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第32話、新しい国興し1

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 最初は俺の側近たちの代表デニス、オーロラさん、大勢の貴族たちを知っているドリスさんとレオナにこれから起こす国をどうするのか話し合い、俺は自由と平等な国にしたいと言うとレオナは理解できないのか。

「自由と平等ですか? と言うことは貴族をなくして全部を平民にするのですか」

 ドリスさんが俺に。

「やはりアラン様が前世の進んだ世界の記憶を持っている事を話した方が良いと思うわ。それでないと皆には理解されないわよ」

 オーロラさんもドリスさんの言うことに同意して。

「私もドリスさんの意見に賛成よ。それでないとアラン様の言う事を理解できないと思うわ」

 確かに前世の文化、科学、農業、政治の進んだ知識を使うには理解してもらう必要があるので、デニスとレオナに俺がこの世界と違う文明の進んだ異世界の記憶を持っている事を話すとデニスが。

「それで騎馬部隊や土魔法隊を作り、この世界で初めての水道や下水を作ったのですか」

 レオナも聞いてきて。

「お米の栽培やワインや酒も前世の知識で作ったのですか」

「うん、俺があの大災害から早く復興出来、領地を発展させてきたのも前世の進んだ文明の知識を持っていたおかげだ。だから新しい国を作るにあたってその知識を使うつもりなので理解してくれ。但し奴隷制度は廃止するが、今すぐ貴族制度をなくすのや身分制度を廃止するつもりはない。長い時間をかけて徐々にするつもりでいる」

 レオナが楽しそうに。

「実に興味深い。アランなら今までになかった国を作れるだろう。私は良い時に生まれた。アランと一緒に新しい国を興すのが楽しみだ」

 オーロラさんが自分から。

「国の名前ですが、アーサー王国というのは古いイメージなので変えた方が良いのではありませんか」

 ドリスさんも同意見で。

「オーロラさんの言う通りで国民に今までの国と違い、平和な国に生まれ変わった事を知らせるためにもその方が良いと思うわ」

 どんな新しい国名にするか話、皆は俺の苗字のクラーク王国と言ったが俺はイナホ(稲穂)王国と言い、理由を聞かれて。

「イナホはお米の実のなったところを稲穂と呼び、前世では『実るほど頭を垂れる稲穂かな』という諺があり、-実るほど自重で穂先が地面に垂れていく稲穂に例えて金持ち、地位、学問、技能が深まると、他人に対してますます謙虚になることを意味する諺だ。だからこの国が発展しても奢らず国民や他国にも接する為にもイナホが良いと思った」

 ドリスさんが真っ先に賛成して。

「へえー! そんないい諺があるのね。イナホ王国か良いわ。私は賛成よ」

 皆も賛成して新しい国の名前は【イナホ王国】に決まったのだ。


 初代国王には俺が就くが、宰相にはレオナを軍務大臣はデニスを財務大臣にドリスさんを指名するとレオナとデニスは了解したがドリスさんが。

「私が財務大臣ですか? 私は平民なのに良いのですか、それに商会もあるのに」

「俺が伯爵に任命するので問題はありません。商会の方は弟さん夫婦に任せて大事な時だけドリスさんが出て行けば問題ないでしょう」

「アラン様は思ったより人使いが荒いみたいね」

「そんなことは無い。適材適所にしただけだ。俺は公の場では私情を抜きにして皆に接するが分かってほしい」

 レオナが。

「公の場では当然です。但し私的な場所では友人として接して何でも言って下さい。愚痴でも良いですよ」



「今は非常事態だからお金の使い方に詳しいドリスじゃないと国の財政は任せられない。早速だけれどデニスは軍部を掌握してくれ。レオナは貴族たちに連絡して1カ月後に王宮に来るように命じて命令に応じない貴族は取り潰すと伝えなさい。ドリスは文官を集めて財政が正しく使われているか税制は正しいか調べてくれ」       


 皆に指示をして1人になると此れからの国を考え、この国は前世で言う江戸時代で工業は進んでいなく魔石を動力に使った灯りや魔道具があるくらいだ。

 最も魔石や魔道具の事を俺は全く知識が無いので落ち着いたなら勉強するつもりだ。

 この国の産業は、基本は農業なので農業を発展させて農業王国を目指して国を作るのを基本に発展させて行くつもりでいる。


 やることが多すぎで迷ったが最初にやるべきことは荒れたナル王都の整備だろう。

 その為に今では200人に増えている土魔法隊の団員を募集して300人にして土魔法隊を2分して、新しく建設省を作り、土魔法隊の半分を軍に残し半分は建設省に移動させてイーネスを建設大臣に指名して王都の作り直しを命じた。

 イーネスは早速、壊れた家を取り除き王宮の前に花壇や噴水のある広い広場を作りそこから放射線状に道を作り変えて、碁盤の目のように家を建てている。

 半年もすればイーネスなら水道、下水も完備した新しい王都に生まれ変わらせるだろう。


 ドリスが途中の報告に来て。

「呆れて言葉にもならないわ。王国の直接領地から税金を30%も取っていたのに王庫に残っているのは白金貨がたったの千枚、100億ルピーなのよ。それも国民の為に使わず贅沢な暮らしに使っていたので腹が立って仕方がありません」

 ドリスの報告に俺も驚き。

「本当なのか? どうすれば良いのだ」

「こうなれば宝物庫にある宝石や宝物を売ってやりくりをするしかないでしょう。それと塩を国の専売品として国が各商人に渡せば直ぐに国庫が増えて来ると思います」

「流石にドリスだ。任せて正解だった」

「煽てても何もでませんよ。出るのはため息だけだわ」

 ドリスも馬鹿な役人に相当疲れているようだ。

 次は貴族たちを王都に召集したが素直に応じるだろうか。

 早く全てを終わらして農業を本格的に再開したいものだ。
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