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第6話、旅路2
しおりを挟む2日目は何事もなく無事に次の街に着き宿は3部屋が空いていたので俺とカミラは1人で、ジャンクとチャリーは1部屋に2人で寝た。
食事は食堂で食べたが、ハッキリ言って味が薄い塩味で不味かった。
食事がすむと俺の部屋に集まり、俺はこの世界の平民の暮らしを知らないので平民のカミラに色々と聞いてみた。
カミラの話によると食べ物はこの世界では塩は岩塩だけで海水から塩を取る方法は知らないみたいなので、塩は貴重品らしい。
他にも甘味料は砂糖は無く、甘い果物の汁や砕いて粉にしたもの、高価すぎて貴族しか使えない蜂蜜などがあるが、特に平民の食生活が貧しいみたいだ。
平民の半分以上は読み書きや簡単な計算も出来ないらしい。
公認の奴隷制度もあるのには驚いた。
王宮で暮らしていて知らない事ばかりだが、領地を経営するには旅で見る事は良い経験になるだろう。
最後にカミラが。
「明日から2日は街が無いので野営になるので明日は街を出る前に買い物をするわ。買うのは食料品とテントなどの野営するための道具よ。荷物になるから余計なものは買わないで」
皆が各自の部屋に戻ると、空間魔法でラノベ小説に書いてあった空間カバンを作れるか試す事にした。
腰につけているお金など貴重品を入れているカバンの中身がもし、なくなっては困るので取り出した。
カバンの中の空間を慎重に広げてみて、最初はカバンより大きな部屋にあるテーブルに近づけると何と! テーブルがカバンに吸い込まれて無くなったのだ。
取り出そうとするとカバンから出て来たのでホッとした。
それから部屋にあるベッドや色んなものを出し入れしたがどうやら成功したみたいだ。
だがまだどのくらいの量が入るか、弁当などは腐らないのか調べる必要がある。
皆が寝静まった頃に部屋のベランダに出て火魔法を始めて試して、魔法言葉を使わず火炎放射器の炎を想像して掌を空に向けて小さな声で魔法を発動すると。
掌から思ったより大きな炎が噴き出して慌ててストップと言うと炎が消えた。
成功だ! これで空間魔法と火魔法を使えるのが分かった。
ベッドに入るとこれからの事を考え、カミラ、ジャンク、チャリーは俺が魔法を使えないと分かっていても付いてきて来て、一生仕えると言っている。
この世界の貴族は魔法を使えない者は家督を継げないのは勿論、平民に落とされて貴族界から追放されるのが普通だ。
そんな俺に忠誠を誓いついて来た3人に隠し事はしたくないので明日にでも俺の全てを話すつもりだ。
翌朝、食事がすむと3人を俺の部屋に集めて。
「俺が今から話す事は信じられないだろうが、本当の事だ。俺は君たちが知っているクロードではない。前のクロードは如何やら毒殺されて死んだみたいだ。俺はこの世界と違う世界で生きていたが、死んで死んだクロードの身体に生き返ったみたいなのだ。死んだクロードの記憶は俺が引きついているので皆は同じクロードだと思っているが別人だ」
そこまで言うとカミラが。
「嘘でしょう! 私はクロード様が病気が治った後も一緒に過ごしたけれど、気が付かないくらい以前と同じだったわ」
「それは前のクロードの記憶があるお陰でクロードと同じ振る舞いが出来たからだ。それと俺は魔法を使えないと言われたが、前世の知識と王宮の図書室にあった古い、破れかけている魔法の本を読んだお陰で魔法を使えるようになった。使える魔法は火魔法、土魔法、念力魔法、空間魔法の4種類だ」
神の目は上級鑑定魔法で善人か悪人かわかり、相手の考えが分かるので言わないで置いた。
俺の話を聞き終わると3人は信じられない顔をしていたがチャリーが。
「僕は以前に前世の記憶を持っている人に話を聞いたことがありましたが、その人は100年前の行った事のない帝国の様子や出来事を話していました。だからクロード様の話も本当だと思います」
カミラが。
「チョ、チョト待って下さい。それよりクロード様は本当に魔法を使えるのですか?」
「うん、使えると言っただろう」
ジャンクが首を傾げて。
「俺には何が何だか分かりませんが前のクロード様と今のクロード様は違うのですか?」
「基本的には同じだが性格が少し違うかも知れない」
カミラが。
「要するに今のクロード様は前のクロード様と同じ記憶を持っているので同一人物でよろしいのですね」
ジャンクが困って。
「ややこしいな。頭の中がぐちゃぐちゃになったぜ。前も今もクロード様で良いんだろう。そんな事よりクロード様が火魔法、土魔法、念力魔法、空間魔法の4種類が使えるのは凄い事だぜ」
チャリーがため息をつき。
「ふぅ~。ノッポの言う通りだ。ややこし過ぎる。クロード様が大人になって少し性格が変わったと思えばいいだけだ。それよりも火魔法、土魔法、念力魔法、空間魔法の4種類が使えるのは僕が知っている限りでは世界で初めてだよ」
俺が3人に注意して。
「今、俺が話した事は当分の間は秘密にしてくれ。陛下の耳に入ったなら王宮に連れ戻されるのは嫌だから絶対に話さないでくれ」
カミラが。
「そんなに王宮が嫌なのですか」
「当たり前だろう。あんなに自由のない王宮は大嫌いだ。折角、自由になれたのに二度と行くものか」
俺は折角自由になれたのに自由に生きる為にもう王宮には戻るつもりはない。
これからは領地経営をしながらのんびりと暮らすつもりなのだ。
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