15 / 23
14話 婚約者探し その1
しおりを挟む
「婚約者……私のですか?」
「うむ、その通りだ。国王陛下が直々に選定するのだ、まず間違いは出てこないぞ」
「は、はい……」
この父上の「間違いは出てこない」というのは、最高権力者が選んでいるのだから、相手側も迂闊なことはできないっていう意味合いが込められているんでしょうね。
確かに父上に選んでもらえるは素直に嬉しい。ランドールを信頼していたとかもあったし、私の目はまだまだ節穴な所が多いと思うから。
でも……一つだけ引っかかることがあったりする。
「……どうした? アリシア?」
「え、えと……兄上は、私に婚約者が新たにできることを、どう思っていらっしゃるかなって……」
私は無意識に変な質問をしてしまっていた。兄上は少し考えるポーズを見せていた。どういう答えが返ってくるのか、私は少し緊張しながら待っていた。
「そうだな、以前にも私から新しい恋を見つけたらどうだ? と提言しておいてなんだが……アリシアが嫁にいくのは寂しくもある」
「ほ、本当に……!?」
「ああ、そうだな」
私は思わずソファから身を乗り出していた。だって兄上が私に対して、寂しいって言ってくれたから。もちろんそれは、兄妹として妹が離れていくのが寂しいって意味合いなんだけど。別に変な期待をしたわけじゃないわ……うん。
「トランスもこう言っておる。どうじゃ、アリシア?」
「は、はい……そうですね……」
開放的な国家を目指して作られているカスタム王国。国王陛下に謁見するのは簡単ではないけれど、比較的貴族達は自由に動けたりする。そんな国家だから、いくら娘とはいえ養女になっている私にこんな提案が可能なんでしょうね。どういう方々と出会うことになるのか不安ではあるけれど……。
「そ、それではお言葉に甘えてもよろしいでしょうか? た、ただ……」
「わかっておる。お前が断ったとしても誰も咎めはせんよ。婚約破棄があった直後でもあるのだからな。そう緊張せず、気楽に構えるのじゃ」
「あ……ありがとうございます、父上」
「うむ」
父上は笑顔になり、再び私の頭を撫でてくれた。兄上もソファに座りながら私に対して笑ってくれている。家族の談笑はその後もしばらく続いたけれど、話題は専ら私に関することだった。
ランドールと別れ制裁を課し、私は新しいフィールドに立つ。その新たなフィールドの第一段階で出て来たのは、父上が決めてくれるという婚約者の話。楽しみでもあるんだけど、兄上のことを想って、どうしても素直になり切れないところもあった。
「うむ、その通りだ。国王陛下が直々に選定するのだ、まず間違いは出てこないぞ」
「は、はい……」
この父上の「間違いは出てこない」というのは、最高権力者が選んでいるのだから、相手側も迂闊なことはできないっていう意味合いが込められているんでしょうね。
確かに父上に選んでもらえるは素直に嬉しい。ランドールを信頼していたとかもあったし、私の目はまだまだ節穴な所が多いと思うから。
でも……一つだけ引っかかることがあったりする。
「……どうした? アリシア?」
「え、えと……兄上は、私に婚約者が新たにできることを、どう思っていらっしゃるかなって……」
私は無意識に変な質問をしてしまっていた。兄上は少し考えるポーズを見せていた。どういう答えが返ってくるのか、私は少し緊張しながら待っていた。
「そうだな、以前にも私から新しい恋を見つけたらどうだ? と提言しておいてなんだが……アリシアが嫁にいくのは寂しくもある」
「ほ、本当に……!?」
「ああ、そうだな」
私は思わずソファから身を乗り出していた。だって兄上が私に対して、寂しいって言ってくれたから。もちろんそれは、兄妹として妹が離れていくのが寂しいって意味合いなんだけど。別に変な期待をしたわけじゃないわ……うん。
「トランスもこう言っておる。どうじゃ、アリシア?」
「は、はい……そうですね……」
開放的な国家を目指して作られているカスタム王国。国王陛下に謁見するのは簡単ではないけれど、比較的貴族達は自由に動けたりする。そんな国家だから、いくら娘とはいえ養女になっている私にこんな提案が可能なんでしょうね。どういう方々と出会うことになるのか不安ではあるけれど……。
「そ、それではお言葉に甘えてもよろしいでしょうか? た、ただ……」
「わかっておる。お前が断ったとしても誰も咎めはせんよ。婚約破棄があった直後でもあるのだからな。そう緊張せず、気楽に構えるのじゃ」
「あ……ありがとうございます、父上」
「うむ」
父上は笑顔になり、再び私の頭を撫でてくれた。兄上もソファに座りながら私に対して笑ってくれている。家族の談笑はその後もしばらく続いたけれど、話題は専ら私に関することだった。
ランドールと別れ制裁を課し、私は新しいフィールドに立つ。その新たなフィールドの第一段階で出て来たのは、父上が決めてくれるという婚約者の話。楽しみでもあるんだけど、兄上のことを想って、どうしても素直になり切れないところもあった。
405
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる