

 其の後ショウジャ将軍も交えて何回か話し合い。

 ゴウマヤァ公爵だけではなく、王国を裏切り帝国の味方をしようとしている貴族も一網打尽にすることにしたのです。

 然し、証拠の入手方法が問題なので、もう少しゴウマヤァ公爵を泳がせて監視を続けてから捕縛することにしたのです。

 私は聖女ですが、聖女の前に1人の人間で、10年以上に渡り、醜い虐めを続けたゴウマヤァ公爵家の人達を許す事は到底出来ず、復讐をする為に新しく創造の魔法で、音声と映像を残す監視魔法を作りゴウマヤァ公爵を監視し続けたのでした。

 そんなある日に決定的な証拠を掴んだのです。

 ゴウマヤァ公爵の人身売買と、麻薬の取引現場の映像とやり取りを録音できたのです。

 ショウジャ将軍が喜色満面で私の手を取り。

「サヤカ聖女様のお陰でどうやら王国の癌のあいつらを叩き潰してやる事が出来ます、ありがとうございます」

 其れからは、陛下たちが作戦を立てて、ゴウマヤァ公爵たちが領地に逃げ帰られると面倒なので、貴族たちを全員集めて、今迄の働きに応じて報奨を渡すパーティを開く事にしたのです。

 当日は、ショウジャ将軍が軍を密かに動かして、不測の事態に備えたのでした。

 他にも私の騎士団や近衛騎士団などを要所に配置して、万全の態勢でその日を迎える準備をしたのです。

 当日の前夜は、私も王宮に泊まりいつものように、陛下夫妻、両親、ショウジャ将軍、トム(最近トムと呼ぶのが慣れました)と夕食を共にしたのです。

 夕食の後に、トムに誘われて王宮の最上階にある展望台に行き王都の夜景を見たのです。

 初めて見る展望台からの王都の夜景は幻想的でとても綺麗でした。

 トムが私を優しく抱き寄せてキスをしたのです、私のファーストキスです。

 私は顔を真っ赤にしてトムの胸に顔を埋めてこの幸せが永遠に続くことを願ったのでした。
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