虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

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第16話、サヤカ聖女とシャネット騎士の冒険

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 私と家族は、次の日に屋敷に戻り正常な暮らしに戻りました。

 私は、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵一族に復讐をする為に立てていた計画を実行に移すことにしたのです。

 私が一人で屋敷を抜け出すのは難しいので、まず聖女騎士団の皆さんと仲良くするために、屋敷内にある騎士団の宿舎に差し入れのケーキをサヨと一緒に持っていきました。

 騎士団の皆さんが歓迎してくれて団長のシャネットが。

「サヤカ聖女様、差し入れありがとうございます」

「いえ、どういたしまして、いつもお世話になっているのに、其れより此れは口実で本当は、私は同じ年頃の女性の友達がいないので皆さんと仲良くなり、色んな話をしてみたいのですが、良いでしょうか?」

 側で聞いていた若い女性騎士が。

「ワァー、聖女様とお話が出来るなんて嬉しいですわ、大歓迎します」

 サヨは差し入れだけと言っていたのに、話が違うと私を呆れた顔で見ていましたが、私は若い女性騎士に手を引かれて宿舎の広間に連れて行かれて、皆さんとケーキとお茶を飲みながら話し出したのです。

 若いと言っても皆さん18歳から25歳までの私より年上の方ばかりなのですが、即席の女子会になり、恋バナに話が弾み皆さんの恋愛感や恋人の話、プロポーズされた時の話など話は尽きませんでした。

 私はサヨに。

「今日は、団長のジャネットの部屋に泊まる事にしたので、明日迎えに来てくれませんか?」

 サヨは私が、友達がいないので自分だけが話し相手なので、私が同じ年頃の女性と楽しそうに話すのを見て先程とは違い嬉しそうに。

「はい、承知致しました、公爵夫妻にも伝えておきますので、でも夜更かしは駄目ですよ」

 こうして、作戦通りに初めての同じ屋敷内ですが外泊に成功したのです。

 その晩にジャネットに私の作戦を話したのでした。

 ジャネットは私の話を聞き、最初は聖女様に何かあったなら大変だと反対しましたが、私が魔法の話をして絶対に安全で大丈夫だと説得して、ジャネットが一緒に行かないなら1人で行くと脅すと。

「分かりました、一緒に行きます、私が聖女様を絶対に守ります」

 と言い3日後の晩に決行することにしたのです。

 次の日は、お母様とサヨに騎士団の皆さんとの話がいかに楽しかったかを話して、時々騎士団の宿舎に泊まる許可を取ったのです。
(作戦は順調です、ウッフフ)

 ワルキュイ公爵の行動は、私が掛けた追跡の魔法と、記録の魔法で筒抜けなのです。

 お陰で、麻薬の取引の場所や取引相手も記録できたのです。

 ワルキュイ公爵の屋敷は、私の屋敷から見渡せる2km位離れた所なので、透視の魔法で間取りなども調べて準備万端です。

 いよいよ、ワルキュイ公爵の屋敷に侵入して証拠を掴む日が来ました。

 私は、少し早めに騎士団の宿舎に行き、サヨを早めに返して、皆さんと話に興じてからジャネットの部屋に行きました。

 部屋にカギを掛けて誰も入れない様にしてから、私とジャネットは用意しておいた黒ずくめの服に着替えて頭にも黒頭巾をかぶり、あの嫌な監禁されていた図書室に移転したのです。

 直ぐに私とジャネットに透明化の魔法を掛けて、警護の者に見えない様にしてから、図書室を見渡すと、相変わらず埃まみれの誰も利用した様子が無い汚い部屋でした。

 私たちは堂々と1階の広間に移転すると、隣の食堂であの母娘がケーキをムシャムシャと品の無い食べ方で笑いながら食べていたのです。

 私は悪戯をして娘のフォークを動かして母親の顔にクリームを飛ばしてみた。

 母親は激高して。

「貴女、何をするの」

 今度は母親のフォークを動かして娘にクリームを投げつけると、娘が怒りだして手でクリームを母親に投げつけて、2人はケーキを投げ合い、最後は取っ組み合いの喧嘩をし始めたのです。

 私とジャネットは、笑うよりあきれ返り、馬鹿な母娘が喧嘩をしているその場を後にして、目的の執務室の隣の書斎に向かったのでした。

 執務室にはあの憎たらしいワルキュイ公爵が使用人を怒鳴り散らしていましたが、私は雷魔法を使い庭にワザと大きなバリバリと音を出した雷を落としました。

 怒鳴っていた公爵も使用人たちも、火柱の上がった庭に駆け付けて燃え上がった庭の木や壁の火を消すのに夢中です。

 その間に私は、書斎の隠し扉を開けて証拠の奴隷の売買の契約書や、麻薬など取引の記録と、帝国との王国を売り渡す契約書を取り出し、最後にワルキュイ公爵の日記を見つけて、私の無限空間に仕舞い込み、今度は書斎に魔法で火を付けてから、移転してジャネットの部屋に無事に戻ったのでした。

 勿論、ワルキュイ公爵家は書斎から火が出たので火を消すのに使用人たちが大騒ぎしていたのです。

 ジャネットと私は抱き合い。

「成功したー」と喜びあったのです。
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