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第31話、ナル王都で

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 次の日、ナル王都に近づくと王国軍は俺たちを待ち構えていると思ったのにいなく、諜報部のイアンが街の様子を知らせて来た。

 知らせによると国王を名乗っていたバーカビが戦争に負け倒されたと知ると、ナル王都は無秩序になり略奪や暴行が横行しているらしい。

 王宮の親衛隊と騎士団が取り締まっているが略奪者が多く追いつかないらしい。

 実権を握っていたノウタリ公爵はバーカビが倒され計画が狂い、バーカビの名を使って今まで見たいに指示が出来なくなり、此れからどうなるのか不安で王宮に閉じ籠って何の対策もしていないみたいだ。

 報告を聞いたレオナが、バーカビが前国王夫妻と王子を殺した。証人はオーロラ王女でバーカビを脅して操っていたのはノウタリ公爵親子でクラーク子爵はオーロラ王女を助けて保護しバーカビを倒した。

 そんな内容の立て看板を兵士に持たせて馬で一足先にナル王都の街中に立てさせた。


 ナル王都に着き街の中を見てドリスさんが。

「酷い有様ね。まるで廃墟だわ」

 俺も街の中を見て此処まで酷いとは思っておらず、驚いた。

 兵士たちに焼け落ちた屋敷の後を片付けさせて何とか兵士たちの野営地を確保した。

 街の中を歩いて見て回ると、ドリスさんのお店のあった場所の建物は無事だったがお店の中は略奪されて家具も何もなかった。

 貴族同士の戦いは貴族地区で行なわれたみたいで、避難できずに残っている住民は平民地区に移動して住んでいるが以前の3分の1くらいだろう。


 野営地に戻ると俺に面会を求める人たちが5人待っていた。

 テントの中で5人と会ったが1人は王宮の親衛隊の隊長でオーロラさんに合わせると泣き出して涙を拭きながら。

「ンンン、よくぞご無事で、立て看板を見てノウタリ公爵親子を引き連れて来ました」

 テントの外で喚き声が聞こえて」

「無礼者! わしは公爵だぞ。即刻打ち首にしてくれるわ」

「私は王妃よ、無礼は許せないわ」

 テントの外に出てみると喚いていたのは縄で縛られたノウタリ公爵親子で、俺たちは次の日から行動を開始しノウタリ公爵親子を処罰しようとしていたがこんな形で会うとは思わなかった。

 ノウタリ公爵親子はオーロラさんを見ると驚きドクフナーが。

「わ、私は悪くない。毒殺はバーカビの独断よ。私は止めたわ」

ノウタリ公爵も。

「悪いのはバーカビ国王でわしたち親子は止めたが聞き入れずに・・・・・・」

 そこまで言うとレオナが口に土を突っ込み。

「馬鹿目! 白々しい嘘を言うな! お前たちは最も重い火炙りの刑だ」

 親衛隊の隊長が俺に。

「オーロラ様を助けて頂き誠にありがとうございました。私たちは何も気が付かず申し訳ございません。宜しければ王宮は荒れていなくそのままなので王宮でお過ごし下さい」


 親衛隊の隊長が気がついていたとしても身分社会の現状では何もできなかっただろう。

  残りの面会者と会ったが2人目は王都の警備団長3人目は王国軍の代表者で親衛隊の隊長も含めて軍事関係者の3人は俺に従うと言ったので、街を見て回り、全力で治安を回復させ住民の安全を守るように指示をした。

 最後に合った男性が。

「私は前国王派の地下組織の代表としてアラン様に会いに来ました。アラン様は此れからこの国をどうするつもりですか? 私は正式な後継者のオーロラ王女様が女王の座につくのが良いと思っております」

 俺の隣にいるオーロラさんが。

「あのね。女の何の力も軍事力も持たない私がこの戦国の国を治められると本気で思っているの? 例えば貴方の組織でもバーカビさえ倒せなかったのに無理でしょう。本気でこの国を考えるなら正義感が強く人望、軍事力、統率力のあるなによりもあの極悪人のバーカビを倒したアラン様以外、適任者はいないわ」

 地下組織の代表者は血筋に拘っているみたいで。

「アラン様は優秀ですが正当な後継者とは認められません」

「アナタは馬鹿ね。血筋に拘って国民がどうなっても良いのですか。そんな人なら例え私が女王になっても臣下にしないわ。それに私はアラン様と結婚するので私たちの子供は正式な後継者よ」

 オーロラさんが俺と結婚すると言い、馬鹿と言われて彼は納得したのか。
 
「私が間違っていました。地下組織を解散してこれからはアラン様の指示に従います」


 なんか1日であれよ、あれよと言う間にノウタリ公爵親子を捕まえ軍部は俺に従い前国王派の地下組織を解体してしまい、目的の半分を達してしまい順調で怖いくらいだ。


 此れも俺が力でバーカビを倒して見せたからだろう。今の王国は力のある者に従わないと生きていけない。



 面接を終えて親衛隊が俺たちを案内して王宮に行くと、オーロラ王女が帰って来たので数人の使用人が出向かえてくれてその中の1人の老女が進み出て。

「オーロラ様よくご無事で・・・・お帰りなさいませ」

 オーロラさんも女性の手を取り。

「只今、婆や無事だったのね。使用人の数が減ったわね」

「はい、バーカビ国王になってからはドクフナー様の気にいらない使用人は首になり、又自分から辞めていく人も多く、このような有様になりました」

 王宮は豪華で広く貧乏性の俺には似合わないが国を興すなら慣れないといけないだろう。

 オーロラさんは久しぶりの王宮の以前住んでいた王族の住む3階の部屋はそのままなのでそこに当分の間住むみたいだ。

 俺はオーロラさんの隣の部屋で側近たちも3階の部屋に住みことになった。



 国を興すにはこれからが本番で頭が痛い。先ずこの国の行政の仕組みはどうなっているのか調べて悪いところは直さなければいけないので時間が掛かりそうだ。

 俺1人では無理なので良い人材探しから始めなくてはならない。

 王宮には国王の執務室があるのでその部屋でレオナと 新しい国をどうするか話している

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