上 下
6 / 36

第6話、領民を増やす

しおりを挟む


 アリスさんはナル王都から馬車で10日間かかる道中、盗賊団も出るのに危険を冒してクラーク子爵領まで来たのは塩だけでなく米にも興味があったらしい。

 アリスさんを宿に送って行くと、何と護衛の人数が50人もいてナル王都からの旅が盗賊にも襲われず無事だったのには納得した。

 アリスさんがクラーク子爵領に滞在したのは10日間でその間に色んな話をしたが、俺の一番の悩み領民が少なく労働力不足で困っていることだ。

 その為に塩の増産も出来ない事、お米の生産も増やせないと言うと。

「ナル王都には貴族同士の争いが多く仕事に付けなく失業者が多く困っているので、移住者を募集してみてはどうかしら。ナル王都だけでなく他の領地でも去年の大雨で災害が起き失業者が多く困っていると聞いたわ」

「そうなのですか。アリスさんが帰る時に職業紹介所の人を王都に連れて行ってくれませんか。ナル王都にクラーク子爵領の職業紹介所を開設して移住者を募集してみます」

「職業紹介所? 初めて聞くわ。どんな仕事をするのかしら」

 職業紹介所の仕事の内容を説明すると。

「凄いわ! 画期的な考えね。私も協力するわ」

 キャシーにそのことを言い、誰をナル王都に派遣するか相談すると。

「そんなの決まっているでしょう。そんな大事な仕事なら私が行かないとダメだわ」

「もう1人連れて行かなくて大丈夫なのか」

「王都で働く人を募集した方が、王都に詳しい人が見つかるから向こうで募集することにするわ」

 俺がやはり年頃のキャシーを王都に行かすのを躊躇しているとアリスさんが。

「私が当分の間、自宅に泊めて面倒を見るから安心しなさい」

 その後アリスさんは試しにお米をナル王都で売ってみるといって塩とお米を多量に買い、馬車20台に荷物を積み護衛を増やしてキャシーをつれてナル王都に帰った。

 アリス商会には一体どのくらいのお金があるのか知らないが、今回俺に入ったお金は白金貨40枚、4億ルピーで円にすると16億円でこれからも定期的に塩を売るのでそのたびに多くのお金が入るので貧乏子爵と言われていたのが嘘のようだ。

 キャシーには土魔法を使える人は優遇するのでなるべく沢山の人を募集してくれるように頼んでおいたが、果たしてどのくらいの移民が集まるだろうか。


 移民が沢山来ることを願い受け入れの準備をして、住まいを建てる事にした。

 前世の公団住宅を真似て単身用は1LDK家族用には3LDK、トイレは簡易水洗を取り入れた。

 この世界は短命で子供の3割が5歳までに死ぬのは不衛生だからだと思うので街を作り替えて水道と下水を整備したいのだが、土魔法を使える人が少ないので今回の移民に土魔法を使える人が来たなら水道と下水や道路を整備するつもりだ。

 キャシーがナル王都に行って職業紹介所を開設したとの連絡があったのは1カ月後で、こんな時に携帯電話があったなら便利なのにと思ったが、ない物は仕方がない。

 そういえば伝書鳩を思い出し、無線が出現するまでは軍用の伝書鳩がいた程なのでこの世界にも鳩がいるので伝書鳩を試す事にした。

 後で試したところ、この世界の鳩でも伝書鳩に使えることが分かり、連絡に使い始めた。


 俺は毎日、忙しく軍事はデニスに任せているが、デニスから最近モーガン伯爵軍の動きが怪しいので監視を強化すると言って来た。

 あの大雨の災害から1年でまだモーガン伯爵領内の道路はまだ復旧しておらず、戦いを仕掛けるのは当分先になるだろうが、それまでに兵士も増やすつもりでいる。


 移民の為の住宅が完成し、3階建ての1棟に100部屋があるので10棟を用意したから家族持ちなら1,500人の移民が来ても大丈夫だ。

 キャシーがナル王都に行って職業紹介所を開設したとの連絡があって、その2か月後に移民がクラーク子爵領に向かったとの連絡あり、その数に驚いたのだ。

 何と移民の数は3千人で俺は大急ぎで住宅を作り、何とか移民が到着する前に完成させた。

 やはり土魔法が使えると便利で土魔法が使えなかったなら災害からの復旧や移民を迎える住宅の建設などこんなに早くできなく、土魔法を使えてつくづく良かったと実感したのだ。

 クラーク子爵領は災害で人口が減り事務官のブラッドとカミラが住民台帳を作ると今の領民は7、757人で3千人が移住してもやっと1万を少し超えるだけでまだまだ足りない。

 当分の間は移住者の募集を続けるつもりだ。


 待ちに待った移住者が到着して移住者用の建物の前の広場で歓迎会を開き、俺が3千人に聞こえるように声を張り上げて最初の挨拶をして。

「皆さんようこそわがクラーク子爵領に、歓迎いたします。俺は領主のアラン・クラーク子爵です。このたびはクラーク子爵領に移住していただきありがとうございます。いまからこの広場で歓迎会をひらきます。用意したのは特産品の米で作ったおにぎりです。おにぎりにはやはり特産品の塩を使い、味をつけております。皆さんがこれからここを故郷にして新しい特産品を作って豊かな暮らしをすることを願います。簡単ですが歓迎の挨拶を終わりますが、何か質問はありませんか? 」

 1人男性の移住者が手を上げて。

「私たちは無職で仕事につけて生活できるのでしょうか? 住まいはどうなるのでしょうか」

 移住者はナル王都でも仕事がなく食べるのもやっとだったのでもっともな質問なので目の前の団地を指差し。

「皆さんが済むところは用意いたしました。目の前の建物があなた達の住まいで3千200人が住めますので安心してください。住まいは俺からのプレゼントで無料で渡します。仕事は沢山あるので明日からでも働く事が出来ます。但し仕事に就く前に俺が面接をしてその人に合った職業を進めるのでご了承ください。面接は明日からこの目の前にある建物の1階の集会所で行います」

俺が質問に答えると歓声が沸き、おにぎりを食べて美味しいと言いその後、住まいに案内されて部屋を見て余りにも綺麗でお風呂があるのと水洗トイレには驚いていたらしい。


 1週間かけて心眼を使って面接をしたが移民の中には王国軍の幹部の横暴に嫌気がさして辞めた兵士が多く500人もいたのだ。

 その他にも兵士に向いている移民が多く全部で800人を兵士にしてデニスに預けバニーやアニーと一緒に兵士の訓練をすることになった。

 これでモーガン伯爵軍より兵士の数が多くなり戦いに勝てるだろう。

 残りの移民は塩作りと農作業に従事させて塩田を増やし塩と米の増産をすることにしたのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

秘宝を集めし領主~異世界から始める領地再建~

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とした平凡なサラリーマン・タカミが目を覚ますと、そこは荒廃した異世界リューザリアの小さな領地「アルテリア領」だった。突然、底辺貴族アルテリア家の跡取りとして転生した彼は、何もかもが荒れ果てた領地と困窮する領民たちを目の当たりにし、彼らのために立ち上がることを決意する。 頼れるのは前世で得た知識と、伝説の秘宝の力。仲間と共に試練を乗り越え、秘宝を集めながら荒廃した領地を再建していくタカミ。やがて貴族社会の権力争いにも巻き込まれ、孤立無援となりながらも、領主として成長し、リューザリアで成り上がりを目指す。新しい世界で、タカミは仲間と共に領地を守り抜き、繁栄を築けるのか? 異世界での冒険と成長が交錯するファンタジーストーリー、ここに開幕!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・ 気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました! 2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・ だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・ 出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!  ♢ ♢ ♢ 所謂、異世界転生ものです。 初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。 内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。 「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。 ※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。

追放されましたが、私は幸せなのでご心配なく。

cyaru
恋愛
マルスグレット王国には3人の側妃がいる。 ただし、妃と言っても世継ぎを望まれてではなく国政が滞ることがないように執務や政務をするために召し上げられた職業妃。 その側妃の1人だったウェルシェスは追放の刑に処された。 理由は隣国レブレス王国の怒りを買ってしまった事。 しかし、レブレス王国の使者を怒らせたのはカーティスの愛人ライラ。 ライラは平民でただ寵愛を受けるだけ。王妃は追い出すことが出来たけれど側妃にカーティスを取られるのでは?と疑心暗鬼になり3人の側妃を敵視していた。 ライラの失態の責任は、その場にいたウェルシェスが責任を取らされてしまった。 「あの人にも幸せになる権利はあるわ」 ライラの一言でライラに傾倒しているカーティスから王都追放を命じられてしまった。 レブレス王国とは逆にある隣国ハネース王国の伯爵家に嫁いだ叔母の元に身を寄せようと馬車に揺られていたウェルシェスだったが、辺鄙な田舎の村で馬車の車軸が折れてしまった。 直すにも技師もおらず途方に暮れていると声を掛けてくれた男性がいた。 タビュレン子爵家の当主で、丁度唯一の農産物が収穫時期で出向いて来ていたベールジアン・タビュレンだった。 馬車を修理してもらう間、領地の屋敷に招かれたウェルシェスはベールジアンから相談を受ける。 「収穫量が思ったように伸びなくて」 もしかしたら力になれるかも知れないと恩返しのつもりで領地の収穫量倍増計画を立てるのだが、気が付けばベールジアンからの熱い視線が…。 ★↑例の如く恐ろしく、それはもう省略しまくってます。 ★11月9日投稿開始、完結は11月11日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ
ファンタジー
 一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。 小説家になろう様でも投稿をしております。

処理中です...