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第21話、ナラン王都で
しおりを挟むギルドから帰り部屋に行くと、カミラが俺の兄の第5王子のバラン兄を連れて来ていたのだ。
俺が何か言う前にバラン兄が。
「久しぶりだな。カミラから聞いたが領地の改革に成功したみたいだな。お前なら出来ると思っていたよ。それに大きくなってビックリした」
「バラン兄さん、久し振りです。元気みたいですね。カミラ、バラン兄さんを連れて来てありがとう」
バラン兄さんが。
「いやー。夜中にカミラが部屋に来た時は暗殺者かと思って驚いたよ」
「昼間は警護が厳しく夜中しか闇魔法で王宮に入れなかったので、驚かしてすみませんでした」
「何度も謝るな。俺もクロードに会いたかったので礼を言いうよ」
カミラは気を利かして部屋から出ていき2人にしてくれた。
2人になるとバラン兄さんが。
「クロード俺は怒っている。魔法を使えるのを」隠していたな。どうして隠していたのだ」
あちゃ~! カミラの奴バラシタのか、仕方がないので。
「隠していてゴメン。でも魔法が使えるようになったのは王族を追放されてからだから仕方なかった」
「嘘をつくな。本当は最初から使えたのだろう」
「バラン兄さんも猊下が魔力0で魔法を使えないと言ったのは聞いていたでしょう。その後で調べて使えるのは分かったけれど、実際に魔法を試して使えるのが分かったのは旅に出てからで嘘ではないはずです」
「分かった。それでどんな魔法が使えるのだ」
神の目は隠して言わないで。
「火魔法、土魔法、念力魔法、空間魔法の4種類の魔法を使えます」
「何だとー! 4種類も魔法を使えるのは聞いた事がない。本当か」
「本当です」
「ふぅ~。参ったな。クロード王族に戻って次の国王になれ。俺が陛下に言えば陛下はお前を次の国王に指名するはずだ」
「国王になるのは嫌です。国王になるくらいなら全部放り投げて誰も知らない所に逃げます」
「お前なー・・・・ そんなに嫌か? 国王にするのは諦めるがお前を心配している陛下には知らせておくぞ。心配するな。国王にはしないで自由に生きるように言っておく」
「バラン兄さんありがとう」
バラン兄さんは王宮では他の馬鹿な兄たちが自分を応援する派閥の貴族たちと次の国王になる為に争っているので陛下は困っているらしいと話してくれた。
俺はバラン兄さんならドワーフ族の鍛冶師の知り合いがいないか聞いて。
「バラン兄さんドワーフ族の鍛冶師の知り合いがいませんか? 領地に来て工房を開いて欲しいのです」
バラン兄さんが少し考えてから。
「1人だけいるが、仕事を弟子に任せて腕は良いがいい仕事がないと言って今は酒浸りで困っている。そんな奴で良いなら紹介出来るが」
腕が良くていい仕事が無いのなら難しい仕事を与えたなら良いので。
「ぜひ紹介して下さい」
「お前も者好きだな」
バラン兄さんは工房の場所を教えて、王宮を抜け出してきたのでカミラが連れて帰ったのだ。
次の日、酒屋さんでお土産にする一番高級な酒を買いドワーフ族の工房を訪ねると、工房の隅の長椅子で酒を飲んでいる人物が周りの職人たちに。
「早く仕上げないと納期に間に合わねえぞ。そんな簡単な仕事にタラタラ時間をかけるんじゃねえ」
多分、髭を生やした彼がバラン兄さんの言っていたドワーフ族の棟梁だろう。
工房の入り口の扉が広く開いていたので酒を飲んでいる棟梁の側に行くと俺に気が付き。
「ん? 見かけねえ顔だが誰だ」
俺は日本のヤクザの時は酒が好きで飲んでいたが、何故かいくら酒を飲んでも顔に出なくて酔わない体質だったので酒好きのドワーフ族と酒の飲み比べをして仲良くなる作戦なので。
「酒好きなアンタの噂を聞き飲み比べをしようと思ってこの酒を持ってきた」
「おめえは良い奴だ。酒を持参したか。良い酒じゃねえか。気に入った。飲もうぜ」
俺と彼の飲み比べは酒がなくなり引き分けになったので俺が。
「棟梁は何故弟子に任せて自分でしないのだ」
「仕事が簡単すぎてやる気になれないのだ」
作るつもりの蒸気機関車の話をして。
「棟梁は蒸気で走る馬車や船を作れるのか」
「蒸気で馬車や船が走るのか」
「俺の知っている人で知識はあるが鍛冶の腕が悪いので作れないので困っているらしい」
「何だとー! その話は本当か? 」
「本当だ。ただそいつは王都から遠い街にすんでいるから棟梁には縁のない話だ」
「待て! 待て! その男にあって話を聞くにはどうすれば良い」
シメタ! 話に食いついた。
「俺と一緒に王都に来ているから棟梁が素面の時に合わせてやる」
「明日に合わせてくれんか」
「分かった。絶対酒を飲むなよ。飲んでいたなら合わせないからな」
作戦通り事が運んで良かったが、果たして明日の話し合いでベルト領地に来てくれるだろうか。
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