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20話 想い その2
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「……」
「……」
私とカイルのキス……どれくらい続いているかな? なんだか、時間が経つのも忘れるというか、夢心地というか。突然、カイルに引き寄せられて唇を奪われたわけだけど、嫌な気分は全然なかった。そして、しばらくしてからカイルは私から離れる。
「ごめん、アリシア……急にこんなことしちゃって……」
「ううん、気にしないで。ちょっとビックリはしたけど、全然嫌じゃなかったし」
「そう? ならいいんだけど……」
「うん……」
貴族街に吹き荒れる甘酸っぱい空気……一部の人にとっては、毛嫌いする空気かもしれないけれど、私達はそんなことはお構いなしに、その空気を享受していた。今、前にしている人物があの幼馴染のカイルだとは信じられない……。これから、この人と共に生きていくって考えると、人生は不思議なものよね。
「カイル、私、出来るだけあなたを見ていくように努力するから……私を離さないでね」
「うん、もちろんだよ、アリシア」
う~~、なんだかとっても幸せな気分……! カイルってこんな男らしい人だったんだ……! やっぱり、成長しているのよねみんな。私は感動して、彼の腕にしがみついていた。カイルも照れながらも振りほどいたりはしない。
「アリシア、この後、どうしようか?」
「そうね……もう少し、貴族街を回らない? このまま帰るのはもったいないわ」
「そうだね、じゃあもう少し、一緒にいようか」
「ええ」
すっかり板についたカップルの会話と言えるかしら? 元々が幼馴染だし、婚約関係になってもあまりギクシャクしなかったのは大きいと思う。手間が省けたっていうか……。私とカイルの二人はその後もしばらく寄り添ったまま、デートを続けた──。この日は、お互いの想いが通じ合った日となった。
---------------------------------
カイルとのデートから3日後──
「アリシア」
「お父様……? お母様も」
コムラータの屋敷にて、私はお父様とお母様に声を掛けられていた。なんだか二人ともニヤニヤと表情が和らいでいる。なにか、企んでいるような……。
イグリオ・コムラータとネリス・コムラータの二人は私を引き寄せ始めた。
「な、なんでしょうか……?」
「さてさて、カイル・オーランド殿とは、どの程度進んでおるのだ?」
「この際、はっきり言ってしまいなさい」
「ええっ!?」
お父様とお母様から出て来た言葉は意外過ぎるものだった。そんな、直接的な質問の仕方ってあるのかしら? 結構デリケートな事柄なのに……。
「……」
私とカイルのキス……どれくらい続いているかな? なんだか、時間が経つのも忘れるというか、夢心地というか。突然、カイルに引き寄せられて唇を奪われたわけだけど、嫌な気分は全然なかった。そして、しばらくしてからカイルは私から離れる。
「ごめん、アリシア……急にこんなことしちゃって……」
「ううん、気にしないで。ちょっとビックリはしたけど、全然嫌じゃなかったし」
「そう? ならいいんだけど……」
「うん……」
貴族街に吹き荒れる甘酸っぱい空気……一部の人にとっては、毛嫌いする空気かもしれないけれど、私達はそんなことはお構いなしに、その空気を享受していた。今、前にしている人物があの幼馴染のカイルだとは信じられない……。これから、この人と共に生きていくって考えると、人生は不思議なものよね。
「カイル、私、出来るだけあなたを見ていくように努力するから……私を離さないでね」
「うん、もちろんだよ、アリシア」
う~~、なんだかとっても幸せな気分……! カイルってこんな男らしい人だったんだ……! やっぱり、成長しているのよねみんな。私は感動して、彼の腕にしがみついていた。カイルも照れながらも振りほどいたりはしない。
「アリシア、この後、どうしようか?」
「そうね……もう少し、貴族街を回らない? このまま帰るのはもったいないわ」
「そうだね、じゃあもう少し、一緒にいようか」
「ええ」
すっかり板についたカップルの会話と言えるかしら? 元々が幼馴染だし、婚約関係になってもあまりギクシャクしなかったのは大きいと思う。手間が省けたっていうか……。私とカイルの二人はその後もしばらく寄り添ったまま、デートを続けた──。この日は、お互いの想いが通じ合った日となった。
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カイルとのデートから3日後──
「アリシア」
「お父様……? お母様も」
コムラータの屋敷にて、私はお父様とお母様に声を掛けられていた。なんだか二人ともニヤニヤと表情が和らいでいる。なにか、企んでいるような……。
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